目次
「傾向」
1、概要
(1)入試結果
(2)出題分野
(3)難易度
2、各論(大問1~5)
「対策」
1、概要
(1)入試結果
早稲田中学2021年度(第1回)・算数は、例年通りの出題傾向、難易度でした。(大問1は、多少易し目でした)
学校公表の受験者平均点は、60点満点中30.5点、合格者平均点は38.6点でした。こちらも、ほぼ例年通りです。
(2)出題分野
大問1は、「数の性質」「つるかめ算」「消去算・平均算」。
大問2は、「平面図形(角度・面積)」「立体図形(展開図・体積)」。
大問3は、「場合の数」。
大問4は、「点の移動」。
大問5は、「図形の移動」。
平面図形には、早稲田中学独特のこだわりがあり、面白い問題です。
また、「点の移動」「図形の移動」に見られるように、「動きのある図形問題」が特徴的です。
(3)難易度
難易度的には、やはり大問2(2)の平面図形が、かなり難しく、早稲田の伝統が受け継がれています。
他には、大問3(3)、大問5(2)②など、それぞれの大問の最後を飾る問題は、それなりに難しいです。
「出題分野&難易度マップ」を掲載致します。(レッツ算数教室の分析によります)
Aが最も易しく、BCDの順に、難しくなっていきます。
出題分野&難易度マップ | ||
大問1 | ||
(1) | 数の性質 | A |
(2) | つるかめ算 | B |
(3) | 消去算・平均算 | B |
大問2 | ||
(1) | 平面図形(角度) | B |
(2) | 平面図形(面積) | D |
(3) | 立体図形(展開図・体積) | C |
大問3 | ||
(1)① | 場合の数 |
B |
(1)② | 場合の数 | B |
(2) | 場合の数(1)利用 | C |
(3) | 場合の数(1)(2)利用 | D |
大問4 | ||
(1) | 点の移動 | C |
(2) | 点の移動 | C |
(3) | 点の移動 | C |
大問5 | ||
(1) | 図形の移動 | B |
(2)① | 図形の移動 | B |
(2)② | 図形の移動 | D |
D問題はできなくても、合格できます。
C問題5問中、2~3問できれば、合格可能と思われます。
では、順に見ていきましょう。
2、各論
大問1
(1)数の性質
ウオーミングアップ問題です。
(2)つるかめ算
つるかめ算としては、易しい問題ですが、階を上下する問題では、注意が必要です。
1階から29階まで、間は28回分です(植木算!)
(3)消去算・平均算
(5個、3個)、(3個、5個)とくれば、縦に足して(8個、8個)ですね。
大問1は、例年より易しかったので、平均点がやや高めに出た可能性があります。
大問2
(1)平面図形(角度)
早稲田中学の平面図形(角度)は、二等辺三角形を利用して求めることが多いです。本問も、その一つです。
2つの正五角形の頂点が重なっている部分から、斜めの線分の両端に向かって、補助線を引くと、二等辺三角形になります、
これで解けます。
(2)平面図形(面積)
CBとDAをそれぞれ延長して、交わった点をGとします。
すると、三角形DEFと三角形DCGは相似で、相似比2:5。
三角形DEFと三角形BAGは合同。
よって、台形EFGCの面積は63㎠で、上底EF:下底CG=2:5
これで解けます。
(3)立体図形(展開図・体積)
正方形を底面と考えて、かべを立てて屋根をつければ、完成。
立方体から、三角すい2個を切り取った図形が完成します。
ただ、2枚の正三角形が、床の正方形に接するようにすることもできます。
この場合、正方形の床の上で、2つの三角すいが向き合ってたたずんでいる、という芸術的(?)なオブジェとなり、こちらも答えになってしまうのでは?という疑問が残ります。
が、やはり、問題文中の「ある物体」を素直に解釈すれば、「ひとかたまりの物体」ということで、前者が正解でしょう。
大問3 場合の数
本問は、定番問題を、少し違う文章表現した問題です。
よくあるのは、次の問題。
「ABCDの4人が、それぞれ1個ずつプレゼントを持参しました。これを1人1個ずつ受け取ります。全員が自分以外のプレゼントを受け取る方法は、全部で何通りですか?」
どこの塾のテキストにも、掲載されているはずです。
しっかり理解していれば、多少異なるききかたをされても、動じることはありません。
大問4 点の移動
本問は基本的な問題ではありますが、(1)がミスしやすい問題で、ここでつまずくと、連動して、(2)(3)も落とします。
その意味で、(1)は、最も合否を分けたかもしれません。
グラフから、ABに5秒かかったことがわかります。
よって、CDも5秒。BCは6秒。
よって、長方形ABCDは面積120㎠で、たて:横=5:6
ここまでは、簡単です。
そこで、⑤×⑥=㉚が120にあたるから、①が4にあたり、たて20cm、横24cmと考えると、間違えます。
⑤×⑥=30×①×①=120
①=2
です。
ここを乗り切れば、あとは容易です。
大問5 図形の移動(転がる問題)
通常、円が正方形の内側に沿って1周するときは、円が「通らなかった」部分の面積を求めるのが、お約束になっていますが、本問は裏をかきました。
ミスした受験生もいたかもしれません。
でも、図のかき方は全く同じですから、何もあわてることはありません。
本問は、理論的には、基本中の基本問題です。
ただし、特に(2)②は、手間がかかり、時間不足で解けないかもしれません。
正方形なので、4分の1だけ図をかいて、あとは4倍する、という手がありますが、区切り目をミスると、大き過ぎたり、小さ過ぎたり、色々起きます。
高い注意力が必要な問題です。
2021年度の受験生は、6年生の1年間を、大変な状況のもと頑張りました。
この点は、多くの学校が考慮し、問題を易しくする、もしくは、受験知識、受験テクニックを控え、地頭を試す方向に切り替える、という方策をとったようです。
早稲田中も、大問1を易しくし、大問5も、手間はかかるが、理論的には、きわめて基本的な問題を出す、という部分で、考慮したと思われます。
それだけに、基本原理がよくわかっているかが、合否を分けたのではないでしょうか。
特に、大問4で、⑤×⑥をどのように処理するか?といったことは、盲点になっているので、くれぐれも、解法丸暗記は避けましょう。
これら、社会状況への配慮を行う一方で、平面図形に関しては、易しくすることなく、例年通り、早稲田中学の伝統を守った!と思います。
「基本原理を正面から問う」「伝統は守る」という、素朴で力強い出題でした。
次年度以降の対策でも、この精神を大切にしましょう。
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