目次 |
「傾向」 |
1、概要 |
(1)入試結果 |
(2)出題分野 |
(3)難易度 |
2、各論(大問1~5) |
「対策」 |
1、概要
(1)入試結果
聖光学院2021年第1回算数は、例年通りの出題傾向、難易度でした。
学校公表の合格者平均点は、150点満点中、96.3点(64.2%)。難易度から考えて、大変高い得点率です。
(2)出題分野
「平面図形」「立体図形」「速さと比」「場合の数」「数の性質」「規則性」「それらの融合問題」など、聖光らしい問題が並んでいます。
強いて言えば、本年は、百分率、歩合などの「割合」固有の問題の出題がありませんでした。
これは、「問題数がとても多いわけではない」ということから生じる当然の現象で、もちろん、来年度以降に向けてマークしておくべきです。
(3)難易度
全体的に、難しい問題が多数を占めています。
どんなに勉強しても、才能がなければ解けない、というタイプの、ひらめき型の超難問はありません。
しかし、聖光の算数のように、努力が報われるタイプの難問というのは、受験生が努力家ぞろいの場合、相当な難問でも正答率が上がります。
合格者平均64.2%は、並大抵ではありません。
また、多くの難関校で、問題文の長文化が進んでいますが、聖光も徐々に長文化が進み、本年度は、特に大問4が長文でした。
長ければ難しいと決まっているわけではありませんが、問題用紙を開いた瞬間のプレッシャーは、増してきたと思われます。
「出題分野&難易度マップ」を掲載致します。(難易度はレッツ算数教室の分析によります)
Aが最も易しく、BCDEの順に、難しくなっていきます。
出題分野&難易度マップ | ||
大問1 | ||
(1) | 計算 | A |
(2) | 数の性質 | C |
(3) | つるかめ算 | D |
大問2 | ||
(1) | 場合分け | B |
(2) | 場合分け | D |
(3) | 場合分け | D |
大問3 | ||
(1) | 速さと比 | C |
(2) | 速さと比 | E |
(3) | 速さと比 | E |
(4) | 速さと比 | E |
大問4 | ||
(1) | 平面図形 | D |
(2) | 平面図形と比 | D |
(3) | 平面図形と比 | D |
(4) | 平面図形と比・規則性 | D |
大問5 | ||
(1) | 立体切断 | E |
(2) | 立体切断 | E |
(3) | 立体切断 | E |
それでは、順に見ていきましょう。
2、各論
大問1
(1)「計算問題」
(2)「数の性質」
ここは、ウオーミングアップ問題です。
(3)「つるかめ算」
本問は、多少、問題文の意味が取りにくいかもしれません。
「買ったケーキは3種類で、お母さんのケーキは他の9人のものとは違う種類」とあります。
お母さんのケーキは、380円、420円、500円のどれかで、その種類のケーキは、1個しか買わなかったということです。
お母さんの誕生日に家族みんなで食べるケーキ……
お母さんが380円の一番安いケーキで、他の家族9人は、420円や、500円の高いケーキを食べている……
可能性としては、それもアリ!という問題です。(心理的抵抗は、算数なので、無視します)
ここは、お母さんが食べたケーキがどれかにより、3通りに場合分けすることになります。
そうすれば、あとは単純なつるかめ算。
最終的に、お母さんが食べたケーキは、420円または500円と判明します。
大問2「場合分け」
本問は、「虫食い算・論理パズル」に分類しても良いような問題です。
完璧な論理的解法が学校ホームページに掲載されています。
そこで、レッツ算数教室では、入試の現場でよくありそうな解法について、一言述べさせていただきます。
まず、問題文を読み終わった直後では、よくわからないのです。
「うわっ、難しそう……」
というのが、正直な感想です。
そこで、とりあえず、わかるところから書き出していきます。
Mは4ケタの整数ですから、小さい順に1000,1001,1002……と書き出して、片っぱしから4倍していきます。
「9999まで書き出せば、絶対答えが見つかる」
という安心感に支えられながら、同時に、
「おいおい、今日中に解けるのかよ」
という不安もいだきつつ、とりあえず、いくつか書き出して、4倍します。
そうすると、4000,4004,4008……ですから、百の位が3以下はナシとか、2500以上だと、4倍して5ケタだから、それもナシとか、色々わかってきます。
くり上がりが与える影響についても、だんだんわかってきます。
この原始的な実験によって、ある程度様子がつかめてから、もう一度何を考えればいいか、考えましょう。
いきなり最短距離で突き進める人は、ほとんどいませんから、大丈夫です。
書き出しながら、あれこれ試行錯誤して、規則性や、特殊事情や、様々な現象を観察し、急所がどこかを見抜く。
そのスピードの競争です。
大問3「速さと比」
本問も、聖光らしい速さの問題です。
進行グラフをかくのが、効果的です。
進行グラフは、着眼点がある程度決まっていて、練習すると、経験的にパッと気がつくようになります。
努力が報われる問題なのです。
ここが聖光らしさです。
本問では、「等しいものに注目する」という算数の発想法が役に立ちます。
算数の発想法については、当ホームページ内
の中で、くわしく説明しています。
なお、小問(2)は(1)をヒントに解く問題ですが、それがわかっていても難しく、(2)さえ解ければ、(3)(4)は簡単ですが、(2)が解けないと、(3)(4)も連動していて解けない、という、非常にシビアな問題です。
(2)で、等しいものに注目できたかどうかが、合否の分かれ目でしょう。
大問4「平面図形と比」
本問は、近年の「長文化」の流れをくむ問題です。聖光算数史上、最も長い問題文ではないでしょうか。
でも、読む負担が重いわりに、算数的な内容は若干控えめですから、大問3を後回しにして、先に大問4を解いてしまう(=気持ちを落ちつかせる)というのも、実践的な判断です。
内容的には、聖光の受験生にとっては、お手の物でしょう。
はじめのいくつかについては、図をかいて表にまとめ、規則性を確認してから、計算で一気に最終的な答えを求めます。
あとは、ミスしないよう、慎重に。
大問5「立体切断」
立体切断のテクニック自体に、特別なものは求められていません。
従って、本問も、努力が報われる難問です。
某大手塾では、毎週、立体切断の特訓を繰り返していますが、その成果が存分に発揮されたことと思います。
ただ、何本もの切り口線や、切り口面同士の交線が重なりそうになり、目がチラチラします。
頭脳の戦いというより、目の戦いです。
視力を尽くして、がんばりましょう。
聖光らしい、ヘビーな難問が並ぶ2021年第1回でした。
さて、ここでは、「視力を補う工夫」について、述べておきます。
大問5の解説中で、「視力を尽くしてがんばりましょう」と述べました。
一応、この記事をお読みいただいている小学生向けに申し上げておくと、「死力を尽くす」が正しい日本語です。
すごくがんばるという意味です。
でも、算数は、根性論だけでは乗り切れないときもあります。
視力の限界をこえる難問を解くには、視力を補う技術論が必要です。
大問5の解説中で、切り口線や交線が重なって、目がチラチラするという難しさを、指摘しました。(本問の難しさは、これだけです)
それでも、がんばって目をこらせば解ける、という人は、そうすればよいでしょう。
でも、この図面では、わけがわからない、混乱する、という人もいるかもしれません。
では、どうするかというと、がんばって目をこらすにも限界がありますから、がんばらなくてもよく見えるように、図を書き直すのです。
図は、ある方向から見ると、ある線とある線が重なって、わかりにくくても、別の方向から見れば、重ならない、ということが、十分ありえます。
自分で、都合のよい角度から見た図を書き直してはいかがでしょうか。
問題用紙に印刷されている図面を、律儀に守り通す必要はありません。
あるいは、今、確認したい部分だけを取り出してかき、それ以外の部分はかかない、という対策もあります。
自分自身で変幻自在に図をかき直せば、目にやさしい図になります。
自分がやりやすいように、工夫してみましょう。
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