目次 |
「傾向」 |
1、概要 |
(1)入試結果 |
(2)出題分野 |
(3)難易度 |
2、各論(大問1~4) |
「対策」 |
(1)入試結果
駒東2022年・算数は、非常に難化しました。
受験者平均点 | 合格者平均点 | |
2022年 |
35.5 (29.6%) |
42.6 |
2021年 |
60.6 (50.5%) |
73.0 |
2020年 |
74.0 (61.7%) |
84.0 |
2019年 |
78.4 (65.3%) |
89.1 |
2018年 |
79.9 (66.6%) |
87.3 |
(駒場東邦中学ホームページより引用・算数120点満点)
年々、難化傾向にありましたが、平均点が、一気に半分になりました。
(2)出題分野
「場合の数」「平面図形」「立体図形」「パズル」と、これらの融合問題です。
特に、「場合の数」「パズル」の超難問が多数出題されています。
(3)難易度
入試結果が示す通り、ここ30年で、最も難しかったと思われます。
大問2以降は、大問2(2)を除き、ほぼ得点不可能ではないでしょうか。
他方、大問1は、多数の小問に分かれ、難易度もほどほどです。
配点は大問ごとに4等分(30点ずつ)ではなく、大問1が40点ぐらいかと推定します。
出題分野&難易度マップを掲載致します。(難易度は、レッツ算数教室の分析によります)
Aが最も易しく、BCDEの順に難しくなっていきます。
出題分野&難易度マップ | ||
大問1 | ||
(1) | 計算問題 | A |
(2) | 場合の数 | C |
(3)(a)ア | 場合の数 | B |
(3)(a)イ | 場合の数 | C |
(3)(a)ウ | 場合の数 | D |
(3)(b) | 場合の数 | E |
(4)(a)ア | 場合の数 | B |
(4)(a)イ | 場合の数 | C |
(4)(b)ウ | 場合の数 | C |
(4)(b)エ | 場合の数 | E |
大問2 | ||
(1) | 平面図形・軌跡 | E |
(2) | 平面図形・面積 | D |
大問3 | ||
(1) | 論理パズル | E |
(2) | 論理パズル | E |
(3) | 論理パズル | E |
大問4 | ||
(1) | 立体パズル | E |
(2) | 立体パズル | E |
(3) | 立体パズル | E |
配点(推定)
大問1、各4点×10問
大問2以下、各10点×8問
レベルE以外がすべて取れれば、42点(合格者平均点は42.6点)
それでは、順に見ていきましょう。
大問1(1)「計算問題」
ウオーミングアップ問題です。
0.625=5/8は、必須知識です。
最後の部分に、中学数学で勉強する因数分解(展開)の公式
(A+B)×(A-B)=A×A-B×B
が、うめ込まれています。
(2)「場合の数」
各位の数字の和が6ということは、6個の玉(○)を、一の位、十の位、百の位、千の位に分けることと同じです。
たとえば、
と表せます。
ただ、一の位~百の位までは、0~6のすべての数字が使えるのに対し、千の位は1または2、しかも2000台は2022までと、特殊です。
・そこで、まず600以下について何個あるか数えましょう。
切りかえ棒(/)は2本なので、6個の○と2本の/、合計8個の置き場所から、/の置き場所を2か所選ぶ方法
8×7÷2=28通り
・1005~6000までについて
先に千の位に○を1個配っておきます。
残り5個の○を一の位、十の位、百の位に配ります(0個もOKです)
7×6÷2=21通り
・2004~2022までについて
2004、2013、2022の3通り
以上より、28+21+3=52個(答)
大問1(3)「場合の数」
(a)
各コインにつき、「使う」「使わない」の2通り。コインは4枚。よって、
2×2×2×2=16通り
ただし、これには、すべて「使わない」を選択する「0円」の場合がふくまれています。よって、
16-1=15通り(ア答)
イウを求めるには、結局アの場合も含めた一覧表が必要です。
(数字はコインの番号)
払うコイン | おつり1枚 | おつり2枚 |
0 | なし | なし |
1 | 0 | なし |
2 | 0,1 | 01 |
3 | 0,1,2 | 01,02,12 |
01 | なし | なし |
02 | 1 | なし |
03 | 1,2 | 12 |
12 | 0 | なし |
13 | 0,2 | 02 |
23 | 0,1 | 01 |
012 | なし | なし |
013 | 2 | なし |
023 | 1 | なし |
123 | 0 | なし |
0123 | なし | なし |
15通り | 17通り | 7通り |
ア15、イ17、ウ7(答)
(b)
コイン番号 | 金額 |
0 | 1円 |
1 | 3円 |
2 | 9円 |
3 | 27円 |
4 | 81円 |
5 | 243円 |
6 | 729円 |
7 | 2187円 |
2187-2022=165円
よって、差の165円を作ることを考えます。
243と81の差がだいたい160なので、試しに引いてみると
243-81=162
①が3円なので、162と組み合わせれば、165になります。
2187+81-243-3=2022
⑦+④-⑤-①=2022
⑦④を払い、おつりに⑤①をもらう(答)
大問1(4)「場合の数」
ア……上の2通り、イ……下の8通り
ウはイの中心に塗るだけなので、8通り
エは、次のように場合分けします。
です。
[3つがつながっている]
上の2通り
[2つがつながり、1つが離れている]
○ | ○ | |||||||||||||
○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
残りの1つは、○がついているスペースのいずれかを塗ります。
それぞれ4通りずつ
[3つとも離れている]
以上、4通り
合計すると、2+4×2+4=14通り(エ答)
大問1の(2)(3)(4)は、それぞれが、本来の大問1問分に相当する重さです。
ここまでで、制限時間を使い切り、算数40点で合格した受験生も、多かったのではないでしょうか。
大問2(1)「平面図形・軌跡」
図1の三角形XBYは直角三角形なので、Bは、Mを中心、XYを直径とする円の周上の点です。
よって、BMは常に半径であり、長さは8cmです。
よって、Mは、Bを中心とする、半径8cmの四分円上を動きます。
同様に、各頂点を中心とする、半径8cmの四分円の上を動きます。
さらに、XYがAB、BCに平行を保ったまま、平行移動する時、Mは十字の上を動きます。
大問2(2)「平面図形・面積」
(2)は、正方形の1辺が16cmであるということ以外、(1)とは何の関係もありません。
斜線部分の面積は、1回広げるたびに、2倍、2倍と拡大されていきます。
よって、図3の斜線部分の面積を求め、2を6回かければ、図4で斜線のある部分の面積となります。
図3のおうぎ形の半径はルートになってしまいますが、半径×半径は2
2×3.14÷8×2×2×2×2×2×2=50.24
16×16-50.24=205.76㎠(答)
大問3「論理パズル」
(1)
途中で6が出てくると、ちょうど1周して6自身に重なってしまいます。
よって、6が、最後に到達する整数です。
1+2+3+4+5+6=21、21÷6=3あまり3より、1の真向かいに並んでいる整数は6
(2)
途中で7が出てくると、ちょうど1周して7自身に重なってしまうので、7は最後。
ところが、そうだとすると、1+2+3+4+5+6=21、21÷7=3あまり0より、途中で1に重なってしまう。
よって、A=7のときは、できない。
(3)
1の次は、2、4、5、6の可能性があり、2を選んだ場合、3、4、7の可能性があり……と、場合分けをくり返します。
単純計算では6×5×4×3×2×1=720通りありそうにみえますが、やってみると、ダメな場合が続出し、実際は、そこまで多くはありません。
そうだとしても、膨大な作業量です。
大問4「立体パズル」
単純な体積の計算では、Xが1個、Yが7個ですが、形の融通がきかないので、そうはいきません。
他方、本だなに本を積むように、あたり前に詰め込んでも、Yは5個しか入りません。すき間だらけなのに……
そこで、Y6個があり得るのか、非常に悩みます。
ここで、問題文に、
「すべてのYの一部の面がこの図から見えるように実線を書きなさい」
とあります。
さらに、(2)で、平面AEGCで切断したときの、立体の個数が1通りに決まることに、注目します。
しかも、(3)では、体積が1㎤であるものの個数が、1通りに決まります。
これらを総合すると、Yの詰め方は、「点対称」なのではないか、ということが、推察されます。
どのような詰め方をしても、平面AEGCに対して、同じ位置関係でなければならないからです。
そして、頂点Bの小立方体がYに含まれると、点対称の関係にある頂点Hの小立方体も、Yに含まれなければなりませんが、これは、解答用紙の図から見えません。
よって、頂点BとHは、Xを配置するということが、わかります。
以上から、XとYの配置が決まり、X3個、Y6個となります。
頂点ACFとEDGがペアになり、右回り、左回り、2種類の配置が考えられますが、両者は対称的であり、(2)(3)の答えに、影響はありません。
・「傾向」で述べた通り、レベルE以外の問題がすべて得点できれば、推定42点(合格者平均点は42.6)で、十分合格です。
大問1だけで制限時間を使い果たしても、合格した受験生が、続出しているはずです。
過去問演習の際には、あまりの難しさに圧倒されることなく、現実を冷静に見極めましょう。
ライバルは、入試問題ではありません。
自分と同じくらいの偏差値の、他の受験生たちです。
自分が大変なら、他の受験生も大変であると、自信を持ちましょう。
参考記事→出題傾向の「突然の変化」に備えて(タップ・クリック可能)
・2022年の特徴は、「場合の数」と「パズル」です。
これでもか、これでもかと、立て続けに出題されています。
このうち、合否を分けたのは、「場合の数」です。
「パズル」の方は、難し過ぎました。
2023年以降の対策として、「場合の数」「場合分け能力」については、十分、準備しておく必要があります。
「場合の数」では、どのような切り口で場合分けするかによって、数え上げの効率が全く変わってきます。
たとえば、本年度の大問1(4)では、
「ただし、回転すると同じものは、同じ塗り方とみなします」
となっています。
従って、やみくもに書き出すと、同じものを何回も数えて、後で気がつき、大混乱に陥ります。
それを防ぐには、どうすればよいでしょうか?
(4)(b)エの解説でご説明した場合分けは、ご参考になるかと思います。
では、
「回転、または、裏返して同じものは、同じ塗り方とみなします」
だとしたら、どうなるでしょう。
これは、「右回り、左回り」の対称性の問題になります。
右回りの時計を裏から見ると、あるいは鏡に映すと、左回りになっていますね。
本年度、大問4のXYの配置は、この問題を含んでいます。
さらに、サイコロの目の配置にも、右回り、左回りがあります。
向かい合う面の数の和が7、という条件を満たすサイコロが、2通りあります。
展開図を表裏、どちら向きに折って組み立てるか、という問題です。
考えてみると、駒東対策になります。
大問1(4)の立体版として、あるいは、大問4の関連問題として、サイコロ問題があるということを、ご指摘しておきます。
過去問は、姿、形を変えて、くり返します。
過去問の解法を理解するだけでなく、その先を一歩突っ込んで深掘りしてみると、次年度以降の受験にも、役立ちます。
この記事は、レッツ算数教室の室長が書いています
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