目次 |
「傾向」 |
1、概要 |
(1)入試結果 |
(2)出題分野 |
(3)難易度 |
2、各論(大問1~10) |
「対策」 |
1、概要
(1)入試結果
芝中2021年度第1回・算数は、例年通りの出題傾向、難易度でした。
もっとも、大問が1問増えて10問になりました。
問題文の長さも、各問題が少しずつ長くなり、全体として、1.5倍弱ぐらいになりました。
学校公表の受験者平均点は、100点満点中53.3点。合格者平均点は68.6点です。
(2)出題分野
「割合」「数の性質」「平面図形」「規則性」「水そうグラフ」など、主だった分野から、まんべんなく出題されています。
今回は、特に「平面図形と比」が大きな部分を占めています。
(3)難易度
超難問は出題されていませんが、中の上レベルで、歯ごたえのある問題が、いくつか出題されています。
たとえば、大問3「数の性質」。約数の個数が3個の整数は有名ですが、5個、8個について、きちんと対応するのは、それほど易しくありません。
大問6「規則性」の(2)は、注意力がすみずみまでいきわたっていないと、ミスしやすい問題です。
これらの問題は、難問というわけではありませんが、見た瞬間解けるというほどでもありません。
このレベルの問題が寄せ集まって、従来より1問増えると(全10問)、じわっと圧迫感があるように思われます。
「出題分野&難易度マップ」を掲載致します。(難易度はレッツ算数教室の分析によります)
Aが最も易しく、BCDEの順に難しくなっていきます。
出題分野&難易度マップ | ||
大問1 | ||
(1) | 計算問題 | A |
(2) | 計算問題 | A |
大問2 | 割合・食塩水 | C |
大問3 | ||
(1) | 数の性質・約数の個数 | D |
(2) | 数の性質・約数の個数 | D |
大問4 | 割合・売買算 | C |
大問5 | ||
(1) | 平面図形と比 | B |
(2) | 平面図形と比 | C |
大問6 | ||
(1) | 約束記号・等差数列 | B |
(2) | 約束記号・等差数列 | D |
大問7 | ||
(1) | ルール指定 | C |
(2) | ルール指定・場合の数 | D |
大問8 | ||
(1) | ニュートン算 | C |
(2) | ニュートン算 | C |
大問9 | ||
(1) | 水そうグラフ | D |
(2) | 水そうグラフ | D |
大問10 | ||
(1) | 平面図形と比 | C |
(2) | 平面図形と比 | C |
(3) | 平面図形と比 | E |
ABC問題がすべて正解なら、約63%で、合格レベルでしょう。D問題も、いくつか正解したいところです。
それでは、順に見ていきましょう。
2、各論(大問1~10)
大問1「計算問題」
(2)は割り算が連続していて、(2ー□)が分母にきています。ミスしやすいパターンです。
大問2「割合・食塩水」
15%と20%を1:2の割合で混ぜれば、濃さは55/3%です。
これを何gかと、7%を600g混ぜて、10%にします。
大問3「数の性質・約数の個数」
「約数が5個」とは、素因数分解したとき、a×a×a×aです。
「約数が8個」とは、素因数分解したとき、a×a×a×a×a×a×aまたは、a×b×b×bです。
大問4「割合・売買算」
原価を①としたとき、売値と売れた個数がともにわかっているものが2つ。
売値はわかっているが、売れた個数のわからないものが1つ。
よって、大問2の食塩水問題と、全く同じ論理構造です。
大問5「平面図形と比」
全体から、角の三角形3つを切り取ると、内側の三角形になります。
切り取る辺の比が同じなので、内側の三角形は、同じ割合で、縮小します。
大問6「約束記号・等差数列」
(1)は、分子が等差数列の和。
(2)は、やや工夫が必要です。
分子は5の倍数、分母は7なので、5と7の最小公倍数35が周期になります。
周期ごとに和をとると、等差数列になります。
分子は315が周期の切れ目なので、ここまで求めてから、315の分を引くと、効率的です。
大問7「ルール指定・場合の数」
20個未満のときは、2倍。
20個以上のときは、20個取り出す。
「これで、0個になるのだろうか?」
と、混乱しそうになりますが、「以上」という言葉は、ちょうどのときも含みます。
よって、20個のとき、20個取り出して、0個になります。
あとは、定番問題。
「偶数なら2で割り、奇数なら1を足す」
という有名な問題と同じ要領で、樹形図をかけばOKです。
大問8「ニュートン算」
定番問題です。
大問9「水そうグラフ」
グラフの1回目の水平線は、蛇口Aと蛇口Bの和が、排水口Cと等しいことを示しています。
この水平線の時間帯は、ABCをすべて止めていたのと同じこと。
よって、AとBで48分かかって、満水にした、と考えます。
大問10「平面図形と比」
三角形の相似(砂時計)が、たくさんあります。
横方向(AD)の比を、斜め方向の比に移しかえていけば、全ての比がわかります。
本年度は、質、量とも、ほぼ例年通りながら、若干パワーアップした感があります。
細かいところで、作業量が増え、効率化するための工夫、ミスしないための工夫が求められています。
たとえば、大問6(2)では、先に周期の区切れ目までを計算して、そこから、半端分を引くと、効率化できます。
大問8では、
など、時刻の表現が紛らわしくなっています。
このような条件は、問題文の条件部分を□で囲むなり、時間の数直線に表すなり、「見える化」すると、ミスが減ります。
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