目次 |
「傾向」 |
1、概要 |
(1)入試結果 |
(2)出題分野 |
(3)難易度 |
2、各論(大問1~6) |
「対策」 |
(1)入試結果
受験者平均点 | |
2020年 | 51.1 |
2019年 | 54.3 |
(淑徳与野中学ホームページより引用・算数100点満点)
(2)出題分野
本年度は「平面図形」「立体図形」「割合」を中心に出題されています。
図形問題によって、問題文のページ数が多くなっていますが、超長文問題は出題されていません。
また、ルール指定問題も姿を消しています。
(3)難易度
全体的に標準的な問題で、各大問の最後の小問が難しくなっています。
難易度的には、前年度とほぼ同じといえます。
ただし、大問1(3)(4)あたりから、早くも難しい問題(おそらく、多くの受験生にとって、初見の問題)が出題されていることからも明らかな通り、精神的には、かなり厳しい学校です。
「出題分野&難易度マップ」を掲載致します。(難易度は、レッツ算数教室の分析によります)
Aが最も易しく、BCDEの順に難しくなっていきます。
出題分野&難易度マップ | ||
大問1 | ||
(1) | 計算問題 | A |
(2) | キセル算 | B |
(3) | 単位換算 | C |
(4) | 数の性質 | D |
大問2 | ||
(1) | 割合・仕事算 | C |
(2) | 消去算 | B |
(3) | 平面図形 | C |
(4) | マルイチ算 | C |
大問3 | ||
(1) | 立体図形 | C |
(2) | 立体図形 | C |
(3) | 立体図形 | C |
大問4 | ||
(1) | 割合 | B |
(2) | 割合 | D |
大問5 | ||
(1)(ア) | 平面図形 | B |
(1)(イ) | 平面図形 | B |
(2) | 平面図形 | C |
大問6 | ||
(1) | 立体図形 | B |
(2) | 立体図形 | C |
(3) | 立体図形 | D |
それでは、順に見ていきましょう。
大問1(1)「計算問題」
ウオーミングアップ問題です。
大問1(2)「キセル算」
1/3-1/7=4/21(答)
分子の数が2や3の場合、分母の2数の差が2、3の場合などにも対応できるように、原理をよく理解しておきましょう。
大問1(3)「単位換算」
1日は何秒か?などと考えると、ドツボにはまります。
まず60で割り、分に換算します。あまりの秒は最終決定です。
つぎに60で割り、時間に換算します。あまりの分は最終決定です。
最後に24で割り、日に換算します。あまりの時間は最終決定です。
ポイントは、N進法と同じく、小さい単位から確定していくことです。
大問1(4)「数の性質」
□×□の部分は、400の約数であると同時に、平方数です。
よって、400の約数のうち、平方数であるものをチェックします。
16、25、100、400です。
□に4、5……と代入して、試していくと、□=5のとき、うまくいきます。
大問2(1)「割合・仕事算」
仕事全体を12とすると、1時間あたり、淑子1、徳子2、花子6です。
(1+2)×1.5=4.5
(12-4.5)÷6=1.25=1時間15分(答)
大問2(2)「消去算」
おもりをA<B<Cとします。
AB+AC+BC=82+87+91
ABC=(822+87+91)÷2=130
C=130-82=48g(答)
A~Cが2回ずつ登場することに気づくかが勝負です。
大問2(3)「平面図形」
円の中心同士を結ぶと、真ん中に、1辺8cmの正三角形が3個できます。
一般的には、正三角形の1辺の長さがわかっている場合、高さはルートになって求められないのですが、本問では、14.9-4×2=6.9cmとなります。(厳密には、このようなことは、起きません。円周率の3.14と同じく、”みなしの数”です)
あとは、正三角形の1つの内角が60度であることを利用して、おうぎ形の中心角を求めます。
大問2(4)「マルイチ算」
最初に入っていた水の量を1とします。
(1-0.2-20L)×0.8=0.5+5L
これを解いて、150L(答)
大問3「立体図形」
立体Aは、円すい台です。もとの円すいを復元すると、高さ24cm、母線26cmです。
側面は、おうぎ形を相似比1:2でカットした形、中心角は5/13です(具体的な角度を求める必要はありません)
大問4「割合」
(1)1800×1.1×250=495000円(レストラン)
1800×1.08×250+495×5=488475円(バス)
(2)本問で最も注意すべき点、難しい点は、バスの場合、容器の処分代がかかり、これが1台あたりで計算されることです。
つまり、バスに乗る人が1人でも、バス1台分の処分代がかかるため、処分代が人数に比例しません。
ここを、どのように処理するかが、問題です。
このような場合、とりあえず、50人単位でいくら差がつくかを求め、端数については、別途計算する、という方法が効率的です。
計算すると、50人で1305円、レストランの方が高くなります。
10000÷1305=7あまり865円
(865+495)÷(1800×0.02)=37あまり28
50×7+37+1=388人(答)
大問5「平面図形」
(1)それぞれ、内側の正三角形、正方形の頂点が、外側の正三角形、正方形の辺に接するように回転すると、相似比が求められます。
(2)(1)をヒントにして、内側の正三角形の頂点が、外側の正六角形の辺に接するように回転します。
さらに、正六角形を小さな正方形6個に分割すると、面積比が求められます。
大問6「立体図形」
(1)大きな円柱から、小さな円柱を引きます。
(9×9-4×4)×3.14×20=4082㎤(答)
(2)紙をすべて引き出したときの面積を底面積とすると、20×100×100=200000㎠
4082÷200000=0.02041cm(答)
(3)(18-8)÷2÷0.02041=244.9…
244回(答)
紙を丸めると、内側と外側で長さが変わり、引っ張られて厚さも変わるような気もしますが、大問2(3)と同じく、”みなし”です。割り切って解きましょう。
・一時期のような超難問は出題されていませんが、かなり手強い問題が出題されています。
解法を暗記するだけでは、対応できません。
たとえば、大問1(3)の単位換算。
本問は、N進法の解法を応用することで、効率的に解けます。
では、どうすれば、N進法の解法を応用することを、思いつくのでしょうか?
それには、N進法の解法(逆向き割り算)を教わった時、なぜ、その方法で答えが求められるのかを、確認しておくことが重要です。
多くの受験生は、この点、深く考えることなく、「そのようなものか……」で済ませています。
そこを一歩突っ込んで、しっかり理解しておくことが大切です。
・逆に、頭がち密な受験生にとって、かえってわけがわからなくなる”みなし数”の問題も、出題されています。
たとえば、大問2(3)。正三角形の1辺の長さが8cmとわかっている場合、高さはルートになり、本来、中学受験・算数では、求められません。
ところが、本問では、14.9-4×2で、求められてしまいます。
これは、14.9cmが、厳密にはありえない設定であることに起因しています。
ただ、出題者は神様です。このような出題の場合、14.9cmは、円周率3.14と同じく、架空の数字である、みなし数であると、解釈することが大切です。
大問6の紙を巻き付ける問題も、同様です。紙を巻くと、厳密には内側と外側で長さが変わり、紙が伸びたり縮んだりして、厚さも変わるかもしれません。
でも、それでは、問題が成立しません。
問題文は、問題が成立するように読むべきものなので、ここも、厚さが変わらない特殊な紙であるとみなして、解きましょう。
物理などの計算では、実際に測定できないほどの厳密な計算を避け、あえて、およその”みなし数”で計算することが、しばしばです。
ですから、出題意図に合わせて、柔軟に対応することも、必要なのです。