「計算」「速さ」「平面図形」「割合・比」など、中学受験・算数のオーソドックスな分野を中心に出題されています。
一般入試が、中学受験・算数に特有の難問を出題する傾向があるのに対し、帰国生入試では、それほどテクニカルな要素が強くない、標準的な問題が出題されています。
この傾向は、特に大問2の小問群に表れています。
それらの中にあって、帰国生入試で特に目を引くのは、「論理パズル」です。
帰国生の場合、受験勉強を行ってきた環境が様々なので、勉強の「達成度」を試す出題では、不公平になる可能性があります。
それを避けるため、達成度よりも「地頭」を試す「論理パズル」が多用されているものと考えられます。かなりの難問も出題されています。
一般入試と帰国生入試、どちらの資格もお持ちの方は、この点を念頭に置いて選択なさるとよいかと思われます。
以上の傾向をふまえると、帰国生入試で受験する場合の対策は
です。
1は一見当たり前のことに思えますが、実はこれが結構大変です。
日本と外国とでは、教育指導要領が異なるため、現地の学校で勉強していた場合、6年生であっても、日本の小学校3~4年生の算数から勉強し直さなければならないケースもございます。
レッツでは、どのような環境で勉強なさっていたお子様であっても、日本の中学受験システムに適応できるよう、万全のバックアップを行っております。
とはいえ、あまりに直前では、できることも限られます。
ご相談は、なるべくお早めにお願いいたします。
洗足学園中(帰国子女)算数2019年は、一般入試に比べ、やや易し目の出題となっています。
大問1は、計算問題3題。
大問2は、様々な分野からの小問群。
大問3は、仕事算の応用問題。
大問4は、円柱の体積。
大問5は、論理パズル。
という構成になっています。
大問2の小問群の数が8問と多く、応用問題は、一般入試よりは易し目。
結果、全体の問題数が多く、応用問題の配点は小さく、全問一律5点(学校公表)と、わかりやすくなっています。
順に見ていきましょう。
大問1「計算問題」
(1)ウオーミングアップ問題です。計算の順序については、しっかり準備しましょう。
(2)0.25=1/4、0.75=3/4などは、必修です。小数と分数の混合計算では、小数に合わせるのか、分数に合わせるのか、判断できるようにしておきましょう。
(3)「計算の工夫」
314×(1/8)+314×0.625-314×0.25=314×0.125+314×0.625-314×0.25=314×(0.125+0.625-0.25)=314×0.5=157(答え)
0.625=5/8、0.25=1/4=2/8とする方法もあります。
大問2
(1)「数の性質」
28と63の公倍数よりも5大きい数のうち、4ケタで最小のものです。
28と63の最小公倍数は252。252×4=1008。1008+5=1013(答え)
(2)「相当算」
5+3=8。9+7=16。
よって、8と16の最小公倍数16にそろえるため、5:3=10:6とします。
10-9=1が500円にあたります。
初めの妹の所持金は6なので、
500×6=3000円(答え)
(3)「差集め算」
1脚に5人ずつ座るには、生徒が2人不足します。
1脚に4人ずつ座ると、生徒が13人あまります。
(2+13)÷(5-4)=15脚。
4×15+13=73人(答え)
(4)「速さ」
全体の4/5の長さは8÷(1/3)=24cm。
全体の長さは、24÷(4/5)=30cm。
すべて燃えるのにかかる時間は、3÷(1/5)=15分。
よって、7分後に残っていた線香の長さは、15-7=8分間に燃える長さなので、
30÷15×8=16cm(答え)
(5)「速さの和差算」
(150+240)÷6=65(和)
(150+240)÷26=15(差)
Bは追い越される側なので、小さい方を求めます。
(65-15)÷2=25m/秒(答え)
(6)「売買損益算」
1300×(1-0.25)=975
昨日売れた個数を□個とします。昨日の売り上げは
975×(□+65)-26000=975×□+37375
これが、1300×□と等しい。よって、
□=37375÷(1300-975)=115個(答え)
(7)「規則性」
初めの1枚だけだと17×3=51cm。
その後、1枚追加するごとに、27cm増える。
(429-51)÷27=14枚追加。
14+1=15枚(答え)
(8)「場合の数」
仮に、すべて3のカードだとすると、
2019÷3=673枚。
ここから、和を2019に保ちつつ、3のカードを5のカードに交換していきます。
3と5の最小公倍数は15。よって、3のカード5枚を、5のカード3枚に交換します。
交換可能な回数は、673÷5=134あまり3より、134回。
交換前もふくめ、135通り(答え)
大問3「仕事算」
(1)「A1人で行うと、BとCとDの3人で行うよりも8倍の時間がかかる」ということは、Aの仕事のペースを1とすると、B+C+Dは8ということになります。
よって、ABCD4人で仕事をするときのペースは、1+8=9より、A9人分ということになり、A1人だと、25×9=225分かかります。(答え)
(2)C+Dの仕事のペースは、A+Bの仕事のペースの2倍です。
Aが1分でする仕事量を1とすると、全体の仕事量は225。よって、
(A+B+C+D)×25=(A+B+A×2+B×2)×25=(A+B)×3×25=225
A+B=3。B=2。
また、B1人の時間は、D1人の時間の1.75倍かかるから、仕事のペースは逆比で1:1.75=4:7
よって、Dの仕事のペースは、2÷4×7=3.5。
よって、Cの仕事のペースは、9-1-2-3.5=2.5
225÷2.5=90分(答え)
(3)「つるかめ算」
B1人だと、仕事のペースは2。Cが加わると、仕事のペースは2+2.5=4.5。
全仕事量225、合計65分。
よって、「つるかめ算」。
(225-2×65)÷(4.5-2)=38分(答え)
かなり難しい問題でした。連立方程式の勉強をしないまま解くのは、きついと思われます。
大問4「円柱」
(1)
(5×5-2×2)×(22/7)×13=858㎤(答え)
(2)
858÷(13×3300)=0.02cm(答え)
(3)
1枚0.02cmの紙が、積み重なって3cmになったと考えます。
3÷0.02=150回転(答え)
本問は、超厳密に言うと、「およそ」の問題です。
紙は、2周目に入るとき(次の周に入るとき)、「段差」を乗り越えます。「ボコッ」となって、すきまができるし、形もゆがみます。
しかも、紙を巻くと、外側と内側で長さが異なるので、外側は「のびる」。内側は「たるむ」。
最後に巻き終わったときも、紙の厚さだけ、段差が残ります。
そこに頭が反応してしまうと、解けません。
では、どう判断するのか?
問題文には、「巻き終わったときの円柱」と書いてあります。図も円柱になっていて、段差は表現されていません。
つまり、(1)では、紙は、体積を変えないまま、適度に伸び縮みして、円柱に変形したと考えます。
(2)では、もともとの紙が直方体だったことを思い出します。
(3)では、紙を巻いても、厚さは変わらないと仮定したまま、答えます。
問題文は、問題として成立するように、(算数の範囲で解けるように)、読みます。
大問5「規則性」「論理パズル」
「ある決まり」とは、「2つの整数の間には、それらの差を書く」という決まりです。
たとえば、頂点4と9の間には、差の5を書きます。
(1)上の決まりにしたがって、書き込みます。8個(答え)
(2)「あ」は7。「い」は2か6です。
「い」が6だとすると、「う」は1になり、「い」と「う」の和が11になりません。
よって、「い」は2。「う」は11から2を引いて9。7と9の差は2で、つじつまが合います。
答え、9
(3)「和差算」
内側に0が4つあります。これは、正方形あいうえの各辺上の点は、「差が0」、すなわち、同じ数字であることを意味しています。
その数字を「d」とします。
のとき、和が32になる組は「あ」=7、d=2。7979(答え)
のとき、和が32になる組は「あ」=8、d=1。7898(答え)
場合分けが多く、難問です。
大問1の小問3問、大問2の小問8問は、中学受験・算数の定番問題です。
大問3以降は、(1)以外、かなり難しくなります。
合否は、大問1、2でほぼ決まるのではないかと、推測します。
あとは、大問3(1)、大問4(1)、大問5(1)を、しっかり拾えるかでしょう。
大問3(2)(3)は、本来、中学校の連立方程式の問題です。
中学受験では、「倍数算」「消去算・代入算」といった名前で呼ばれています。
これらの応用問題をかなり解きこんでいないと、難しいでしょう。
大問4は、問題の意味を厳密に考えすぎると、解けなくなります。
出題意図をくみとって、小問の流れに
乗るのが、コツです。
大問5は(1)の練習で、要領をつかみましょう。
(2)(3)は、場合分けが必要で、難度が上がります。
特に、(3)は、場合分けが大変複雑で、難問です。
ただし、問題文に「2組」と書いてあるので、とにかく2組見つければよい、という解き方であれば、うまくいけば見つかるでしょう。
32÷4=8を利用して、「だいたい8前後の数」を手探りであてはめていけば、運がよければ見つかります。
さて、対策です。
「勝負は大問2までで、ほぼ決まる」とするならば、定番問題の徹底マスターが重要です。
ただし、定番問題といっても、洗足学園です。それなりの特殊テクニックは求められています。
大問2(2)では、比の合わせ方が、独特です。(比合わせ)
大問2(3)の「差集め算」は、知らないとお手上げでしょう。
大問2(5)は、「速さ」と「和差算」を組み合わせた、融合問題。
この手のテクニックを、まんべんなくマスターするのは、結構大変です。
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