鷗友学園の学校説明会に行ってまいりました。
冒頭、校長先生から、鷗友学園の理念と教育について、お話がありました。
戦前。1935年(昭和10年)、まだ、男尊女卑、良妻賢母の時代。
東京府立第一高等女学校(現、都立白鷗高校)校長の市川源三先生が、「女性である前に、1人の人間。社会貢献ができる人になりなさい」と、説いておられました。
その理念を実現するため、第一高女の同窓会が、鷗友学園を設立したそうです。
ですから、女性が自立して、活躍できることが目標。
「勉強は、勉強する人が中心」という、学習者中心主義、今で言うアクティブラーニングのもと、「自学自治」「自動創造」「全人教育」を推し進めてきました。
「全人教育」ですから、鷗友学園には、いわゆる「主要5科(英数国社理)」という言葉は、ないそうです。すべてが重要、ということ。
市川先生がお亡くなりになったあと、石川志づ先生が後を継がれ、戦争中も「英語教育」「国際理解教育(グローバル教育)」「キリスト教精神」を進めてきたそうです。
「キリスト教精神」について、鷗友学園は、ミッション系ではないが、聖書の時間はあるそうです。
今でこそ、どこの学校でも、アクティブラーニングやら、グローバル教育やらと言っていますが、鷗友学園では、戦前から、そのような教育を実践してきたというのは、驚きですね。
続いて、学習指導部長の先生から、鷗友学園の挑戦について、お話がありました。
鷗友学園の授業では、「本物に触れることを大切にしています。」
具体的には。
「園芸」の授業では、「実際に、土に触れる。」
「理科」では、「カエルの解剖をしたり、実技試験も行う。」
また、「社会とつながる学び」を実践するため、教科を越えた取り組みをしています。
その1つ目。「自分の研究テーマ」を決め、「フィールドワーク」を行い、「志望理由書、小論文」にまとめます。これらを通じて、自分で考え、判断し、問題を発見し、解決する「能動的学習」をします。
その結果、多様な進路選択が可能になります。
教科を越えた取り組みの2つ目。「ルーブリック」「BYOD」「ポートフォリオ」。
「ルーブリック」とは、「何ができるようになったか」を、自ら測ること。
「BYOD」とは、「Bring Your Oun Device」(自分で持っている機器を学校に持ち込んで使用する)。高校生以上は、iPadなどのデバイスを持ってくることが、認められているそうです。
ただし、中学生までは禁止されていて、学校のPC、iPad、chromebookを使用するとのことです。
これらの機器を「文房具のように」使い、新しい学びのかたちに対応するとともに、これらの機器の危険性、負の部分にも、配慮している様子がうかがえました。
「ポートフォリオ」とは、「学びを通じての成果物をデータ化し、蓄積するためのもの。本来の意味は、「書類を運ぶためのケース」。書類がきれいに綴じられる前段階のもの。
この蓄積を再構成して、未来の自分をデザインするのだそうです。
何か、すごくイメージが湧いてきますね。
これは、2020年度からの入試対策にも役立ちますが、それ以上のもの。
自分の成長を、データで記録し、それを見ながら、将来を考えていく。発信していく……
自分をもっと磨こう、高めようというモチベーションになります。
「自己肯定感を高める学び」というのだそうです。
続いて、高3学年主任の先生のお話。
前半は、主に、人間関係(コミュニケーション)に関する話。
後半は、校外学習から、海外研修、英語の授業、という流れでした。
まず、人間関係には、「たてのつながり」「横のつながり」があります。
「たてのつながり」は、部活動、生徒会活動や、委員会活動が中心。
36の班と、5種類の課外活動があり、入部率は中学で100%、高2でも、約95%とのこと。
かなり充実しているようです。
「横のつながり」は、クラス(30人程度の少人数学級)。
3日に1度の席替えや、エンカウンタープログラムで、クラスの人間関係作りをサポートします。
面接週間には、生徒と担任が1:1で面接。どのクラブに入るか?文系理系の選択はどうするか?などを相談できます。
人間関係の風通しをよくするための工夫が、随所に見られました。
校外学習で特徴的なのは、修学旅行。中3で沖縄、高2で奈良・京都となっています。
普通、逆ですよね。
でも、鷗友学園では、「多感な中3の時期に沖縄へ行って、平和を考える」ということを重視しています。
英語の授業も特徴的。「すべて英語で行う」そうです。2004年に導入し、現在15年目。ノウハウや、データも蓄積し、うまく回っているのでしょう。
その成果を動画で見せていただきました。
3人の生徒さんが、すべて英語でニュースの放送(?)
3人ともネイティブではなく、鷗友に入学なさって初めて英語に取り組んだそうですが、見事なものでした。
最後は、教頭先生から、入試についてのお話。
まず、2019年度入試結果から。
「1点差で(合格点を1点下げると)合格者が何十人も増える」のだそうです。
1点の重みを感じてください。
さて、先生が強調しておられたのは、第1回不合格者の再チャレンジについて。
第1回と第2回とで、問題の難易度は同じにしようとしているそうです。
事実、受験者平均点差は、3点。
ところが、再チャレンジ受験者平均点差は、13.9点。
そして、再チャレンジ合格者平均点差は、43.5点。
なぜ、同じぐらいの難易度の問題なのに、第1回、第2回と連続受験すると、こんなに点数が上がるのでしょうか?
先生は、「第1回では、何らかの理由で、力を発揮できなかった可能性がある」と分析しておられました。
「第1回が残念な結果でも、あきらめずに、ぜひ再チャレンジして下さい」とのことです。
また、合否を決めるのは、「覚える」のではなく、「なぜ?」と考える力。知識は大切だが、「知識→暗記」ではなく、「知識→理解」を。つながりを考えた学びから、新たな発見が生まれる、そうです。
ここからは、科目別。
漢字は、100点満点中10点で、大きい。漢字以外の問題は、すべて記述式です。
記述式の採点は、「要素」「加点」方式で、要素としている事柄が入っていれば、加点していきます。
また、設問は、ぼう線部の前後だけ読んでもダメ。文章全体の流れが変わるところが大事。
幅広い分野の知識があって、はじめて文章が読み取れるので、幅広い読書が大事。(インプット)
アウトプットの練習も大切。
算数も記述式。
難問・奇問は出しません。定番問題を考える力を試します。
きちんとした証明でなくても、ちょっとしたメモでよいから、言葉を書いておいて下さい。
その方が、自分でも考えが整理されるし、部分点もつきます。
小学校で学習する常用漢字、教科書に漢字で記載されている都道府県名、人名、時代名は、漢字で書けるようにして下さい。
間違ってもいいから、漢字で書く。ひらがなは、減点。
この、「間違ってもいいから」というところを、特に、強調していました。
鷗友の入試問題は、鷗友の授業そのもの。
そして、教室は失敗を経験する場所。失敗を恐れず挑戦するのが、鷗友。
だから、間違ってもいいから、漢字で書く。
第1回入試で不合格でも、再チャレンジする……
というところに、通じているようです。
もちろん、教室で失敗を恐れず挑戦できるように、教室では、学びを支えるための仲間作りをして、自分らしくいられるよう、安心できる場所にしておく。
そのために、前述のエンカウンタープログラムや、3日に一度の席替えがある……
ということのようです。
また、地理や歴史、時事問題を融合させた問題を解けるようにして下さい、とのことです。
時事問題として出題すると解けるのに、歴史の問題の中に時事問題が出ると、解けなくなってしまう、という傾向があるそうです。
また、日頃から、ニュースに関心をもってほしい。
キーワードは、「女性」「平和」「環境」とのことです。
理科では、複数の資料から考える問題が出るが、ここ(リード文)が長いと、得点率が下がります。
難しい問題にはヒントや誘導があるので、素直に従う。
思い込みで書かない。
ということでした。
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