2018年度、大妻中野中学の算数入試は、合計11回、9種類の問題を用いて、実施されました。
このうち、第1回アドバンストと、第1回グローバルは、共通問題。第4回アドバンストと、第2回グローバルも共通問題です。
これだけ種類が多いと、「大妻中野の算数」とひとくくりにするのは、適切ではありません。
そこで、中学受験・算数の一般的な出題分野に比べて「オーソドックス・ユニーク」、問題の難易度によって「易しい・標準的・難しい」という分類を、まとめておきます。(いずれも、2018年度)
以上となります。
1、頻出分野について
(1)アドバンスト第1~4回、グローバル第1、2回、帰国生第1、2回、シンガポール会場について
大問1は計算問題、単位換算問題が出題されています。
計算問題は、「計算の工夫」を求められる問題、「計算の知識」を求められる問題が複数、出題されます。
大問2は、様々な分野からの小問群。「割合(食塩水・売買損益算)」「つるかめ算」「平均算」「仕事算」「平面図形(角度・面積)」「数の性質」など、はば広く出題されています。
特に、「食塩水」は、毎年、毎回、数字替え問題や、それに近い問題が、くり返し出題されています。
大問3、4は、それぞれテーマをもった応用問題が並んでいます。
近年は、「平面図形」「立体図形」「規則性」「論理パズル」などが、よく出題されています。
(2)算数入試について
2018年度は、大問1「食塩水問題」、大問2「規則性」、大問3「ルール指定問題(ロボットの動き)」という、ユニークな出題でした。
算数入試なのですから当然ですが、「算数は計算問題が重要な得点源」という受験生にとっては、厳しい出題です。
その一方で、算数が得意な受験生にとっては、それほど難しくないでしょう。
(3)新思考力総合3について
2018年度は、大問1が「ユークリッドの互除法」、大問2、大問3が「統計処理問題」。いずれも、ユニークな出題で、まさに「新思考力」です。
今後も、「算数雑学」や、「統計処理」などの分野から、ユニークな問題が出題されると、予想されます。
2、難易度について
冒頭に、難易度を整理しておきましたので、ここでは、特徴的な点にしぼって、指摘します。
まず、全体的には、易しい問題から標準的な問題が多い中で、部分的に、かなりの難問が出題されることがあります。
です。
易しい問題と、難しい問題の落差は、とても大きいです。
また、アドバンスト2018年度は、全4回のうち、第2回が他の3回に比べ、難し目でした。
たとえば、第1回と第2回の大問2(1)は、いずれも最大公約数の問題ですが、比べてみると、出題方針の違いが、よくわかります。
逆に、シンガポール会場2018年度の問題は、5年生でも普通に解ける問題が、大部分をしめています。
実施時期が10月21日という点を考慮しても、易しいです。
帰国生入試の一つとはいえ、「まだ帰国していない」という配慮からでしょうか。
「日本の塾に通っていないけれども・・」という方。大丈夫です。
1、アドバンスト第1回~第4回について
合格者最低点、科目別平均点等が公表されており、対策は明確です。「基礎の充実」に尽きます。
大問1の計算問題、大問2の小問群で、ほぼほぼ満点を取ること。
そのためには、塾のテキストの「例題」「基本問題」等、基本的な問題を、すべてマスターしておくこと、です。
「算数で、暗記は禁物」と、くり返し言っていますが、もし、「どうしても算数は苦手」「どうがんばっても、理解できない」ということであれば、パターン暗記もやむを得ないでしょう。それでも、50%ぐらいは、得点できます。
合格には、60%程度が必要なのですが、「他教科と合わせて」ですから、得意科目で補えば、合格できるかもしれません。
「算数が得点源」という人は、大問3、大問4の前半の問題もがんばって得点すれば、70%以上の高得点が取れます。
大問3、4の後半の問題、特に、大問4の(3)(4)あたりは、相当な難問です。「合否」という観点からすると、捨て問にするのも、やむを得ません。「努力目標」「できるようになれば、それに越したことはないけれど・・・」ぐらいに受け止めて、無理しないほうが、合格戦略としては正解です。
大妻中野中学の場合、対策は、むしろ「どの回に受験するか?」だと思います。回によって、合格の難易度は、全く異なります。
第2回アドバンストの問題が、やや難しいにもかかわらず、平均点がそれほど大きく落ち込んでいないのは、受験生のレベルの高さを示しています。
ちなみに、2018年第2回アドバンストの大問4は、2018年度の大妻中野算数の中で、最も難しく、問題作成にも、手がかかっていたと推測します。
2、グローバルについて
第1回、第2回グローバルの問題はアドバンスト回と共通問題ですから、事前の準備としては、アドバンスト回と同じ。すなわち、基礎の徹底に尽きます。
塾のテキストで、「例題」「基本問題」などを、十分、解き込んで下さい。
大問4の後半などは、偏差値70前後の受験生でも、そうそう解けるものではありませんから、捨てても、合否に影響はないと推測します。
3、算数入試について
合格者最低点、平均点等が非公表なので、何とも言えない部分が残りますが、算数入試のポイントは、
にあります。
いずれも、算数的読解力が必要です。
一般的な中学入試問題では、あまり見かけないため、慣れていませんが、慣れればある程度対処できるようになります。
グラフの読み取りは、公立中高一貫校でさかんに出題されていますし、私学では、三田国際中や、光塩女子中などでも、よく出題されています。
大妻中野中の過去問と合わせて、練習するとよいでしょう。
今後の入試では、大学受験も含めて、重要になっていく分野です。
ルール指定問題は、従来から、私学でもよく出題されてきました。
大妻中野では、2進法(サンプル問題)、ロボットの動き(2018年度)などが出題されています。
この2題は、共通部分に注目すると、規則性が見えやすくなっています。
色々な問題で練習しましょう。
4、新思考力について
全ての回の中で、最も難しい問題が出題されます。
アドバンスト、グローバルの大問4が、「論理パズル」のような、論理の込み入った難しさであるのに対し、新思考力の難しさは、「発想力」です。
論理パズルは、一つ一つ根気よく論理を積み上げていくと、ある程度、考えを推し進めることができます。そのかわり、ゴールに行きつくまで、かなりの手間もかかります。
ところが、発想力問題は、「気がつけば簡単だが、気がつかないと、手のつけようがない」という難しさです。
最も対策が立てにくい問題でしょう。
ただ、手元にある大手塾の偏差値表と、新思考力の過去問とを照らし合わせると、合格最低点は、あまり高くないと思われます。非公表なので、推測にすぎませんが。
他の分野(総合1、2)で、勝負がつくのではないでしょうか。
5、第1回、第2回帰国生について
アドバンスト回、グローバル回と似たタイプの問題です。対策も、同じです。
大問1、大問2とも、基本的な問題ですから、塾のテキストの「例題」「基本問題」等を十分にマスターしましょう。
2018年度について述べると、アドバンスト、グローバル回よりも、大問3が、少し易し目です。その分、合格者最低点が上がっているかもしれません。
より、基本の徹底が求められます。
6、帰国生シンガポール会場について
「傾向」で述べた通り、超基本的な出題です。これは、受験勉強の環境に配慮した結果でしょう。問題が易しいからといって、対処できるような環境にいなければ、合格は難しくなります。
では、どの程度のレベルが求められているのでしょうか?
お子様の資質にもよりますが、2年、3年塾に通う必要はありません。書店で販売している、中学受験用の問題集(厚さ2センチ程度のもの。レベルは標準的なもの。)を1冊仕上げれば、十分です。
最後まであきらめずに、頑張って下さい。