目次
「傾向」
1、概要
(1)入試結果
(2)出題分野
(3)難易度
2、各論(大問1~4)
「対策」
1、概要
(1)入試結果
2021年度、駒場東邦・算数は、ほぼ例年並みの出題傾向、難易度でした。
それにもかかわらず、学校公表の受験者平均点は、120点満点中、60.6点(50.5%)、合格者平均点は73.0点(60.8%)にとどまりました。
合格者平均点が、例年の受験者平均点にも届かない……
20年3月以来の、壮絶な環境を物語る結果となりました。
そのような状況でも、受験者平均点と、合格者平均点の差は、12.4点。
他教科に比べ、算数で圧倒的な差がついています。
(2)出題分野
大問1は、「計算」「平面図形」「虫食い算」「場合の数」などの小問群です。
大問2は、「場合の数」。有名なフィボナッチ数列のバリエーション、トリボナッチ数列です。
(3)が少々手間がかかります。
大問3は、「立体切断」。本問は、かなり古い、駒東過去問の焼き直し問題。ほぼ、数字替えに近い問題です。
これは、珍しいことで、もしかすると、出題者が社会状況を考慮した結果かもしれません。
大問4も、「場合の数」。(3)は、難問です。
全体的に、「場合の数」からの出題が60%ほどを占めています。
「場合の数」からの出題は、各学校で目立っていますが、これも社会状況によるものでしょう。
受験知識を控えつつ、地頭の良さを試すには、必然的に「場合の数」が重宝されます。
(3)難易度
概要でも述べた通り、駒東は「場合の数」からの出題を増やすことで、難易度は下げませんでした。
受験知識の達成度よりも、地頭を見る、という方針を取ったようです。
それらの多くは、「場合分けに手間がかかる」という方向で、難化しましたが、大問4の、特に(3)は、駒東らしく、理論的にも難しい問題でした。
「出題分野&難易度マップ」を掲載致します。(難易度は、レッツ算数教室の分析によります)
Aが最も易しく、BCDEFの順に、難しくなっていきます。
出題分野&難易度マップ | ||
大問1 | ||
(1) | 計算 | A |
(2) | 平面図形(面積) | B |
(3) | 虫食い算 | E |
(4) | 場合の数 | D |
(5)① | 場合の数 | D |
(5)② | 場合の数 | D |
大問2 | ||
(1) | 場合の数・トリボナッチ | C |
(2) | 場合の数・トリボナッチ | C |
(3)① | 場合の数・トリボナッチ | D |
(3)② | 場合の数・トリボナッチ | E |
大問3 | ||
(1) | 立体切断 | C |
(2) | 立体切断 | D |
大問4 | ||
(1) | 場合の数 | D |
(2) | 場合の数 | E |
(3) | 場合の数 | F |
単純計算で、小問6問を落としても、60%程度は取れるので、EFの問題はできなくても、十分合格できたと思われます。
Dの問題が、何問解けたかで、勝負がついたのではないでしょうか。
2、各論
それでは、順に見ていきましょう。
大問1
(1)「計算」
これは、いいですね。
(2)「平面図形」
これも、4年生で勉強する問題です。
ここまで、仏の顔を見せていたのですが……
(3)「虫食い算」
けっこう難問です。必ず繰り上がることを利用して、式を立てましょう。
です。
NEWを大きくするには、Nを大きく、Eを小さくしなければなりません。
このあたりをヒントに考えてみましょう。
(4)「場合の数」
1の位に出てくる1は何個。
10の位に出てくる1は何個。
と、数えていくと良いでしょう。
(5)場合の数
立方体の展開図を書き出すときと似た要領で、解けます。
(4)(5)あたりを、ミスなく確実に取れると、合格が見えてきます。
大問2「場合の数・トリボナッチ」
有名な数列ですが、本年の受験生がどこまで勉強できていたかによって、大差がついたかもしれません。
もし、階段を上る問題が、フィボナッチ、トリボナッチであることを知っていれば、(1)(2)は楽勝です。
それでも、(3)①はかなりの注意力を必要とするので、ここで差がついたでしょう。
(3)②も、理論は簡単ですが、実行するには時間がかかり、本番での正答率は低かったと思われます。
大問3「立体切断」
(1)(2)とも、駒東過去問に、とてもよく似た問題があります。
例年の受験生にとっては、簡単です。
ポイントは、切断面の面積を、何平方cmか求めるのではなく、Sの何倍かを、相似比を使って求めることです。
大問4「場合の数」
(1)
1011などの端、1920と2019などの、切り替わりポイントなどを、慎重に書き出し、中間部分は省略する、という方法で解けば、どうということはありません。
(2)
(1)で書き出した数列をながめながら、千、百の位については、
10+11+11+12+12+……98+98+99
を計算すればよいのですが、十、一の位についても、順序こそ異なりますが、結局同じであることに気づけば、少々手間がかかりますが、解けます。
さらに別解として、この数列が「対称性」を備えていることに気づけば、「平均」は、中央部分の2つを取り出して、平均を求めるだけで良いと、わかります。
(10+99)÷2=54.5
より、中央部分の平均、
(5455+5554)÷2=5504.5
が、答えです。
(3)
これが、本年度の最も難しい問題です。
2021年には、2021年問題が出る!ということで、多くの受験生が
2021=43×47
の素因数分解を用意しています。
よって、2021が47の倍数であることは、一目瞭然。
当然、答えの一つです。
でも、これだけでは、解答用紙の(答えの出し方)の欄が、ほぼ空白。
まだまだありそうです。
ここで、10進法の仕組みを思い出してみましょう。
4けたの整数ABABは、
AB×100+AB=AB×101
と表せます。
ということは、本問で求める整数は、(101の倍数+1)または、(101の倍数-1)であることがわかります。
周期は101です。
これが47の倍数でもあることから、47×101=4747周期であることが、わかります。
ここがポイントです。
本年度は、出題分野が「場合の数」に偏っています。
「速さ」「割合」の出題がありませんし、「平面図形」の扱いも、軽すぎます。
この傾向は、本年限りではないかと、予想します。
次年度からは、「速さ」「平面図形」の難問が復活し、立体切断も、もっと複雑な問題が出るでしょう。
駒東の受験生であれば、オールラウンドに、全分野まんべんなく準備しましょう。
それにしても、本年の「場合の数」は、なかなか骨がありました。
一口に「場合の数」といっても、切り口、着眼点は多岐にわたり、今後の出題予想にも、役立ちます。
大いに、参考にしましょう。
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