麻布 算数 対策 2021年

目次

 

「傾向」

 

1、概要

(1)入試結果

(2)出題分野

(3)難易度

2、各論(大問1~6)

 

「対策」

傾向

1、概要

 

(1)入試結果

 

麻布中学・2021年算数は、例年よりも易しい出題となりました。

 

社会状況を考慮してのことと思われます。

 

学校公表の4教科合格最低点は、200点満点中、113点。6割弱。

 

3月以降、受験生にとって、いかに厳しい1年間であったかをうかがわせる結果となりました。

 

(2)出題分野

 

大問1は「平面図形の移動」。直角二等辺三角形の性質を、うまく利用できるかを問う問題。

 

大問2は「速さと比」。計算の工夫が求められます。

 

大問3は、「規則性(植木算)」。

 

大問4は、「数の性質」。

 

大問5は「ルール指定・パズル」。

 

大問6は「場合の数」

 

分野的には、麻布らしい出題といえます。

 

(3)難易度

 

特徴的だったのは、難易度。例年よりかなり易しくなっています。

 

いずれの問題も、算数が大変得意な子であれば、5年生でも解けるかもしれません。

 

つまり、6年生が塾で勉強する「受験テクニック」「受験知識」のような問題は、社会状況を考慮して、出題を控えた、といえます。

 

その分、どこで差がついたのでしょうか?

 

例えば、大問2。基本的な「速さと比」の問題ですが、まともに計算すると、かなり大変。

 

計算の工夫が求められます。

 

大問3の「植木算」も、一つずれると間違えてしまいます。極度に緊張している中、かなりの注意力が求められます。

 

大問6の「場合の数」も、解き方は簡単ですが、作業量は多く、ちょっとした見落としがあると、間違えます。

 

結局、2021年の麻布算数は、手間のかかる計算や作業を、ミスなく、素早く行う能力で差がついた、と考えられます。

 

「出題分野&難易度マップ」を掲載致します。(難易度は、レッツ算数教室の分析によります)

 

Aが最も易しく、BCDの順に難しくなっていきます。

 

   出題分野&難易度マップ
大問1 図形の移動 B
大問2     
(1) 速さと比 B
(2) 速さと比 C
大問3    
(1) 規則性 B
(2) 規則性 C
大問4    
(1) 数の性質 E
(2) 数の性質 E
大問5    
(1) ルール指定・パズル A
(2) ルール指定・パズル C
(3) ルール指定・パズル C
大問6    
(1) 場合の数 B
(2) 場合の数 B
(3) 場合の数 E

 

2、各論

 

それでは、順に見ていきましょう。

 

大問1「図形の移動」

  1. 幅のあるものを動かすときの注意点
  2. 直角二等辺三角形が出てきた時の注意点

この2点をおさえておけば、解けます。

 

大問2「速さと比」

 

たかし君が、速さを変えるまでの時間と、変えたあとの時間の比が3:4となります。

 

ところが、かかった時間の合計が、40分。

 

割り切れません。分母が7の分数が発生します。

 

「どこかで間違えたかな?」

 

と、自信が持てなくなってしまった受験生も、多かったのではないでしょうか?

 

でも、最終的に、答えは(1)も(2)も、整数となります。

 

分母が7の分数を、ひたすらこねくり回しても、正確に計算できればいいのですが、もう少し工夫したいところです。

 

コツは、分母が7の分数を帯分数にすることなく、仮分数のまま、計算式全体を書き上げて、約分の機会を探る、という点にあります。

 

結局、7は約分され、7で割る計算を実行する必要はありません。

 

大問3「規則性・植木算」

 

典型的な、植木算の問題です。

 

手のひらをながめれば、指の本数は、指と指の間の個数よりも1多い、という、それだけの原理で解く問題です。

 

ひし形の具体的な面積が決まっていないので、相似比と面積比の関係を利用します。

 

重なり部分:穴:紙について、

  • 相似比は1:2:4
  • 面積比は、1×1:2×2:4×4=1:4:16

です。

 

それぞれの個数を数える際、一つずれるミスが多いので、気をつけましょう。

 

大問4「数の性質」

 

(1)

 

麻布中学の受験生であれば、0.78が0.13の6倍であることに、すぐ気がつくでしょう。

 

そこで、これを利用すると……解けません。ナント!

 

これは、算数(暗算)が得意な人の方が、かえって解けなくなるという、ある種の「引っかけ問題」です。

 

解法の鉄則、常識、固定観念……といったものが裏目に出てしまう、典型例です。

 

最近は、将棋のAI分析などで、プロ棋士にとっての無理筋、非常識な手が、逆に最善手であると判明することもあり、優秀な人ほど苦労するケースも、指摘されています。

 

数学者の藤田宏先生(東京大学名誉教授)が、「鉄則」のようなものには、あまり頼り過ぎない方が良いという趣旨の発言を、なさっていました。(趣旨の解釈は、レッツ算数教室によります)

 

本問などは、その代表的な例です。

 

では、どうするかというと、まず、原始的な解き方を考えます。

 

AとB合わせて32枚ですから、AとBの組み合わせは(32,0)(31,1)(30,2)……(0,32)のいずれかです。

 

全検索ですね。

 

左から、片っぱしから調べていけば、いずれ答えが出ます。

 

もちろん、計算が大変で、とても時間が足りません。

 

でも、一つ二つ調べれば、すぐ規則性に気づくでしょう。

 

このような問題を、「表で解くつるかめ算」「不定形のつるかめ算」といいます。

 

もともと、4年生で通常の「つるかめ算」を勉強する際、まず表を書いて、規則性を見つける、という手順を踏みます。

 

規則性が生じる原理も、その時に理解することが、予定されています。

 

この基本に戻れば、(1)(2)も、難なく解けます。

 

社会状況を考慮した、きわめて的確な出題です。

 

大問5「ルール指定・パズル」

 

本問に、算数の知識は不要です。数字の大小関係だけ知っていれば解けます。

 

その意味で、麻布らしい問題の一つです。

 

(1)で、問題のルールと、おおよその規則性をつかみ、(2)(3)へと進んでいきます。

 

「おおよその規則性」とは何でしょうか?

 

数字は、右へ進むほど大きく、下へ進むほど大きくなります。

 

ということは、ライトを押すと、右と下のライトには影響しますが、左と上のライトには、影響しません。

 

つまり、「左」「上」のライトから片付けていくと効率がよいが、「右」「下」のライトから片付けようとすると、後で、「左」「上」のライトを押したとき、「どんでん返し」を食らってしまう、ということです。

 

このゲームのコツは、「左」「上」のライトから順に、片付けていく、という点にあります。

 

早い話が、小さい数字のライトから片付けていけば良いのです。

 

これが見抜ければ、(2)(3)は、とても簡単ですが、見抜けないと、解けないでしょう。

 

では、このような規則性を見抜くのは、生まれつきの才能でしょうか?

 

そうでもありません。

 

トレーニングの方法があります。

 

算数の問題である以上、そこには、算数的な発想があるはずです。

 

では、どこで、そのような発想を身につけるのでしょうか?

 

ここで、「割り算の筆算」を思い浮かべてみましょう。

 

左のケタから割っていきます。

 

なぜでしょう?

 

私は、小学生3年生のとき、割り算の筆算を教わり、初めは目を回しましたが、慣れてくると、この疑問を持ちました。

 

そして、右側から割ってみたのです。

 

結果は、うまくいくときと、いかないときに分かれました。

 

246÷2

 

のように、それぞれの位であまりが出ないときは、右側から割っても、うまくいきます。

 

ところが、

 

246÷7のように、あまりが出るときは、右側から割っていくと、いちど決まったはずの1の位の商が、あとでどんでん返しにより、修正される=その分よけいな手間がかかる、ということが、判明しました。

 

左側から割っていくと、どんでん返しは起きません。

 

本問は、全員にとって初めての問題ですが、割り算の筆算について、ある程度考えていた人にとっては、すでに身に着けている発想だったと言えます。

 

日頃から、教わったことを暗記するのではなく、「なぜだろう?」という疑問を大切にすることで、算数の発想法が身についていきます。

 

算数の発想法については、当ホームページ

 

「算数の成績を上げるには?」(タップ、クリックできます)

 

の中で、くわしく説明しています。

 

大問6「場合の数」

 

本問は、かけ算の九九の表をがんばって書けば、簡単です。(表を書くのに、それほどの時間はかかりません)

 

あとは、いかにミスしないか。

 

作業量はそれなりに多いので、注意力と、時間の勝負です。

 

麻布の最後の問題は、数の性質に対する鋭い観察力を求められる問題が多いのですが、本問には不要です。

 

受験生の状況に配慮した、適切な出題です。

 

対策

2021年度の麻布・算数は、特殊な社会状況のもとでの出題で、この傾向は、2021年限りと予想されます。

 

過去問演習として解いている受験生には、合格最低点などは、あまり参考にならないでしょう。(本来、この難易度であれば、もっと高い得点が必要です)

 

それでも、いかにも麻布らしい出題は見られ、今後の対策に有効です。

 

その筆頭が大問5のパズル。

 

算数(数学)には、「いかにどんでん返しを防ぐか?」というテーマがあります。

 

このテーマの、小学校算数における典型例が、割り算の筆算。

 

誰でも小学校3年生で教わる、このややこしい装置に対し、小学生なりに、どのくらい考えを巡らしているか。

 

そのような「勉強の姿勢」「マインドセット」が、ときに合否を分けます。

 

当ホームページ内、

 

「マインドセット」(タップ・クリック)

 

「伸びしろの伸ばし方」(タップ・クリック)

 

などで、くわしく説明しています。

 

 

また、大問2「速さと比」における「計算の工夫」。

 

これは、計算ドリルをいくらこなしても、身につきません。

 

なぜならば、計算ドリルは、「与えられた」計算式に対して、いかに工夫するか、という練習。

 

対して、本問の計算の工夫は、「自分で」、計算しやすい式を立てる工夫。

 

大きな違いがあります。

 

この点については、当ホームページ内

 

「使える計算力、使えない計算力」(タップ・クリック)

 

で、説明しています。

 

本問は、自分で式を立てるトレーニングに最適な教材です。

 



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