目次 |
「傾向」 |
1、概要 |
(1)入試結果 |
(2)出題分野 |
(3)難易度 |
2、各論 |
「対策」 |
1、概要
(1)入試結果
早稲田中学2020年第1回算数は、例年よりも、やや易し目となりました。
学校公表の受験者平均点は、60点満点中、34.7点。合格者平均点は45.1点です。
(2)出題分野
「平面図形」「立体図形」「速さ」「場合の数」「割合」などから出題されています。
「平面図形」は、「角度」「面積」「回転移動」「表面積」など、多角的に出題されています。
「立体図形」では、早稲田定番の切断問題が出題されています。
大問1問あたりの小問数が多く、中には4問のものもあり(大問3、大問5)、前の小問を利用して、後の小問を解くように、誘導しています。
この誘導を読み取れるかどうかは、重要です。
(3)難易度
2020年度は、やや易し目です。
大問3(4)と大問5(3)が難しく、大問1(3)と大問4(3)は計算に手間がかかります。
この4問以外が満点であれば、ほぼ合格者平均点となります。
「出題分野&難易度マップ」を掲載致します。(難易度はレッツ算数教室の分析によります)
Aが最も易しく、BCDEの順に難しくなっていきます。
出題分野&難易度マップ | ||
大問1 | ||
(1) | 約分 | C |
(2) | ニュートン算 | C |
(3) | 割合・食塩水 | D |
大問2 | ||
(1) | 平面図形・角度 | C |
(2) | 平面図形・回転 | C |
(3) | 立体図形・回転 | C |
大問3 | ||
(1) | 場合の数 | D |
(2) | 場合の数 | D |
(3) | 場合の数 | D |
(4) | 場合の数 | E |
大問4 | ||
(1) | 速さと比 | B |
(2) | 速さと比 | C |
(3) | 速さと比 | D |
大問5 | ||
(1) | 立体切断 | C |
(2)① |
立体切断 | D |
(2)② | 立体切断 | D |
(3) | 立体切断 | E |
それでは、順に見ていきましょう。
2、各論(大問1~5)
大問1
(1)約分
分数2525/3232を約分する問題です。
分子の2525が5で割り切れることは明白ですから、素因数分解していけば、いずれ分母との公約数が見つかります。
でも、これを一瞬で約分する方法があります。
一般に、ABAB=AB×101です。
たとえば、
2525=25×100+25×1=25×(100+1)=25×101
3232=32×100+32×1=32×(100+1)=32×101
これを使うと、
ABAB/CDCD=AB/CD
2525/3232=25/32……答え
ところで、レッツ算数教室は、ここで終わりません。同じ要領で、
ABCABC=ABC×1001
DEFDEF=DEF×1001
よって、
ABCABC/DEFDEF=ABC/DEF
さらに、1001=7×11×13より、
ABCABCのパターンの整数は、7の倍数で、11の倍数で、13の倍数です。
試してみると、
154154÷7=22022
154154÷11=14014
154154÷13=11858
大問1
(2)「ニュートン算」
典型的なニュートン算そのままです。早稲田の受験生に、説明はいらないでしょう。
「なぜニュートン算というのか?」については、当ホームページ内
で説明しています。
(3)「割合・食塩水」
これも、典型的な食塩水のやりとり算です。
論理的には簡単ですが、%が分数になり、計算に手間取ります。(計算していて、自信がなくなっていきます)
そして、計算に夢中になっているうちに、問題文を忘れるかもしれません。
すると、通常の食塩水やりとり算と同じく、Bの食塩水の「濃さ」を答えてしまいます。
ところが、本問は、Bの食塩水に含まれる「食塩の量は何gか?」を答える問題です。
早稲田中・大問1(3)は、要注意です。
大問2
(1)「平面図形・角度」
円の中心から、三角形の各頂点に補助線を引くと、二等辺三角形とおうぎ形がたくさんできます。
中心角はすぐわかります。
これで、解けます。
(2)「平面図形・回転」
対角線ACの移動先を書き込めば、すぐ解けます。
(3)「立体図形・回転」
定番問題そのままです。
大問2は、3問とも一瞬で解けなければなりません。
大問3「場合の数」
(1)~(3)は、3秒、4秒、5秒と、連続しています。
階段を上っていくようです。
そこで、フィボナッチを思い出します。
本問は、フィボナッチ数列ではありませんが、「前を利用して、次を計算する」という意味では、よく似ています。
碁盤(ごばん)の目の道順を求めるときの要領で、計算できます。
(4)が難しいです。
「Aからスタートして、3秒後にB」と「Bからスタートして、その3秒後にA」は、同じことです。
ここに気づけば、「Aからスタートして3秒後にBで、6秒後にA」とは、7×7=49通りであることがわかります。
さらに、「6秒後にAで、その3秒後すなわちスタートから9秒後にA」とは、「スタートから3秒後にA」と同じこと。
よって、49×6=294通り…答え
本問は、三角すいのとなりの頂点に移動する方法は、AからBもBからAも対等であるという「対称性」を利用した問題です。
「3秒後」「6秒後」と、3の倍数が並んでいるところに、着目すると、ひらめくでしょう。
大問4「速さと比」
(1)(2)はサービス問題。(3)も理論は簡単ですが、計算ミスしやすいかもしれません。
円周率22/7にも要注意です。
大問5「立体切断」
(1)(2)は、2つの斜めの切り口どうしが交わる問題の、典型例です。
準備していた受験生は多かったはずです。
それでも、定番問題としては、最も難しい部類です。
(3)は、8つの点を同時に切り落とす問題。
本当に、8つの切り口面を、図に書き込んだら、わけがわからなくなります。
そこで、(1)(2)をヒントに、頂点を切り落とすと、結果として何が残るかを、別の表現で理解します。
「おきかえて考える」
というテクニックです。
頂点を切り落とすと、面ができます。
となり合う頂点を切り落とすと、辺ができます。
頂点は8個なので、残った物体の面の数は8個。
となり合う頂点(つまり、立方体の辺)の数は12なので、残った物体の辺の数は12本。
よって、残った物体は、正8面体と想像できます。
合格者平均点から推定すると、小問4問までは、捨てても大丈夫です。
従って、「傾向」で指摘した、大問1(3)、大問3(4)、大問4(3)、大問5(3)は、できなくても合格できるでしょう。
ということは、それ以外の定番問題をしっかり得点することが、合格への道です。
定番問題に関しては、最も難しいレベルの問題まで、しっかり理解しておきましょう。
以上は、第1回合格のための勉強です。
さて、第2回合格のために、第1回の過去問も勉強している人向けに、もう一言、二言。
第2回の合格には、大問3(4)や、大問5(3)も必要かもしれません。
特に、2月1日に他の超難関校を受験する人の場合、大問3(4)や、大問5(3)レベルの問題は、1日の合否を分ける可能性があります。少なくとも、
「難問だから、捨ててもいい。パス」
というわけにはいきません。
これらの難問では、
「問題文の表現(条件)を、問題を解きやすい「別の表現」に言い換える、おきかえる。」
という技術が求められます。
そのための練習に、これらの問題は、最高の教材です。
さらに、もう1点。
大問5では、「切り落とす」の前に必ず「同時に」という一言が、枕詞(まくらことば)のようについています。
なぜ「同時」でなければならないのでしょう。
「順次」ではいけないのでしょうか?
どのような順番に切ろうと、8つの切断面は同じなのだから、結果は同じはず……
ここで、問題文の冒頭を読み直してみましょう。
出題者は、たとえば「頂点Bを切り落とす」とは、3点A、C、Fを通る平面で立方体を切断し……と定義しています。
もし、頂点Bを切り落とそうとしたとき、頂点Aがすでに切り落とされていたら、頂点Bを切り落とすことが、「定義上」できなくなります。
「そんなの屁理屈(へりくつ)。常識から考えれば、意味は明らかでしょう」
と思うかもしれませんが、数学のレベルが上がると、屁理屈ではありません。
つまり、「同時に」の一言を入れないと、超厳密には出題ミスになってしまいます。
それを防ぐための一言なのです。
ふだん、何気なく読んでいる問題文ですが、実は、出題者は超厳密に言葉を選んで、問題文を作成していることを、実感してください。
そして、近年流行の「算数長文読解問題」では、このような条件の厳密な読み取りが、重要性を増しています。
「何気ない一言」に対しても、注意が行き届くように、トレーニングしておきましょう。
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