桐朋中2019年第1回算数は、やや難化しました。
序盤は、例年通り基本的な問題が多かったのですが、中盤から後半にかけて、難問が出題されています。
大問4の平面図形は、シンプルながらも、算数の重要な発想法が盛りだくさんの、応用問題です。よく練られた良問です。
大問6の場合分けも、なかなか大変です。
大問7の展開図問題は、超難問です。正確に説明するのは、小学生には、ほぼ不可能でしょう。部分点も、いただけないようです。
このあたりが、受験者平均点、合格者平均点を押し下げた要因と思われます。
順に見ていきましょう。
大問1「計算問題」
ウオーミングアップ問題です。確実に得点しましょう。
大問2
(1)「数の性質」
「15で割っても、24で割っても7余る」ということは、「15と24の公倍数で割ると、7余る」ということです。
15と24の最小公倍数は120。
2019÷120=16余り99
120×16+7=1927
120×17+7=2047(答え)
「2019に最も近い」という言い回しのときは、2019の直前だけでなく、直後も含みます。
また、公倍数は最も近くても、余りを足すと、遠くなってしまう場合もあります。
ミスしないよう、注意しましょう。
(2)「割合(売買損益算)」
120×0.85=102枚…定価1で売った枚数。
120-102=18枚…定価の2割引き0.8で売った枚数。
1×102+0.8×18=116.4…定価を1としたときの、売り上げ合計。
93120÷116.4=800円(答え)
(3)「割合」「倍数算」
男子×(1/5)+女子×(3/14)=115
男子×(1/5)+女子×(1/5)=112
よって、
女子×(1/70)=3
女子=3×70=210人(答え)
以上、大問2(1)~(3)は、基本的な定番問題でした。
大問3「ニュートン算」
牛1頭が1日に食べる牧草の量を1とします。
30×30=900
20×50=1000
(1000-900)÷(50-30)=5…1日に生える草の量
900-5×30=750…もともと生えていた草の量
750÷75=10…1日に減る草の量
(5+10)÷1=15頭(答え)
典型的なニュートン算ですが、記述式です。
記述式は難しいので、問題自体は応用要素のない、ナマの問題になっていて、バランスをとっています。
大問4「平面図形」
(1)平行四辺形BEFDの面積は、三角形BCDの面積の2倍であり、長方形ABCDの面積と等しい。
よって、7×10=70㎠(答え)
(2)三角形AEDの面積は、五角形ABECDの面積から、三角形ABEと三角形DCEの面積を引くことによって、求められます。
ここで、五角形ABECDの面積は、長方形ABCDと三角形BCEの面積の和でもあります。
長方形ABCD=7×10=70㎠
また、EC:CF=3:2に注目すると、三角形BCEの面積=平行四辺形BEFDの面積×(1/2)×(3/5)=21㎠
よって、五角形ABECD=70+21=91㎠
三角形ABEと三角形BCEの面積の和は、AB=CD=7cmを底辺と考えると、高さ合計=10cmと考えられるので、
7×10÷2=35㎠
よって三角形AED=91-35=56㎠(答え)
大問5「速さ(流水算)」
(1)240÷4=60m/分(答え)
(2)240÷(360-60)=0.8
4+0.8=4.8分ロスしました。
その後は、本来なら300-60=240m/分で上るところを、300m/分で上ったので、かかった時間は、5:4。
差の1が4.8分にあたるので、5にあたるのは4.8×5=24分。
240×24=5760m(答え)
(3)
行き240m/分。帰り360m/分。時間の比は3:2。1にあたる時間が9分。
よって、P地からQ地までの道のりは
240×9×3=6480m(答え)
大問6「ルール指定・場合の数」
(1)もう1つの2を塗れるのは、EまたはFですが、Fに塗ってしまうと、3を3つ塗れなくなるので、2はEで決まり。
3は、ADFまたはBDF.
よって、402323、132323(答え)
(2)なるべく大きい位の3を塗ります→ACE
残っているスペースのうち、なるべく大きな位の2を塗ります→BD
残っているスペースのうち、なるべく大きな位の1を塗ります→A
よって、423230(答え)
(3)A列の2が塗られていると、3の塗り場所は、BDFに確定します。
奇数にするためには、これ以上、Fを塗ってはいけません。
よって、もう1つの2は、CまたはEを塗ることになります。
それぞれについて、1を塗っても良い場所を、塗ります。
答え
242303,232403,232313,240323,231323,230423
大問7「立体図形(展開図)」
(1)問題文中の展開図に、数字をどんどん書き込んでいきます。
最後に、図1-図2を計算します。
4cm(答え)
(2)
①aが8本。3cmが4本。2cmが2本のとき、周の長さが最も長くなります。
44-3×4-2×2=28
28÷8=3.5(答え)
②まず、展開図の周の辺が、合計何本かが、問題となります。
長方形が6面あり、バラバラだと、辺の数合計は、4×6=24本になります。
でも、展開図では、長方形のつなぎ目が5か所あるので、2×5=10本が、つぶれます。
よって、合計24-10=14本。
14本の内訳について。
各辺は、展開図に開くとき、1本の辺を2本に分けるので、展開図上では、必ず偶数本ずつになります。
また、同じ長さの辺は、直方体のとき4本なので、展開図上では、最小2本、最大8本になります。(0本だと、展開図が輪っかになってしまい、展開図になりません)
以上から、内訳は「2以上8以下の偶数で、3つの和が14」ということになります。
(2,4,8)(2,6,6)(4,4,6)の3種類です。
(いずれも、展開図になることが確認できます。その際、図1、図2が参考になります。)
次に、内訳の組み合わせを、3.5cm,3cm,2cmに割り当てて、展開図の周の長さを求めます。
3.5cm | 3cm | 2cm | 合計 |
2本 | 4本 | 8本 | 35cm |
2本 |
8本 | 4本 | 39cm |
4本 | 2本 | 8本 | 36cm |
4本 | 8本 | 2本 | 42cm |
8本 | 2本 | 4本 | 42cm |
8本 | 4本 | 2本 | 44cm |
2本 | 6本 | 6本 | 37cm |
6本 | 2本 | 6本 | 39cm |
6本 | 6本 | 2本 | 43cm |
4本 | 4本 | 6本 | 40cm |
4本 | 6本 | 4本 | 34cm |
6本 | 4本 | 4本 | 41cm |
合計12通りありそうですが、42と39が2回ずつあります。よって10通り(答え)
難問です。
桐朋2019年第1回算数は、100点満点で、受験者平均点51.4点、合格者平均点63.0点。
例年に比べると、やや難しかったと言えます。
配点は不明ですが、おおざっぱに言うと、小問単位で7問落としても、合格者平均点は、ぎりぎり上回れそうです。
難しかったのは、大問4(2)、大問6(3)、大問7(2)。
それに続いて難しかったのは、大問5(2)(3)、あたりでしょうか。
本番では、後回しでよい問題です。
逆に、絶対落とせないのが、大問1全問、大問2全問、大問5(1)、大問7(1)です。
対策1
たとえば、大問3のニュートン算は、典型的なニュートン算です。応用の要素は、全くありません。
このような問題を、記述式で出題するという点に、学校側が受験生に求めている勉強が、よく表れています。
つまり、難易度の高い問題を、無理して勉強しなくてもよいかわりに、なぜ、そのような解き方をするのか、しっかり理解してほしい、ということです。
本問も、答えだけ書けばよいなら、桐朋受験生の正答率は、かなり高くなるでしょう。
でも、解法暗記に走っている受験生は、解法の意味を説明できません。
算数で、暗記は禁物ということを、肝に銘じて下さい。理解が伴う勉強が必要です。(対策1)
対策2
大問4の平面図形。
シンプルでありながら、算数の発想がつまった、すばらしい応用問題です。
(1)では、三角形BCDが、長方形ABCDの半分でもあり、平行四辺形BEFDの半分でもある、という見方ができるかが、勝負です。
多面的なものの見方ができるか、ということです。
(2)も同様です。
「傾向」の解説で述べたように、ここでは、五角形ABECDの面積を、2通りの方法で、表す必要があります。
つまり、一つのことを、多面的にながめるトレーニングが必要です。(対策2)
(青い文字をタップ、クリック) |
桐朋の算数・トップ |
桐朋 算数 対策 2023年 |
桐朋 算数 対策 2022年 |
桐朋 算数 対策 2021年 |
桐朋 算数 対策 2020年 |
桐朋 算数 対策 2018年 |