2019年東邦大東邦中(前期)の算数は、例年通りの出題傾向で、難易度は、やや難し目でした。
中学受験・算数ならではのテクニックを使う問題が出題されており、易しすぎる問題、難しすぎる問題は、ほとんど見られません。
順に見ていきましょう。
大問1「計算問題」
基本的な計算問題です。
大問2
(1)「数の性質」
72の約数を小さい方から順に1×2×3×4×6×8……と計算すると、手間がかかります。
(1×72)×(2×36)×(3×24)×(4×18)×(6×12)×(8×9)=72×72×72×72×72×72
よって、6(回)……答え
(2)「場合の数」
「空き箱ができないように」という条件があります。
よって、3つの箱のうち、どれか1つに2個、残りの箱に1個ずつ入れることになります。
2つの箱に、1個ずつ入れる方法は4×3=12通り。残りは、自動的に1通りに決まります。
2個入れる箱の選び方は3通り。
よって、12×3=36通り(答え)
(3)「速さのつるかめ算」
120m引き返した時の、往復240mが、ロス。ロスタイムは240÷80=3分。
よって、分速80mと、分速100mで、合計980mの道のりを、13.5-3=10.5分で行ったのと同じ。(つるかめ算)
(100×10.5-980)÷(100-80)=3.5分
80×3.5+120=400m(答え)
(4)「平面図形」「三角形の相似」「比合わせ」
BAの延長線とCGの延長線が交わる点をJとします。
三角形IBJと三角形IFCは相似で、相似比は3:1。よって、BI:IF=3:1。
三角形HBEと三角形HFCは相似で、相似比は4:3。よって、BH:HF=4:3。
よって、比合わせにより、BH:HI:IF=16:5:7となります。
三角形BCFの面積は平行四辺形ABCDの1/4で、三角形CIHの面積は、その(16+5+7)分の5倍。
(1/4)×(5/28)=5/112(答え)
大問3
(1)「図形の回転移動」
三角形DEFに含まれる点の中で、回転の中心点Dから最も遠い点は、F。
よって、三角形DEFが通過した部分は、辺DFが90度回転した部分に、すっぽり納まります。
5×5×3.14÷4+6=25.625㎠(答え)
(2)「図形の回転移動」
辺EF上の点の中で、回転の中心点Dから最も遠い点はC。最も近い点はB。
よって、底面積は、半径5cmの円から半径4cmの円を引いた、残りのドーナツ部分となります。
(5×5-4×4)×3.14=9×3.14=28.26㎠
高さは10cmだから
28.26×10=282.6㎤(答え)
大問4「場合の数」「10進法」
(1)
A=PQ、B=QP(P>Q)とします。
A+B=(P×10+Q)+(Q×10+P)=P×11+Q×11=(P+Q)×11
よってP+Q=121÷11=11
P>Qに気をつけて、(P,Q)=(9,2)(8,3)(7,4)(6,5)の4組(答え)
(2)
同様に、A-B=P×9ーQ×9=(P-Q)×9
よって、P-Q=63÷9=7
P>Qに気をつけて、(P,Q)=(9,2)(8,1)
答え、92,81
大問5「場合の数」「調べ」
(1)(百)の位を「3」に固定すると、(十)(一)の位は、00~99まで100通り。よって、(百)位の「3」は100個。
同様に、(十)の位を「3」に固定すると、(百)(一)の位は、00~99まで100通り。よって、(十)の位の「3」は、100個。
同様に、(一)の位を「3」に固定すると、(百)(十)の位は、00~99まで、100通り。よって、(一)の位の「3」は、100個。
合計すると、「3」を書く回数は100+100+100=300回(答え)
本問は1~999ですが、0に3は含まれないので、000~999で考えても、同じことです。
000~999まで、0,1,2,……8,9の10
個の数字が、対等な立場で(すなわち、同じ回数)使われます。(対称性)
数字は全部で3×1000=3000個あり、そのうち、3は、3000÷10=300個。よって300回(答え)
(2)
本問は、0259~3111までです。
(千)の位を「3」に固定すると、(百)(十)(一)の位は、000~111の112通り。よって、(千)の位の「3」は112個。
(百)の位を「3」に固定すると、(千)(十)(一)の位は000~299の300通り。よって、(百)の位の「3」は300個。
(十)の位を「3」に固定すると、(千)(百)(一)の位は、030~309の280通り。よって、(十)の位の「3」は280個。
(一)の位を「3」に固定すると、(千)(百)(十)の位は026~310の285通り。よって、(一)の位の「3」は285個。
合計すると、
112+300+280+285=977回(答え)
(3)
(2)で259~3111まで977回という数字が出ています。
1~258までにも「3」は使われていますし、3112~3999までの整数887個の千の位にも、1個ずつ、合計887個の「3」が使われています。
そうすると、1~3999までに、だいたい2020個の「3」があるのではないか、という大胆な予想が立ちます。
(1)(2)で使った方法で調べてみると、
(千)の位の「3」は000~999の1000個。
(百)の位の「3」は000~399の400個。
(十)の位の「3」は000~399の400個。
(一)の位の「3」は000~399の400個。
合計1000+400+400+400=2200個。
行きすぎました。
2020に戻すには、180減らす必要がありますが、かなりの手間です。
本番では、後回しでしょう。(実際、次の大問6の易しいことと比較して、ここでドツボにはまるべきではありません)
今は、解説なので続けると、3999から200もどって、0~3800までの「3」の個数を数えると、1961個。
2020-1961=59(残り)
3801~3829までの「3」は(千)の位が29個。(一)の位が3個。
59-29-3=27個(残り)
3830~3839までの「3」は21個。
27-21=6(残り)
3840,3841,3842,3843,3844
答え、3844
大問6「仕事算」「規則性」
(1)全体の仕事量を24に設定します。
A1台1時間あたりの仕事量は1。
B1台1時間あたりの仕事量は2。
24÷(1×2+2)=6時間(答え)
(2)
初めの30分の仕事量=2
次の30分の仕事量=1.5
次の30分の仕事量=1
以後、30ごとに、1.5と1がくり返されます。
全部合計すると、
30分×18+15分=555分=9時間15分(答え)
大問7「規則性」
(1)4+6+1=11個(答え)
(2)20:14=10:7より、長方形Bをたてに5個、横に7個並べたところで、対角線は格子点を通ります。
ここまでについて数えると、4+6+1=11個。これがもう1回繰り返されるので、11×2=22個(答え)
(3)42:99=14:33より、長方形Cをたてに7個、横に11個並べたところで、対角線は格子点を通ります。
ここまでについて考えると、6+10+1=17個。これが3回繰り返されるので、17×3=51個(答え)
2019年前期は大問4、大問5が難しい問題でした。
とくに、大問5の(3)は、かなり手間のかかる「調べ」問題です。
ここでハマってしまうと、一気に時間不足となり、大問6(1)や、大問7(1)といった数秒で解ける問題を見逃してしまうかもしれません。
常に全問に目を通し、取りやすい問題から取っていくことが重要です。
大問7(1)は、かつては難問だったのですが、上手な解き方が開発されて、すっかり定番化、公式化しました。
このため、公式を暗記するだけの受験生が増えたのでしょう。
(2)(3)は、そのような受験生を振り落とすための応用問題となっています。
公式の意味を理解していれば、十分に対応できる、良問です。
やはり、算数を暗記で乗り切ろうとするのは、厳禁ということが、よくわかります。
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