慶應中等部の算数は、一部の問題を除き、それほどの難問ではありません。
「偏差値が高い学校なのだから、びっくりするような応用問題が出ているのだろう」
と思いつつ過去問を開くと、それほどでもありません。どこかで見たような「定番」の問題が並んでいます。しかも小問。ただし、制限時間に対して出題数は多い。出題数が多いから、全分野からまんべんなく出題されています。
では、これらは何を意味しているのでしょうか?
まず、合格点が高いということです。偏差値が高い受験生に定番の問題を出せば、正答率は上がります。
そして、出題数が多いため相当なスピードで解かなければならず、なおかつミスがゆるされません。
また、定番問題がまんべんなく出題されるということは、ふだんの勉強態度に「安定感」が求められているということです。
受験生は生身の人間です。
テストの点が悪いとモチベーションが下がり、その週に勉強している分野に穴があきがちです。
運動会の練習で疲れると、塾の授業中にウトウト。遠足が近づけば、気が散ってソワソワ。
せっかく理解力があっても、そのようなことでは苦手分野ができてしまいます。合格点が高い中でスキがあると、致命傷になります。
つまり、算数の特別な才能を持っていることよりも、精神的に安定し、強い意志を持っていることを重視しているというわけです。
さらには、子供の勉強にムラが生じたとき、それをフォローする学習環境があるか、ということも問われています。環境作りは、親や受験指導者の役割です。
もう少しくわしく見ていきましょう。
先ほど、定番問題が多いと言いましたが、実は、ここに工夫がほどこされています。それは、現在では定番化されている「かつての難問」も出題しているということです。
現在、どの塾のテキストにも当たり前のように掲載されている問題の中には、かつては難しすぎて、捨て問扱いされていたものもあります。
それを塾が研究し、上手な解き方を発明、紹介しているわけです。
このような問題は、いくら算数のセンスがよい人でも、初見では、しかも短時間では、そうそう解けるものではありません。
つまり、算数の天才でも不勉強では解けないし、算数はやや苦手という人でも、適切にコツコツ努力すれば、結構報われる。そのような問題を選んで、出題しています。
このように見てくると、慶応中等部の算数は、算数が得意で得意でしょうがないという人以外にも、広く門戸を開いています。日々の勉強ぶりの「安定感」こそが最も大切です。
ここ数年に限って、特に顕著な傾向はあるでしょうか?
従来は、易しい定番問題がズラリと並び、最後の1問だけ「満点阻止問題」が出題されていた感がありました。
ところが、大学附属校の人気上昇もあって受験生のレベルが上がったのでしょう。難問の数が増えました。
小問単位で全20問、というのがお約束のようですが、このうち4~5問がかなりの難問。それ以外は5年生にとってもやさし目の問題、という構成になっています。
難問にも2つのタイプがあります。
1つ目は、理論的、発想的に難しいもの。時間があっても解けません。
2つ目は、理屈は易しいけれども、とにかく手間がかかるもの。時間さえあれば解けますが、時間内に解くのは普通は無理。
そして、これらの難問は突然現れます。
「なんて易しい問題ばかりなんだろう」
と油断していると、かなりあせります。そして、ひとたび難問が現れると、そのまま最後まで難問続きの年もあります。
このあたりで先に進むのはあきらめて、見直しに入るか?それとも、解けそうな問題を拾うために、先へ進むか?
見きわめが難しいところです。事前に対策を立てておきましょう。
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