目次 |
「傾向」 |
1、概要 |
(1)入試結果 |
(2)出題分野 |
(3)難易度 |
2、各論(大問1~4) |
栄光学園に強い家庭教師が「裏技」を伝授! |
「対策」 |
(1)入試結果
栄光2022年・算数は、一段と難しくなりました。
合格者平均点は70点満点中、38.5点(55%)です。
ここ数年、平均点は下がり続けています。
受験者平均点 | 合格者平均点 | |
2022年 | 29.4(42%) | 38.5(55%) |
2021年 | 34.0 | 43.8 |
2020年 | 38.1 | 47.9 |
2019年 | 37.2 | 49.2 |
(栄光学園ホームページより引用)
(2)出題分野
「数の性質」「場合の数」「速さ」「立体図形」から、出題されています。
「数の性質」は実質的には「場合分け」の要素も多く含んでいます。
「立体図形」は、展開図を合わせて考える必要があり、実質的には「平面図形」との融合問題になっています。
いずれも、中学受験・算数の最新傾向に沿った出題です。
(3)難易度
年々、難化し続けていますが、それに比べると、平均点はそれほど大きく下がっていません。
その理由は、もちろん、1人1人の受験生の努力によって、受験生側の実力が上がっていることもあるでしょう。
が、それに加えて、得点しやすい問題が一定量残っているという点も、見落とせません。
各大問の後半の小問が、どんどん難化する一方、前半は比較的易し目で、むしろ得点しやすい。
つまり、難しい問題と易しい問題がはっきり色分けされていて、40%(約30点)ぐらいは簡単に得点できるということです。
出題分野&難易度マップを掲載致します。(難易度は、レッツ算数教室の分析によります)
Aが最も易しく、BCDEFの順に難しくなっていきます。
出題分野&難易度マップ | ||
大問1 | ||
(1) | 数の性質 | A |
(2) | 数の性質 | C |
(3) | 数の性質 | E |
(4) | 数の性質 | E |
(5) | 数の性質 | F |
大問2 | ||
(1)(ア) | 場合の数 | C |
(1)(イ) | 場合の数 | D |
(2)(ア) | 場合の数 | D |
(2)(イ) | 場合の数 | E |
(3) | 場合の数 | E |
(4) | 場合の数 | F |
大問3 | ||
(1) | 速さ | B |
(2) | 速さ | C |
(3) | 速さ | C |
(4)(ア) | 速さ | D |
(4)(イ) | 速さ | D |
(5) | 速さ | F |
大問4 | ||
(1) | 立体図形 | C |
(2) | 立体図形 | C |
(3) | 立体図形 | D |
(4)(ア) | 立体図形 | D |
(4)(イ) | 立体図形 | F |
(4)(ウ) | 立体図形 | F |
(5) | 立体図形 | F |
レベルA~Dの問題をすべて得点すると、合格者平均点をやや上回ると推定します。
それでは、順に見ていきましょう。
大問1「数の性質」
(1)
ウオーミングアップ問題です。帯分数に直して、整数部分と、分数部分を分けて足すと、速いでしょう。
(2)
9/5以下ということは、とにかく小さくしてしまえば良いということです。
そこで、大きい数(6~10)は分母へ、小さい数(1~5)は分子へ、配置します。
また、分子の中でも大きな数は、大きな分母で割って、小さくするという方針でいきます。
5/10+4/9+3/8+2/7+1/6=893/504(答)
(3)
今度は「和が整数」という条件があります。
よって、7は絶対に分子です。
また、3、6、9などは、分母が3の分数にして、和が整数になるよう、工夫します。
2、4、8は、分母が2の分数を作るのに適しています。
大まかに、このような方針で試すと、一例として、以下の式ができます。
7/2+1/3+10/5+4/8+6/9=7(答)
(4)(5)ともに、多くの地道な場合分けをくり返すことで、必ず正解にたどり着けます。
そのような意味で、本問は「場合分け能力」を試す問題ともいえます。
でも、それでは、あまりにも時間がかかる!
もっと効率よく解けないか?
というわけで、ご紹介するのが、以下の裏技です。
まず、(4)と(5)を見比べると、(4)では、最も小さい整数となる「式」を答え、(5)では、考えられる「計算結果(整数)」をすべて答えることを求めています。
結局、すべての整数をチェックしなければならないなら、はじめから、まとめて全部求めてしまいましょう。
その際、
「最大値」→「最小値」→「中間値」
の順に求めるのが、最も効率的です。
さて、「整数」とは、「約分すると分母が1になる分数」のことです。
つまり、分子は、分母より大きい。
そこで、大きい数は分子へ、小さい数は分母へ、配置します。
特に、7は分母に配置すると、約分の相手がいないため、必ず残ってしまい、積が整数になりませんから、絶対分子です。
(6/1)×(7/2)×(8/3)×(9/4)×(10/5)=252
整数になりました。(最大値252)
これを、見やすいように、次のような表で表すことにします。
6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 積 | |
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 252 |
(表1)
次に、最小値を求めます。
分子の7は絶対に約分できませんから、残ります。
もし、それ以外の数がすべて約分できて、1になってしまえば、最小値は7になります。
あとは、そのようなことが実際に起きるか、式を書くように、確認を求められているわけです。
そこで、1~10までの整数を、素因数分解の形で表してみます。
素因数としての2は8個、3は4個、5は2個、7は1個あります。
7は分子に配置することが確定ですから、残りの素因数を見てみると、すべて偶数個。
よって、分子、分母に半分ずつ配置できる可能性があります。
仮に配置できるとすると、252÷7=36なので、積252を作った式を36で割れば最小値7になります。
これは、表1の分子の6と、分母の1を交換することで、達成できます。
(分子が6分の1倍になり、分母が6倍になれば、全体では36分の1倍になります)
1 | 7 | 8 | 9 | 10 | 積 | |
6 | 2 | 3 | 4 | 5 | 7 |
(表2)
最小値7が、確認できました。
では、2番目に小さい数は何でしょうか?
ここで、素因数分解の結果を思い出してみましょう。
たとえば、素因数としての2は8個あり、表2では、これらが分子分母に4個ずつ配置されています。
これを分子5個、分母3個に配置しなおすと、約分後、分子に2×2=4が残ります。
つまり、7を4倍(平方数倍)したことになり28になります。
これを式で表すには、表2の1と2を入れかえます。
2 | 7 | 8 | 9 | 10 | 積 | |
6 | 1 | 3 | 4 | 5 | 28 |
分子が2倍、分母が2分の1倍になったので、全体では4倍になっています。
このように、素因数を分母から分子へ移動することにより、7は、必ず「平方数倍」されます。
よって、さらに3×3=9倍、4×4=16倍、5×5=25倍できる可能性があります。
実際、表2の1を、3、4、5と入れかえることによって、9倍、16倍、25倍したのと同じことになりますから、式で表すことができます。
3 | 7 | 8 | 9 | 10 | 積 | |
6 | 2 | 1 | 4 | 5 | 63 |
4 | 7 | 8 | 9 | 10 | 積 | |
6 | 2 | 3 | 1 | 5 | 112 |
5 | 7 | 8 | 9 | 10 | 積 | |
6 | 2 | 3 | 4 | 1 | 175 |
7の36倍は、最大値252なので、これで全て出そろいました。
答え、7、28、63、112、175、252
大問2「場合の数」
(1)(ア)
以上8通り(答)
(1)(イ)
上の8通りは、いずれもスタートに戻らない場合で、和は5
これに対し、スタートに戻る場合は④で2の目が出ます。
以上より、和は5、11、13(答)
(2)(ア)
以上より、11、13(答)
(2)(イ)
はじめに3-4でスタートに戻り、その後3が出続けてスタートと③を何度も往復し、最後に4-4-3でゴールします。
3+4+3×□+4+4+3=2022
□=668
よって、2+668+3=673回(答)
(3)
以上より、5、7、9、11、13(答)
(4)
仮にスタートに戻らないとすると、遠回りした分は必ず往復で偶数になり、5+偶数=奇数ですから、12にはなりません。
よって、必ずスタートに戻ります。
すると12-5×2=2より、遠回り分は2です。
以上、10通り(答)
大問3「速さ」
(1)(2)については、基本的な速さの問題です。
栄光学園の受験生にとっては、何も問題ないでしょう。
(3)
(2)の答えが1380mで、この時、AとBが重なっているので、次の1380mでも、全く同じことが起きます(周期6.7分)
3000-1380×2=240
Aは残り240mを分速240mで走るので、1分です。
6.7×2+1=14.4分=14分24秒(答)
(4)
同様に地道に調べていくと、7.5分でAが1580m走ったところで、3人の位置関係は、スタート時と同じになります(周期7.5分)
2倍すると、15分で3160mですから、160mだけ元に戻ればOK。
160÷200=0.8分
7.5×2-0.8=14.2分=14分12秒
差は12秒(答)
(5)
(4)のときに比べて、5秒遅れています。
これは、AがCに追い越された直後、分速を240mにして走っていた時間が短いためです。
本来、分速240mで1分間走っていた距離(240m)を、分速240mと分速200mで合計1分5秒で走ったことになります。
ここでつるかめ算が成立します。
CがAの前10m以内にいた時間は35秒とわかります。
AがCに2回目に追い越されてから35秒経過後に、Aはちょうど10周し、この時、CはAの前方35/6mの地点にいたことになります。
ここから逆算します。
大問4「立体図形」
(1)(2)は、栄光学園の受験生にとっては、とても簡単な問題です。
では、なぜ、このような問題を出題したのかというと、おそらく、側面の展開図と、底面の4分円が相似(4:1)になっていることを、強く印象づける目的があったと思われます。
これが本問の最大のポイントであり、重要なヒントになっています。
点Qを点Pの影(シャドー)と考えて解くことになります。
前年度の「対策」で、くわしくご説明した通りのことが、本年度でも繰り返されています。
栄光学園の算数は、以前のように、センス一発で簡単に解けるものばかりではありません。
地道に調べ上げる問題(大問2、3)、センスで解ける問題(大問4)、両者を融合した問題(大問1)が、すべて出題されるようになりました。
その結果、県内のライバル校であるS中学の出題傾向を一部取り込み、さらに、センスの良い受験生にはアドバンテージを与える、というスタンスになっています。
ただ、一部の問題が難化しすぎて、平均点が下がり、現状、実質40点満点の試験になっています。
算数を得点源とする受験生でも、40点を超えるのは、至難のわざでしょう。
逆に、簡単な問題はかなり簡単で、30点くらいなら(栄光学園の受験生なら)誰でも解ける問題になっています。
ということは、ほとんどの受験生が30点~40点の間に密集し、大混戦になっていると考えられます。
対策としては、算数でまず30点を確実に得点できるようにすることです。
ここから先、40点に近づけば近づくほど、求められる能力がどんどん上がります。
40点を超える勉強は、多くの受験生にとって、一般的な環境の下では、困難です。
40点取るだけでも、大変なことです。
4教科の合計点で勝負することを、常に視野に入れましょう。
そして、自分の得意、不得意も考えながら、総合的に対処しましょう。
追伸:
40点を超えるのが難しいというのは、本年度の難易度を前提にしていますが、ここは、毎年変わる可能性があります。
いわゆる、「揺り戻し」の可能性は、常にあります。
ですから、本年度の出題分野&難易度マップで、レベルE、Fの問題と同程度の難問は、来年度以降も捨て問にして大丈夫、という意味にご理解下さい。
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