新学年を迎えて、あるいは新学期を迎えて、
「何か最近、算数のミスが増えたような気がする」
とお感じになったことがないでしょうか?
「せっかく難しい問題が解けたのに、計算ミスで帳消しになってしまいました」
というお嘆きを、よく聞きます。
私も経験者です。
小学生だった当時は、何がどうなっているのか、よくわかりませんでした。
でも、長年、小学生の受験指導をしてきた今では、よくわかります。
今回は、この原因について、お話してみようと思います。
新学年、新学期になると、問題の質、量が変わります。
たとえば、4年生の時は、1問解き切るのに必要な計算式が3本だったとします。
これが5年生になると、5本に増えたとします。
6年生になると、10本になります。
計算量がどんどん増えていくのです。
これに対して、ある子が計算を正確にできる確率は、90%だとします。
4年生の時に、1問正解する可能性は、0.9×0.9×0.9=0.729(約73%)
5年生では0.9×0.9×0.9×0.9×0.9(約59%)
これが6年生になると、約35%となってしまいます。
100点満点で、73点から35点へ急降下というわけです。
別に、頭が悪くなったというわけではありません。
計算力、注意力が低下したわけでもありません。
ただ、1問解き切るのに必要な計算量が増えたというだけで、これだけ点数が下がってしまうのです。
でも、ここで一つ、重大な疑問が湧いてきます。
「新学年になっても、成績が下がらない人っていますよね」
はい。
これが何を意味しているかというと、その人の注意力がアップしているということなのです。
学年に応じ、学期に応じ、塾が生徒に求める注意力のレベルは異なります。
もちろん、新学年になれば、その学年にふさわしい、より高い注意力を求めます。
ですから、いつまでも変われない子は、成績が下がってしまうのです。
ここまで、計算ミスにしぼってお話してきましたが、ミスは計算ミスにとどまりません。
「問題文の読み間違え」「条件ミス」「自分でかいた数字の読み間違え」などなど、様々なミスがあります。
学年が上がれば、問題文は、より長文になり、複雑になり、条件も増えます。
低学年のうちは、特に苦労することなく、こなせていたことが、学年が上がるにつれて、難しくなります。
これは、自分の頭が衰えたわけではなく、周りの状況が変わったということなのです。
「最近、どうもミスが多い」
と思ったら、自分を疑うのではなく、まずは問題の質と量を観察しましょう。
そして、自分に求められているものが、どのようにレベルアップしているのか、見きわめましょう。
その後は、「自己改革に次ぐ自己改革」です。