海城中(帰国)算数 対策


傾向

海城・帰国生入試の算数は、海城・一般入試に比べると、多少易し目です。

 

でも、そこは海城中学ですから、それなりに難しい問題が出題されます。

 

近年は、一般入試との差が縮まってきました。

 

たとえば、2022年の問題を見てみましょう。

 

大問3「平面図形と比」は、基本的とはいえ、中学受験に特有のテクニック(比合わせ)が求められています。

 

大問4「集合・論理パズル」は、受験知識よりも、その場で考える能力を試しています。一般入試同様の地頭が必要です。

 

大問5「速さ」では、かなりの計算力(注意力)が求められています。

 

以上より、帰国生入試だからといって、決して甘く見てはいけません。

 

しっかり準備しましょう。

対策

では、どのような対策を立てればよいでしょうか?

 

一般入試向けに編集されている、大手塾のテキストは、海城・一般入試の算数対策としては、やや重すぎます。

 

そこで、これらのテキストに掲載されている問題の中から、必要な問題を選ぶ必要があります。

 

逆に、一般の書店で販売されている、中学受験向け参考書は、難易度が様々で、場合によっては、問題を補充する必要があります。

 

いずれにしても、お子様の現状に合わせ、ちょうど良い問題を選び、合格戦略を立てていくのがよいでしょう。



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2019年・過去問解説


傾向(2019年)

海城中学・帰国生入試・算数2019年は、前年に比べ、多少難化しました。

 

特に、大問5(3)は、場合分けが多岐に分かれ、すべて書き出すのは、難しいでしょう。

 

また、大問6(2)(3)も、ちょっとした所に気づかないと、お手上げでしょう。

 

大問4は、1次方程式のたて方を、問題文中で説明し、その通り、式をたてて計算する問題ですが、これも、その場で解くには、かなりの難問だったと推測します。

 

その一方で、大問1~3は、中学受験・算数の基本問題が並んでいます。

 

このあたりで、しっかり得点することが、合格の決め手と思われます。

 

それでは、順に見ていきましょう。

 

大問1

 

(1)「計算問題」

 

分数と小数の混合計算です。

 

「分数に合わせるか?小数に合わせるか?」

 

が、ポイントです。

 

通常、0.125=1/8を利用して、分数にすることが多いのですが、本問に限っては、小数に合わせるのもアリかなと思われます。

 

なぜなら、0.7×1.5を分数にすると、通分がけっこう手間で、他方、1/5や9/20は、小数にしやすい分数だからです。

 

本番では、あまり深く考える時間はありませんが、過去問演習のときは、どちらが良いか、自分なりの方法を検討してみましょう。

 

(2)「平面図形(角度)」

 

三角形の内角の和が180度であること、多角形の外角の和が360度であることなどを、根気よく利用すれば、解けます。これが、一般的な解き方です。

 

ただし、あっと驚く裏技があります。くわしくは、授業で説明します。

 

(3)「割合(食塩水問題)」

 

操作を1回行うと、食塩水全体の重さは変わりませんが、含まれる食塩の重さは0.8倍になります。

 

つまり、濃さも、0.8倍になります。

 

10%×0.8×0.8×0.8=5.12%(答え)

 

(4)「立体図形(体積)」

 

立体を、立方体の底面から3cmの高さの所で、水平に切ります。

 

切断面の面積は、6×6÷2=18㎠

 

これを底面積と考えると、高さ合計は6cmなので、体積は

 

18×6÷3=36㎤(答え)

 

大問2「売買損益算」

 

(1)11000×1.3=14300円(定価)

 

14300×1.08÷1.1=14040円(新定価)

 

14300-14040=260円(答え)

 

(2)

14300-11000=3300(現利益)

14040-11000=3040(新利益)

 

合計の利益が変わらないとき、「1個あたりの利益」と「売る個数」は、逆比(反比例)になる。

 

3300:3040=165:152

 

差の13が13個にあたるので、現在は152個売っている(答え)

 

大問3

(1)「平面図形と比(比合わせ)」

 

三角形APEと三角形CPBは相似で、相似比は3:4

 

よって、AP:PC=3:4

 

三角形AQEと三角形CQFは相似で、相似比は3:2

 

よって、AQ:QC=3:2

 

よって、ACを1とすると、AP=3/7、AQ=3/5

 

よって、PQ=3/5-3/7=6/35

 

よって、AP:PQ:QC=(3/7):(6/35):(2/5)=15:6:14(答え)

 

(2)「平面図形と比(比例配分)」

 

三角形EACの面積を15:6:14に比例配分したうちの、6にあたる面積です。

 

3×4÷2÷(15+6+14)×6=36/35=1と35分の1㎠(答え)

 

大問4「平面図形(面積)」

 

海城中学編集の解答に、十分な説明がなされています。

 

大問5「場合の数」

 

(1)ABCDEの5点から、2点を選ぶ組み合わせは、5×4÷2=10

 

FGHの3点から、1点を選ぶ方法は、3通り。

 

よって、10×3=30通り(答え)

 

(2)ABH,ACH,ACG,ADH,AEH,AEF,BCG,BDG,BEF,CDG,CEG,CEF,DEF

 

よって、13通り(答え)

 

(3)

三角形BGHと組み合わせる三角形は、AHC,AHD,AHE,AGB,AGC,AGD,AGE,AFB,AFC,AFD,AFE,BHC,BHD,BHEの14通り。

 

三角形DFGと組み合わせる三角形も、CGをはさんで線対称の関係より、14通り。

 

三角形BGDと組み合わせる三角形は、HDG,HEG,HAF,HBF,HDF,HEF,GAF,GBFの8通り。

 

14+14+8=36通り(答え)

 

大問6「点の移動」

 

(1)海城中学編集の解答参照。

 

(2)点Xと点Yは、縦方向に毎秒2+3=5cmずつ、横方向にも毎秒4+1=5cmずつ、近づきます。

 

すなわち、縦方向で出会うとき、同時に横方向でも、出会っています。つまり、2点は重なっています。(ここがミソです)

 

12÷5=2.4後、2点は初めてかさなります。(答え)

 

(3)2回目以降は、24÷5=4.8秒後ごとに出会います。

 

(24-2.4)÷4.8=4あまり2.4

 

よって、4+1=5回出会います。

 

次に、後ろから追いつく場合を考えます。点Rが点Pに追いつく(同じ高さになる)方が点Qが点Sに追いつくのに比べ、時間がかかるので、前者が何秒後に起きるか、考えます。

 

1回目は、12÷(3-2)=12秒後。

 

これは、出会いの時と同じなので(2.4+4.8×2=12)、カウント済み。(追いついた瞬間に向きが変わるので、出会いと追いつきが同時に起きたと考えます)

 

2回目は、さらに24秒後なので、時間オーバー。

 

よって、5回(答え)

 

海城中に強い家庭教師からのアドバイス

2点は、(1)でかいたグラフの交点で、重なるのではないか?という疑問にお答えします。

 

(1)のグラフは、ダイヤグラム(進行グラフ)ではありません。

 

進行グラフであれば、横軸が時間を表すので、グラフが交われば、「同時」にその地点にいる、すなわち、重なっていることになります。

 

でも、(1)のグラフには、時間を表す軸がありません。

 

よって、グラフが重なっても、「同時」にその地点にいるとは限りません。

 

ただし、グラフ上で交わっていれば、重なる地点の候補、すなわち必要条件にはなります。

 

グラフの交点すべてについて、点Xと点Yのそれぞれが、何秒後にその地点を通過するかを調べても、答えは求められます。(大変な手間ですが)

 

対策(2019年)

「傾向」で述べた通り、基本的な問題が確実に解ければ、合格できます。

 

難問として挙げた、大問4(2)、大問5(3)、大問6(2)(3)以外の問題が解ければ、十分です。

 

ただし、難問も、一つ一つの要素は、必ずしも難しくありません。

 

今後、これらの「要素」が、基本問題として出題される可能性は、あります。

 

ですから、過去問として取り組む際は、じっくり検討してみる価値があります。

 

たとえば、大問5(3)。「傾向」では、最終結果のみ書いていますが、これを書き出す過程には、「モレと重複」を防ぐ工夫の数々が、たくさんつまっています。

 

大問6では、2+3=4+1を利用しています。「等しいものに注目する」という、算数の発想法です。

 

発想法の重要性については、当ホームページ「算数の成績を上げるには?」で、くわしく説明しています。

 

こちらも、対策として重要です。

 



2018年・過去問解説


傾向(2018年)

海城中学・帰国生入試の算数は、一般入試に比べると、易しい問題で構成されています。

 

でも、そうは言っても、やはり海城中学。それなりに高いレベルが求められることは、変わりません。

 

「カレンダーの問題」「立体切断」「平面図形と比」などでは、基本的とはいえ、中学受験・算数に特有のテクニックが求められます。

 

また、注意力や、地頭についても、一般入試同様の、高いレベルが求められます。

 

しっかり準備しましょう。

 

では、2018年入試問題について、順に見ていきましょう。

 

大問1

 

(1)「計算問題」

 

2重( )の場合の、計算の順序と、分数の割り算です。

 

(2)「割合(食塩水問題)」

 

500×0.05=25g……全体の食塩の重さ

 

300×0.04+100×0.05=17g……初めの2つの食塩水に含まれている、食塩の重さ

 

(25-17)÷100=0.08=8%(答え)

 

(3)「規則性(カレンダー)」

 

365÷7=52あまり1より、うるう年が関係なければ、1年後の同じ日付の曜日は、1つ進みます。

 

よって、2020年1月7日は火曜日です。

 

2020年7/1は、6/30の翌日なので、これを6/31と表すことにしましょう。

 

すると、7/24は、6/54と表せます。

 

以下、同様に、

 

6/54=5/85=4/115=3/146=2/175=1/206

 

となります。

 

さて、1/7は火曜日でした。1/8は水曜日。1/9は木曜日。

 

つまり、1月は、7で割ってあまり0の日は火曜日。あまり1の日は水曜日。あまり2の日は木曜日……

 

1/206は206÷7=29あまり3より、金曜日(答え)

 

高い注意力が求められる問題です。

 

同時に、大の月、小の月、うるう年の2月は29日まであること、などは、前提知識です。

 

(4)「平面図形(角度)」

 

角BAC=①度とします。

 

AD=BDより、角DBA=①。

 

外角の定理(スリッパ)より、角BDC=②

 

BC=BDより、角ACB=②。

 

AB=ACより、角ABC=②。

 

よって、三角形ABCの内角の和180度=①+②+②=⑤

 

よって、①=180÷5=36度

 

三角形ABCは、直径AEに対して線対称だから、角OAB=36÷2=18度。

 

OA=半径=OBより、角OBA=18度。

 

よって、角ア=36-18=18度(答え)

 

この回では、難しい問題の一つです。

 

(5)「平面図形(面積)」

 

正方形が1つ内側になると、面積は2分の1になります。

 

外側から3つ目の正方形の面積は

 

4×4÷2÷2=4㎠

 

外側から4つ目の正方形の面積は

 

4÷2=2㎠

 

よって、斜線部分の面積は

 

4-2=2㎠(答え)

 

(6)「立体切断」

 

立体切断の問題では、

  1. 同じ平面上の2点を結ぶ
  2. 平行面上にあらわれる切り口線は、平行

といったルールで、切断面(切り口)をかいていきます。

 

たとえば、PQ、PRは、それぞれ同じ平面上の2点なので、直線で結んでOKですが、RQを直接結んではいけません。

 

Rを通り、PQに平行な直線を引きます。

 

くわしくは、授業で説明します。

 

(7)「年れい算」

 

現在の息子の年れいを①とします。

 

父は①+26才です。

 

15年後、息子は①+15才。

 

これが26才にあたるので、①=11才。

 

現在、父は11+26=37歳。(答え)

 

(8)「平面図形と比」

 

AE、AFがBDと交わる点を、それぞれG、Hとします。

 

BG:GD=三角形BEG:三角形DAG=1:2。(相似比)

 

BH:HD=三角形ABH:三角形FDH=2:1。(相似比)

 

よって、BG:GH:HD=1:1:1。(比合わせ)

 

三角形GBEの面積=三角形BCDの面積×(1/2)×(1/3)=三角形BCDの面積×

1/6

 

三角形HDFの面積=三角形BCDの面積×(1/2)×(1/3)=三角形BCDの面積×1/6

 

よって、斜線部分の面積は、三角形BCDの面積×(1-1/6-1/6)=三角形BCDの面積×2/3

 

三角形BCDの面積は、平行四辺形ABCDの面積の半分であるから、

 

(1/2)×(2/3)=1/3倍(答え)

 

大問2「速さ」

 

(1)3÷6×60=30分…K君がB町に着く時刻は9:30

 

9:30+0:30=10:00

 

2÷6×60=20分…K君がGに着く時刻は10:20

 

10:30まで、待つ。

 

1÷6×60=10分…K君がA町に戻るのは、午前10時40分(答え)

 

(2)GからA町まで、1kmを5分で移動します。1÷5×60=12km/時(答え)

 

大問3「規則性」

 

(1)1+2+3+4+……と、466近くになるまで、加えていけば、いずれ答えがでます。

 

でも、およその見当をつけられれば、時間の節約になります。

 

そこで、1から□までの和が466になるとすると、

 

(1+□)×□÷2=466

 

(1+□)×□=932

 

(1+□)と、□は、差が1の整数なので、だいたい同じ。

 

よって、30×30=900と比べながら、30×31=930を導き出します。

 

□=30が、かなり近い数字。

 

1から30までの和は930÷2=465

 

30÷3=10あまり0より、(白、黒、灰)の周期がちょうど10周期終わったとき、最後のボールが465番目。

 

466番目は、その次だから白(答え)

 

(2)まず、ちょうど10周期終わったときの、白の個数を求めます。

 

1+4+7+……の数列(初項1、公差3の等差数列)で、10番目の数は、

 

1+3×(10-1)=28

 

(1+28)×10÷2=145

 

(1)より、466番目は白とわかったから、これも加えて、146個(答え)

 

(3)(白+灰)=(1+3)、(4+6)、(7+9)、(10+12)、(13+15)……と増えていきます。

 

4+10+16+22+28+34+40+46+52+58+64+70=444

 

466-444=22

 

第12周期まで、白と灰は合計444個あり、残りは22個。

 

この22個は、すべて白。なぜならば、第13周期の先頭は、3×12+1=37で、白は37個あるから。

 

第12周期までの白は、

 

1+4+7+10+…+34=(1+34)×12÷2=210個。

 

よって、210+22=232個(答え)

 

本問も、大問1(3)のカレンダーの問題と同じく、高い注意力が求められる問題です。

 

「等差数列」では、植木算の関係がよく出てきます。

 

植木の本数=間の個数+1(ただし、両端に植木を植える場合)

 

公差の部分を、「植木の間」に見立てて、計算していきます。

 

「1ズレてしまう」というミスが、よく起きるので、注意しましょう。

 

大問4「割合」

 

1250×(1-0.28)=900円…団体割り引き

 

1250×(1-0.16)=1050円…学生割り引き

 

(1)「不等式」

 

この団体の人数を□人とすると、

 

1250×□>900×300

 

□>900×300÷1250=216

 

答え、217人

 

(2)「つるかめ算」

 

340200÷900=378…合計人数

 

あとは、つるかめ算。

 

1人あたり900円と1050円。合計378人で、344850円。

 

(344850-900×378)÷(1050-900)=31人(答え)

 

大問5「作図」

 

(1)円の周りを区切った点と、円の中心とを直線で結ぶと、円の中に、小さな正三角形が6個できる。

 

正三角形の1辺の長さは、すべて半径(2cm)と等しい。

 

よって、六角形の6つの辺の長さは、すべて2cm、内角の大きさは、すべて120度。

 

よって、「1辺の長さが2cmの正六角形」がかける。

 

(2)直径は4cm。正六角形の周囲の長さは2×6=12cmで、直径の3倍。

 

円周は、正六角形の外側を通っているから、12cmより大きい。

 

よって、円周÷直径は、3より大きい。(答え)

 

本問は、塾では、ほとんど教えていません。地頭勝負です。

 

海城に強い家庭教師からのアドバイス

  • 大問1(4)「外角の定理(スリッパ)」
  • 大問1(6)「立体切断」
  • 大問1(8)「三角形の相似・比合わせ」

については、中学受験特有のテクニックが用いられています。

 

いずれも基本的で、応用問題というほどではありませんが、独学で習得するには、少々ハードルが高いでしょう。

 

塾で勉強していなかった場合、この手の問題を、ある程度補充しておいた方が、安全です。

 

対策(2018年)

帰国生の場合、幼少期に、一定期間、日本語から離れていた人もいるでしょう。

 

日本の文化、常識に触れる機会が、十分でなかった人も、いるかもしれません。

 

そのような特殊事情のもとで、帰国してから大手塾に通っても、授業についていくのは厳しいかもしれません。

 

ですから、1人1人の特殊事情に合わせて、特別なプログラムを組む必要があります。

 

レッツ算数教室でも、「無学年方式」で対応しています。

 

どのような状況からでも、対応できますので、ご安心下さい。

 



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