いきなりですが、次の例をご覧ください。
この子の成績は、上がっているのでしょうか?それとも、下がっているのでしょうか?
テスト | 偏差値 |
4月第1回 | 60 |
4月第2回 | 61 |
4月第3回 | 62 |
4月第4回 | 63 |
5月第1回 | 55 |
5月第2回 | 55 |
5月第3回 | 52 |
5月第4回 | 49 |
4月の第4回までは、順調に成績をのばしているのに、5月に入ると急降下。
偏差値は63から49に下がった!成績が下がった!と感じます。当然ですね。
では、テスト範囲について、つけ加えてみましょう。
テスト | 偏差値 |
4月第1回・文章題1 | 60 |
4月第2回・文章題2 | 61 |
4月第3回・文章題3 | 62 |
4月第4回・文章題4 | 63 |
5月第1回・平面図形1 | 55 |
5月第2回・平面図形2 | 55 |
5月第3回・平面図形3 | 52 |
5月第4回・平面図形4 | 49 |
4月は、文章題でしたが、5月に入ると平面図形からの出題に変わりました。
つまり、この子は、文章題は得意だけれども、平面図形は苦手である、という可能性も出てきました。
この場合、5月に入って成績が下がった、と判断するのは、あまりにも短絡的です。
4月は得意の文章題で、気分良く勉強できたので、だんだん偏差値が上がっていった。
ところが5月に入ると、苦手の図形問題になり、偏差値が急降下。
自分では4月以上にがんばっているのに、回を重ねるごとに応用問題が難しくなり、手に負えなくなっていった。
最後は、偏差値49。最悪……
では、逆に、この塾のカリキュラムが、4月平面図形、5月文章題だったとしたら、どうなっていたでしょう?
おそらく、この子の成績は、4月が最悪で、5月に入ると絶好調になっていたのです。
成績は上がっている!
と、感じられたことでしょう。
でも、実態は同じこと。ただ、気分の問題です。
このように、塾のカリキュラムの順番によって、成績が上がったり、下がったりしているように「感じられる」ということが、実に多いのです。
このような錯角から抜け出し、客観的に状況判断するには、どうすればよいでしょうか?
一つには、過去のデータと比較することです。
4か月前、文章題に取り組んでいたときの偏差値は、どうだったか?
4か月前、平面図形に取り組んでいたときの偏差値は、どうだったか?
それらと比べ、今回はどうか?
このように、過去の同じ分野のテストと比べると、カリキュラムの順番に惑わされることがなくなり、見えるものが変わってきます。
現実には、カリキュラムの順番以外にも、様々な要素が、偏差値に影響を与えます。
他にも、色々あります。
これらのことを十分に考慮しながら、成績が上がっているのか、下がっているのか、判断しましょう。
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