目次 |
「傾向」 |
1、概要 |
(1)入試結果 |
(2)出題分野 |
(3)難易度 |
2、各論(大問1~5) |
「対策」 |
(1)入試結果
フェリス2022年・算数は、急激に難化しました。
受験者平均点は、前年度から20点ダウン。37点となりました。
受験者平均点 | |
2022年 | 37 |
2021年 | 57 |
2020年 | 54 |
(フェリス女学院中学ホームページより引用・算数100点満点)
(2)出題分野
「数の性質」「場合の数」「割合」「速さ」「点の移動」「平面図形」などから出題されています。
(3)難易度
平均点が示す通り、難しくなっています。
本来、わりと簡単に満点近く得点できるはずの大問1で、難しい問題、時間のかかる問題が出題されています。
しかも、大問1と2だけで、小問数が16問にも及び、ここまでで、制限時間の大半を使い果たしてしまった人が、続出したのではないかと思います。
また、大問4がとても難しいため、動揺して、大問5(1)(2)の比較的易しい問題が解けなかった可能性もあります。
出題分野&難易度マップを掲載致します。(難易度は、レッツ算数教室の分析によります)
Aが最も易しく、BCDEの順に難しくなっていきます。
出題分野&難易度マップ | ||
大問1 | ||
(1) | 計算問題 | A |
(2)ア | 割合・濃さ | C |
(2)イ | 割合・濃さ | D |
(3)ア | 数の性質 | D |
(3)イ | 数の性質 | D |
(3)ウ | 数の性質 | D |
(4) | 平面図形 | E |
(5)ア | 場合の数 | B |
(5)イ | 場合の数 | C |
(5)ウ | 場合の数 | D |
大問2 | ||
ア | 数の性質 | B |
イ | 数の性質 | B |
ウ | 数の性質 | C |
エ | 数の性質 | C |
オ | 数の性質 | D |
カ | 数の性質 | D |
大問3 | ||
(1) | 割合・仕事算 | C |
(2) | 割合・仕事算 | C |
大問4 | ||
(1) | 速さ | E |
(2) | 速さ | E |
大問5 | ||
(1)ア | 点の移動 | C |
(2)イ | 点の移動 | C |
(2)ウ | 点の移動 | C |
(2)エ | 点の移動 | C |
(3) | 点の移動 | D |
それでは、順に見ていきましょう。
大問1(1)「計算問題」
0.125=1/8は、必須知識です。
本問を、すべて分数で計算するか、小数にそろえて計算するか、両者を組み合わせるかは、判断が分かれるところです。
大問1(2)「割合・濃さ」
ア すべてを1つの容器に入れた時と、同じ濃さになります。
(9×210+2×280)÷(210+280)=5%(答)
イ どちらの容器も5%になったということは、どちらの容器でも、9%の食塩水と2%の食塩水が、3:4で混ざったということです。
Aにおける4は、Bにおける[3]の2倍、すなわち[6]にあたります。
9% | 2% | |
容器A | ③=[4.5] | ④=[6] |
容器B | [3] | [4] |
[4.5]+[6]+[4]+[3]=[17.5]
(210+280)×3/17.5=84g(答)
大問1(3)「数の性質」
1/24,2/24,3/24……
1/17,2/17,3/17……
通分して比べると、
17/408,34/408,51/408……
24/408,48/408,72/408……
分子だけで比べると、
17,34,51,68,85,102,119……
24,48,72,96,120……
51と68の間が17開き、119と120の間は1です。
最大が17より大きくなることは、あり得ません。なぜならば、もし17より大きければ、途中のどこかに17の倍数があり、そこで区切られるからです。
最小が1より小さくなることは、あり得ません。なぜならば、分子はすべて整数だからです。
最大17/408=1/24(ア)
最小1/408(イ)
和=391/408-17/408=11/12(ウ)
ウは、0~1の両側から1/24ずつ引いたものなので、
1-1/24×2=11/12と求めることもできます。
大問1(4)「平面図形」
三角形BDEを切り取って裏返し、辺ACの外側に貼り付けます。
(DをC、EをAに重ねます)
移動後のBをB'とします。
「あ」=「い」、AB=BDなので、四角形ABCB'は、AB'とBCが平行な等脚台形。
高さは22×2÷11=4cm
点A、B'から辺BCに垂直に下した線がBCと交わる点をF、Gとします。
三角形ABFと三角形B'CGは、直角二等辺三角形なので、BF=CG=4cm
よって、BE=AB'=FG=11-4×2=3cm(答)
大問1(5)「場合の数」
ア
● | ○ | ○ | ● | ○ | ● |
● | ○ | ● | ○ | ○ | ● |
以上、2通り(答)
イ
○ | ● | ○ | ● | ● | ○ |
○ | ● | ● | ○ | ● | ○ |
○ | ○ | ● | ○ | ● | ○ |
○ | ○ | ● | ● | ○ | ○ |
○ | ● | ○ | ○ | ● | ○ |
○ | ● | ○ | ● | ○ | ○ |
以上、6通り(答)
ウ
○ | ● | ○ | ○ | ● | ● |
○ | ● | ○ | ● | ○ | ● |
○ | ● | ○ | ● | ● | ○ |
● | ○ | ○ | ● | ○ | ● |
● | ○ | ○ | ● | ● | ○ |
● | ● | ○ | ○ | ● | ○ |
● | ● | ○ | ● | ○ | ○ |
○ | ● | ○ | ○ | ● | ○ |
○ | ● | ○ | ● | ○ | ○ |
● | ○ | ○ | ● | ○ | ○ |
以上、10通り(答)
大問2「数の性質」
➀ 100÷7=14あまり2より14(ア答)
(7+98)×14÷2=735(イ答)
② 100÷4=25、25÷7=3あまり4
25-3=22(ウ答)
(4+100)×25÷2=1300
1300-4×(7+14+21)=1132(エ答)
③
赤色のシールがはられているカードは
6,18,30,54,66,78,90の7枚(オ答)
和は342(カ答)
大問3「割合・仕事算」
(1)
壁の面積を2、Aさんのはじめの速さを5とします。
1/5+1/4=9/20
2÷9/20=40/9
5:40/9=9:8(答)
(2)
あらためて、Aのはじめの速さを45とします。
となります。
720÷45=16
Aは45×16+36×8=1008
Bは40×24=960
1008:960=21:20(答)
大問4「速さ」
(1)
太郎さんと花子さんは、それぞれDとEに同時に着いています。
とします。
BCは坂道の途中ではなく、ABとCDがつながっているとしても、かかる時間は同じですから、順序を入れかえて考えても大丈夫です。
第2式から第1式を引くと
②+6分=[2]
3/2倍すると
③+9分=[3]
第1式と比べると、□=9分
4×9/60=0.6km(答)
(2)
平らな道にかかる時間合計は1÷4=1/4時間=15分
(15-9)÷2=3分……花子さんがEから出会いの地点までにかかった時間
54-3=51分……FE下りの時間
5×51/60=4.25km……FE間
51×5/3=85分……太郎さんEF上りの時間
85+3-6=82分……花子さんが太郎さんに出会ってからAに到着するまでの時間
82-3-9=70分……花子さんの上り時間合計
3×70/60=3.5km
4.25+1+3.5=8.75km(答)
大問5「点の移動」
(1)
6×10/3×1/2=10秒(ア答)
(2)
P | E | 6 | 12 | 18 | 24 | 30 |
F | 5 | 11 | 17 | 23 | 29 | |
Q | E | 5 | 15 | 25 | 35 | |
F | 10 | 20 | 30 |
表より、1回目は5秒後(イ答)、2回目は30秒後(ウ答)
周期は30秒なので、1周期で2回
99÷2=49あまり1
30×49+5=1475秒後(エ答)
(3)
おうぎ形DEPの半径は12cm、中心角は150度
三角形DEPは底辺DE=12cm、高さ6cm
おうぎ形DEPから、三角形DEPを、引きます
12×12×3.14×150/360-12×6÷2=152.4㎠(オ答)
本年度の受験生は、出題傾向の突然の変化に戸惑い、大変だったと思います。
そのような中、強い精神力を発揮して合格なさった方たちは、見事です。
こんなに難しくなっても、受かる人は受かります。
では、どうすれば、このようなハプニングにも対処できるのでしょうか?
それは、備えをしておくことです。
これは、十分に「想定内」のことなのです。
毎年、どこかの学校で、平均点が何十点も下がるという事態が、起きています。
など、原因は様々です。
外部からはうかがい知ることのできない理由によって、どこかの学校で、出題傾向、難易度がガラッと変わることがあります。
ですから、受験生としては、常に、「ロシアンルーレット」に対する心の準備をしておかなければなりません。
また、心だけでなく、技術的にも、準備が必要です。
あまりに早い時期から、志望校別特訓のようなものに手を出し、志望校の傾向に特化しすぎるのは、危険です。
ある程度はば広く準備しておくべきです。
そして、最後は、ライバルを正確に見極めることです。
ライバルは、入試問題ではありません。
自分と同じくらいの偏差値の、受験生たちです。
「自分が苦しいなら、他の受験生も苦しいはずだ」
と確信できるように、心と技術の準備をしておきましょう。
この問題については、当ホームページ内に、専用の記事を、ご用意しております。
くわしくは、こちらでご説明しています。
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