数字替え問題を解く意味は?


数字替え問題とは、問題文の数字だけを替えた、別の問題のことです。

 

論理構造は全く同じなので、もとの問題の式に、数字をあてはめるだけで、解けます。

 

つまり、頭を使わなくても解けます。

 

どこの塾でも、新しい問題に取り組んだときには、多かれ少なかれ、数字替え問題で、練習します。

 

パターン学習ですね。

 

この数字替え問題による演習を、最も徹底的に行っているのが、サピックスです。

  • 1回目、デイリーアプローチ
  • 2回目、デイリーサポート確認編
  • 3回目、デイリーサピックス
  • 4回目、デイリーチェック(テスト)
  • 5回目、復習と演習

加えて、基礎力定着テスト①、②、③。

 

授業前テストなので、必ずしも全員がすべて受けるわけではないようですが、凄いですね。

 

さらに、基礎トレーニングで取り上げられる問題は、同じパターンが4~5日続きます。

 

ベーシックの宿題でも、同じ数字替え問題が並んでいます。

 

他にも、土特やSS解法力講座なども入れると……

 

一体、何十回、同じ問題を解くのでしょう。

 

そのため、

 

「数字替え問題ばかり、こんなに解く意味があるのでしょうか?」

 

というご質問を、よくいただきます。

 

そこで、このご相談について、ごいっしょに考えてみましょう。

 

まず、いちばん優秀な子たちは、授業を聴いたときに、1回で理解します。(1回で理解できる問題が、たくさんあります)

 

算数の解法は、理解できている子にとっては、手品の種明かしと同じくらい印象的なので、そう簡単には忘れません。

 

忘れても、その場で考え直せば、思い出します。

 

ですから、2回、3回と数字替え問題で反復練習しなくても、身につきます。

 

でも、テストには、「制限時間」というものがあります。

  • 「図をかけば解ける」
  • 「忘れても、考えれば解ける」

としても、そのような時間は、なるべく節約して、応用問題を考える時間に充てたい。

 

ですから、反応速度を高め、

 

「問題文を見た瞬間、手が動いている」

 

という状態に仕上げておきたいところです。

 

脳の表面に、解法が浮かび上がっているイメージです。

 

そのためには、2回、3回、反復練習する必要があります。

 

それと、優秀な子でも、人間である以上、ミスはします。

 

ミスというのは、偶然しているようで、実は結構、機械的にしています。

 

「このパターンのときは、こういうミスをする」

 

というのが、人によって決まっているのではないか、と思えるほど、ミスにもパターンがあります。

 

数字替え問題をくり返し解いていると、2回、3回と同じところで引っかかるので、自分がミスしやすいパターンが発見できます。

 

このような効用があるので、わかりきった数字替え問題であっても、3回はくり返す意味があると考えられます。

 

(3回というのは、東大生平均です。東大生が記憶を定着させるときには、3回くり返す人が多い、というデータがあります)

 

これに対し、よく理解できていない子が、反復回数にモノをいわせて、パターン暗記に走ると、低学年のうちは点が取れますが、次第に戦況は、不利になっていきます。

 

数字替え問題には、

 

「優秀な子はさらに優秀に、そうでない子はさらに、そうでないように」

 

差を拡大する機能があります。

 

数字替え問題を暗記するだけで合格できる学校があるのも事実ですから、このような勉強が絶対ダメとは言いません。

 

でも、しかるべき学校を目指すのであれば、数字替え問題を、暗記の道具にしてはいけません。

 

あくまでも、反応速度を上げるためのツールとして、あるいは、ミスしやすいポイントを発見するためのツールとして、利用すべきです。

 

そうだとすると、必要な反復回数も、人それぞれ、問題ごとに異なります。

 

「どうも、この問題は相性が悪い。すぐ忘れる。よくミスる。」

 

という問題については、何度も反復する必要があります。(反復する前に、本当に理解しているか、じっくり確認する必要もありますが)

 

他方で、

 

「問題文を読んだ瞬間、解法が最後まで頭にうかぶ。あとはただ計算するだけ。ああ、バカバカしいなあ……」

 

と、「心の底から」「正直に」思えるなら、問題文を読むだけで止めてもいいでしょう。

 

「最近は、難しい応用問題をじっくり考える勉強が増えたから、計算力がちょっとナマったな。さび落としに、数字替え問題にも、つき合ってみるか」

 

でも、かまいません。

 

臨機応変です。

 

サピックスの数字替え問題は、すべての生徒のすべての必要に応えるため、多めにたっぷりと収録してある、と考えられます。

 

自分の必要に応じて、上手に利用しましょう。

 




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