東京都市大付属中学2018年度帰国生入試・算数は、一般入試と変わらぬ難易度でした。
大問1~3のオーソドックスな問題(定番問題)については、易しい問題から、中の上レベルの問題が、並んでいます。
他方、大問4、5については、予備知識がほとんど必要ない「論理パズル」ということもあり、一般入試の問題としても難問に属する、難しい問題が出題されています。
分野的には、中学受験・算数の頻出分野である「速さ」「平面図形」「割合と比」から、多数出題されており、奇をてらった出題は、ありません。
では、順に見ていきましょう。
大問1
問1・問2「計算問題」
2.75=11/4です。小数と分数の混合計算では、小数に合わせるのか、分数に合わせるのか、臨機応変に対応します。
問3「比」
A:B=2/3:2.4=2/3:12/5
よって、A÷B=(2/3)÷(12/5)=5/18(答え)
問4「数の性質」
「一の位から0が何個連続して並ぶか」ということは、「10で何回割り切れるか」ということと、同じです。
「10で何回割り切れるか」ということは、「素因数としての2×5のペアが、何ペアあるか」ということと、同じです。
2の方が5よりたくさんありますから、5の個数を数えます。
素因数としての5は、5の倍数ごとに1個あり、25の倍数ごとに、さらに1個あります。
25÷5=5個、25÷25=1個
5+1=6個(答え)
問5「割合(食塩水問題)」
(6.5×200+10×150)÷(200+150)=8
(答え)
問6「通過算」
列車の先頭が450m移動するのに23-8=15秒かかります。
よって、速さは450÷15=30m/秒
列車の長さは30×8=240m(答え)
問7「比」
540-420=120円が、二人のはじめに持っている金額の差です。
これが1にあたるので、6は120×6=720円(答え)
問8「平面図形(角度)」
はじめ、点Aで水平方向・左を向いているとしましょう。
正方形の辺上を進むと、「あ」では、左回り(反時計回り)に45+90=135度回転しています。
正五角形の辺上を進むと、「あ」では、左回りに36+72=108度回転しています。
よって「あ」=180-(135-108)=153度(答え)
問9「平面図形(面積)」
長方形の白い部分(イの右側)を「ウ」とします。
ア-イ=(ア+ウ)-(イ+ウ)
(ア+ウ)=大きなおうぎ形-小さなおうぎ形=8×8×3.14÷4-4×4×3.14÷4=(16-4)×3.14=12×3.14=37.68
(イ+ウ)=長方形=4×8=32
よって、ア-イ=37.68-32=5.68㎠(答え)
問10「回転体(表面積)」
BAとCDを、上の方へ延長すると、高さ8cmの直角三角形になります。
これを回転させたときにできる円すいを、ちょうど真ん中で、水平に切断した図形(円すい台)の表面積を、求めることになります。
以上の合計。
(9+36+60-15)×3.14=90×3.14=282.6㎠(答え)
大問2「平面図形と比」
問1
三角形ABFと三角形DEFは相似で、相似比は2:1。
よって、DE=6÷2=3cm
よって、FD=6×2÷3=4cm(答え)
問2
BC=4×3=12cm
AG:GC=2:3
よって、ABG=6×12÷2÷5×2=14.4㎠(答え)
大問3「速さと比」
問1
A君が3分で進んだ道のりを、B君は4分かかっています。
よって、4:3(答え)
問2
2人が出会うまでに、A君が進んだ道のりを4、B君が進んだ道のりを3とします。
合計7。よって、片道3.5。
3.5-3=0.5が、A君にとって3分の道のり。
3.5÷0.5=7より、3分×7=21分(答え)
問3
B君は、行きに21÷3×4=28分かかります。
帰りは、28÷3×2=56/3分。
28+(56/3)-21×2=14/3分…B君が420m進むのにかかる時間
(56/3):(14/3)=4:1
420÷1×4=1680m(答え)
大問4「論理パズル」
男 | 女 | 合計 | |
A | □+4 | 35-□ | 39人 |
B | □ | ||
合計 | ⑥ | ⑤ | 77人 |
問1
5本ずつと、6本ずつが等しくなるのは、逆比の6:5(答え)
問2
女子合計=77÷(6+5)×5=35人
B組の女子を□人とします。
A組男子+A組女子=(□+4)+(35-□)=39
(答え)39人
問3
仮に、A組39人すべてが男子だとすると、男子の本数は5×39=195本多い。
男子を1人やめて、女子にすると、5+6=11本修正される。
(195-8)÷11=17人(答え)
大問5「論理パズル」
問1
4点とる方法は3+1または、2+2。
よって、3人の得点は(300)(111)または(220)(220)。
よって、得点合計は
の2通り。
問2
さいころを1回ふったときの、3人の得点合計は3点または4点。
5回の得点合計は18点。
よって、つるかめ算。
(18-3×5)÷(4-3)=3回…(220)の回数
(300)(111)は、合わせて2回。
これに注意して、(ABC)の得点パターンを書き出します。
A | B | C |
3 | 0 | 0 |
3 | 0 | 0 |
2 | 2 | 0 |
0 | 2 | 2 |
0 | 2 | 2 |
A | B | C |
3 | 0 | 0 |
2 | 2 | 0 |
2 | 2 | 0 |
1 | 1 | 1 |
0 | 2 | 2 |
A | B | C |
2 | 2 | 0 |
2 | 2 | 0 |
2 | 0 | 2 |
1 | 1 | 1 |
1 | 1 | 1 |
以上より、Bの得点は
です。(答え)
一般入試と変わらぬ、入念な準備が必要です。
大問1の小問群については、はば広い分野から、基本的な問題が、出題されています。
この部分は、塾のテキストの基本問題で、十分に対処できます。
大問2「平面図形と比」、大問3「速さと比」は、定番問題ですが、難易度は上がります。
「比」の使い方は、中学受験・算数に独特なものがあり、十分に慣れておく必要があります。
塾のテキストでも、応用問題として収録されているレベルです。
「その問題」の解法マスターに終始することなく、より一般的なアイデアを抽出する形で、身に着けましょう。
大問4、大問5の「論理パズル」になると、さらに難度が上がります。
大問4の論理パズルでは、マトリクス(表)を書くのが、有効です。
対して、大問5の論理パズルでは、「場合の数」的な書き出しが有効です。
それぞれのパズルに有効な「型」「図の書き方」がありますから、「こう来たら、こう攻める」という、自分なりのパターンを、準備しておきましょう。