目次 |
「傾向」 |
1、概要 |
(1)入試結果 |
(2)出題分野 |
(3)難易度 |
2、各論(大問1~5) |
「対策」 |
1、概要
(1)入試結果
吉祥女子2021年度第1回・算数は、難化しました。
学校公表の合格者平均点は、100点満点中、71.5点です。
(2)出題分野
「割合」「場合の数」「平面図形と比」「統計、最大値」を中心に、出題されています。
「速さ」の問題は、大問1(6)のみ。「規則性」は、大問1(3)、「数の性質」は、大問1(7)のみで、いずれも易しい問題にとどまっています。
小問の数は、入試問題としては例外的に多い全26問ですが、大問は5問なので、年度ごとの出題分野に偏(かたよ)りがあるのは、やむを得ないでしょう。
「限られた分野(テーマ)について、多数の小問で誘導して、じっくり考える」
というスタイルの入試です。
(3)難易度
ほぼ、易しい順に並んでいます。
前半(大問3小問(2)まで)は易しく、後半は徐々にレベルアップしていきます。
大問4(4)、大問5(4)は、難問です。
各大問ごとに見ても、小問(1)(2)は易しく、(3)から難しくなっていくという傾向が見られます。
難問をランダムに散らして、精神的動揺を誘う、というタイプの入試ではありません。
受験生の精神的負担を取り除きながら、思考力の深さを試す、というタイプの入試です。
難問は、思考力の深さを試すために出題されていて、難しくても、得点可能な問題が出題されています。
満点阻止問題という意味での難問ではありません。
このあたり、吉祥女子の学校説明会の内容に、一致するものを感じます。
学校説明会では、「派閥を作らせない。」という点を強調なさっていました。
学校の校風として、理不尽な精神的負担を排除し、実力を伸ばすことに専念する、という精神があるようですが、算数の入試問題に、その精神が表れています。
「出題分野&難易度マップ」を掲載致します。(難易度はレッツ算数教室の分析によります)
Aが最も易しく、BCDEの順に難しくなっていきます。
出題分野&難易度マップ | ||
大問1 | ||
(1) | 計算問題 | A |
(2) | 計算問題 | A |
(3) | 規則性 | B |
(4) | 割合 | B |
(5) | 平面図形・角度 | C |
(6) | 速さ・流水算 | B |
(7) | 数の性質 | C |
大問2 | ||
(1) | 割合 | B |
(2) | 割合・記述 | C |
(3) | 割合 | D |
大問3 | ||
(1) | 場合の数 | B |
(2) | 場合の数 | C |
(3) | 場合の数 | E |
大問4 | ||
(1)① | 平面図形と比 | B |
(1)② | 平面図形と比 | B |
(2)① | 平面図形と比 | D |
(2)② | 平面図形と比 | D |
(3) | 平面図形と比 | D |
(4)① | 平面図形と比 | E |
(4)② | 平面図形と比 | E |
大問5 | ||
(1) | 統計 | C |
(2)① | 統計 | D |
(2)② | 統計 | D |
(2)③ | 統計 | D |
(3) | 統計 | D |
(4) | 統計 | E |
それでは、順に見ていきましょう。
2、各論(大問1~5)
大問1
(1)(2)「計算問題」
ウオーミングアップ問題です。
(3)「規則性」
12+10+10+10……=132
初めの12を10にすれば、合計は130です。
(4)「割合」
60%ではありません。
(5)「平面図形・角度」
半円の中心から、2番目、3番目の●に向かって、補助線を引きます。
すると、正三角形と直角二等辺三角形が現れます。
60度や45度を使って、「あ」を求めます。
(6)「速さ・流水算」
速さの「比」と「差」がわかります。
(7)「数の性質」
□÷14=AあまりA
□=A×15(Aは1~13)
1から13までの和を15倍します。
以上、大問1は、満点を目指しましょう。
大問2「割合」
プレゼント代を①として、母、兄、姉、Aそれぞれの金額を〇を使って表します。
「比」と「差」がわかります。
つまり、大問1(6)と同じパターンです。
大問2は、同じテーマで小問3問分なので、大問1の小問3問分より、点が取りやすいでしょう。
大問3「場合の数」
(1)(2)は易しい問題ですが、(3)が難問です。
これを解きます。
(B,C)の順に、(1,8)(2,9)……と試していきます。
(3,10)のときA=1で、うまくいきます。
よって、ア=3+10+17=30(答)
大問4「平面図形と比」
直角二等辺三角形の直角をはさむ辺の長さがわかっているとき、直角と向かい合う辺(斜辺)の長さは、ルートになってしまいます。
逆に、斜辺の長さがわかっているとき、直角をはさむ辺の長さは、ルートになってしまいます。
よって、2つの直角二等辺三角形のうち、一方は直角をはさむ辺の長さがわかっていて、他方は斜辺の長さがわかっているとき、2つの三角形の「相似比」を求めることは、算数の範囲では、できません。(中学の数学になります)
でも、相似比はわからなくても、「面積比」はわかります。
逆に、面積比がわかるとき、一方の三角形の直角をはさむ辺の長さと、他方の三角形の斜辺の長さの比がわかることもあります。
そのためには、直角二等辺三角形を組み合わせて、正方形にして、正方形どうしを比べればよいのです。
このことを指摘するために、(1)が存在します。
(1)には、正方形がかいてあります。
(2)からは、正方形がかいてありませんが、自分で正方形をかき足して、応用問題を解きます。
大問5「統計」
「最大値」を求めるには、「極端に考える」という算数の発想法を使います。
平均点を最大にしたければ、「仮に全員が最高点だったら……」と考えます。
当然、不都合が起きます。
などです。
不都合が起きたら、修正します。
(4)は、これに加えて、もう一工夫が必要です。
女子と男子を比べると、男子は真ん中の2人を65点、65点に設定できるので、最低点の44点の人以外、全員を65点以上にすることができますが、女子は、真ん中の人が61点なので、65点以上の人の人数が、10人までです。
そこで、先に女子の平均点を確定してしまうことがポイントです。
吉祥女子の算数の特徴は、大問の数に比べて、小問が多いという点にあります。
本年度は、大問5問に対し、小問は26問。
大問1問あたり、平均5.2問の小問で、構成されています。
これは、
ということを示しています。
以前の過去問では、誘導の仕方が、即物的(?)でした。
たとえば、1つの応用問題を解き終わるまでに、5本の式を立てる必要があるとすると、小問(1)~(5)で順番に式を立てるように誘導する、といったイメージの問題でした。
ところが、本年度の問題では、そのような誘導ではなく、「発想法の誘導」という、抽象化されたヒントの出し方に、進化しています。
典型的なのが、大問4。
大問4の(1)は、直角二等辺三角形に対し、合同な直角二等辺三角形を「つけ足して」、正方形を作って考える、という発想を伝授しています。
小問(2)~(4)では、問題が変わり、自分で正方形をつけ足さなければなりません。
つまり、手取り足取り教えて、正解に導くのではなく、抽象的なヒントをもとに、自分で考える能力を試しているのです。
本問では、「つけ足して考える」という算数の発想法が、ヒントとして示されています。
これを、本番中に気づけたら、大したものです。
でも、現実には、なかなか難しいかもしれません。
ところが、算数の発想法は、無限に作成できる応用問題に比べると、かなり限られています。
それを事前におさえていれば、誰でも「ああ、あの発想か!」と、ピンときます。
気づき方が全然違ってきます。
当ホームページ内
では、算数の発想法について、さらにくわしく、ご説明しています。
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