世の中、理不尽なことがあるものです。
同じ人間なのに、なぜ、偏差値が5~10も開いてしまうのでしょう?
もちろん、イチロー選手や大谷翔平選手のような例外的な人が、中学受験生の中にもいます。
自分と比べる気にもならないでしょう。
でも、素質的にはほとんど変わらないはずの同級生に負けてしまうのは、どうにも納得がいきません。
なぜでしょうか?
私には、以下のような経験があります。
学生時代、ふと、簿記に興味をもちました。
父が読んだ簿記の本が、家に転がっているのを見つけたときです。
2、3日読んでみましたが、チンプンカンプン。
次から次へと専門用語の洪水で、何が書いてあるのか、さっぱり理解できませんでした。
「簿記は、難しい……」
それ以来、私の頭の中には、強烈な苦手意識、簿記コンプレックスが植え付けられました。
それから数年後、私は、確定申告の必要に迫られ、簿記の勉強をしなければならない状況になりました。
「このままでは、まずいな」
私は本屋へ足を運び、簿記のコーナーで片っぱしから本を手に取ってみました。
「簿記入門」「簿記初級」「はじめての簿記」「○○にもわかる……」といったようなタイトルの本です。
でも、どの本も意味不明でした。
きれいな色刷りで、図表なども見事であるにもかかわらず……
分かりやすそうなのは、見た目の雰囲気だけでした。
ところが、それらの中に1冊だけ、
「簿記の入門書を読む前に読む本」
という、いかにも売れてなさそうな、地味なデザインの本がありました。
ワラにもすがる思いで手に取ってみると、だいぶ様子が異なります。
簿記の専門用語がほとんど出てこないのです。
紹介されている事例は、算数の売買算よりもかんたん。
「机を10万円で仕入れて12万円で売ったら、2万円の利益が出ました」
という超シンプルな事例。
これを使って、仕分けや、損益計算書、貸借対照表がどうなるかを、簿記の根本原理、発想法に基づいて、誰にでもわかるように、説明していました。
私はただちにこの本を買い、むさぼり読んだのです。
気がつくと、全200ページを2時間もかからずに読み終わっていました。
肚(はら)の底から
「よ~くわかった!」
と、叫びたくなるほどでした。
そしてこれ以降、簿記のどの専門書を読んでも、何を言っているのか、いないのか、理解できるようになったのです。
「この本には○○の定義が書いていないから、わからないのは自分の頭のせいではない。定義を調べれば良いだけだ。」
と、納得できるようになったのです。
つまり、簿記に関しては、自ら学び進むことができるようになりました。
ここで注目すべきは、
この本を読む前と後とで、私の遺伝子は何も変わっていない
ということです。
私が簿記の理解力をつけたのは、すばらしい本に出合えたからに過ぎません。
幸運でした。
もちろん、大人であれば、すべてを運で片づけるわけにはいきません。
大人の世界は、自己責任です。
本には、わかりやすいものと、わかりにくいものとがある。
もし、今読んでいる本がわかりにくいならば、他の本を当たってみるべき。
それを怠っているならば、本人の責任であり、それが実力。
でも、あなたのお子様はどうでしょうか?
塾で、どの先生に教えてもらい、その先生がどのようなヒント、アドバイスをくれるかは、自分ではコントロールできません。
たまたま良い先生に巡り会えた子が、成績の面で一時的にリードしているに過ぎないのです。
ここを、偶然ではなく、しっかりコントロールできるなら……
次は、あなたのお子様の番です。
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