目次 |
「傾向」 |
1、概要 |
(1)入試結果 |
(2)出題分野 |
(3)難易度 |
2、各論(大問1~5) |
「対策」 |
1、概要
フェリス2021年算数は、例年通りの出題傾向、難易度でした。
(1)入試結果
学校公表の受験者平均点は、100点満点中、57点です。
(合格者平均点、合格最低点は非公表)
(2)出題分野
「平面図形」「立体図形」から多数出題されています。いかにもフェリスらしい問題です。
「速さ」「比」など、定番問題も出題されています。
2021年度で特徴的なのは、大問5の「約束記号」でしょう。
本問は、フェリス・オリジナルの問題ですが、分数分解のアイデアを転用する部分が、味わい深く、巧みな出題です。
(3)難易度
例年通り、大問1の小問群は、それなりの手ごたえがあり、特に(5)は、これだけで、立派な応用問題1問分です。
これを潔く捨てて、気持ちも新たに大問2に取り組むと、これがまた難問!
しかも、アが難問で、イが極端に易しいという構成。
アとイに、直接の関係はありません。(アがイを解くためのヒントになっているわけではありません)
ここを乗り切ると、大問3、大問4は易しく、大問5は(2)以降、難問、という配置になっています。
難問と易しい問題とが、交互に無秩序に、くり返されます。
精神的にタフでなければ、合格は難しいでしょう。
「出題分野&難易度マップ」を掲載致します。(難易度はレッツ算数教室の分析によります)
Aが最も易しく、BCDEの順に、難しくなっていきます。
出題分野&難易度マップ | ||
大問1 | ||
(1) | 計算問題 | A |
(2) | 平面図形・角度 | B |
(3) | 数の性質 | C |
(4)① | 比 | C |
(4)② | 比 | C |
(5)ア | 規則性 | B |
(5)イ | 規則性(周期) | D |
大問2 | ||
ア | 立体図形 | E |
イ | 立体図形 | B |
大問3 | ||
(1) | 速さと比・流水算 | B |
(2) | 速さと比・流水算 | C |
大問4 | ||
(1) | 平面図形 | B |
(2) | 平面図形 | B |
(3) | 平面図形 | C |
大問5 | ||
(1) | 約束記号 | B |
(2) | 約束記号 | D |
(3) | 約束記号 | E |
(4) | 約束記号 | E |
D問題、E問題以外ができれば、ほぼ合格ではないかと、推察します。
それでは、順に見ていきましょう。
2、各論(大問1~5)
大問1
(1)「計算問題」
(2)「平面図形・角度」
AB=ADの二等辺三角形と、BA=BCの二等辺三角形に気がつけば、解けます。
(3)「数の性質」
「既約分数は何個ありますか?」という定番問題を、少し応用する問題です。
分母を素因数分解すれば、解けます。
(4)「比」(比合わせ)
5:3と4:5なので、8と9の最小公倍数72に合わせて、解きます。
(5)「規則性」
アは易しいですが、イが難問です。
いくつか書き出して調べると、周期が9になっていることがわかります。
これに気がつけば、解けます。
正答率は低かったと推察します。
もっとも、大問5まで解ける問題を解き尽くし、あまった時間で、本問を
「すべて書き出す」という原始的方法で解くことは、可能です。
大問2「立体図形」
(1)が難問です。具体的な面積が求められないので、相似比で考える、という発想があれば、何とかなります。
(2)が、とても易しいので、(1)であきらめて、大問3へ進んだ人は、もったいなかったです。
このようなこともあるので、(2)も落ち着いて問題文を読みましょう。
大問3「速さと比・流水算」
5年生で勉強する流水算です。
定番問題なので、ぜひ得点したいところです。
大問4「平面図形・面積」
これも定番問題です。
半径はわからなくても、半径×半径はわかる、というパターンです。
(3)は多少テクニカルですが、これも定番。点Oから最も近い点、最も遠い点をチェックしましょう。
ここまで、大問1、2が、それなりに歯ごたえがあったのに対し、大問3、4は、定番問題で簡単でした。
フェリスにはよくあることなので、心得ておきましょう。
大問5「約束記号」
本問の生成元は、分数分解。
本来、高校数学ですが、中学受験・算数では、定番問題です。
この類似性に気がつくかどうか。
という点から、分数分解を連想できると良いですね。
対策1
フェリスの応用問題を見ていると、全くヒントのない問題ではなく、定番問題と何らかの関係があることが多いです。
大問1(3)や、大問5などです。
これらの問題は、十分に対策可能です。
定番問題を勉強する際に、その解き方が、どのような発想から生まれたかを、一つ一つ想像していれば良いのです。
「このような状況のときは、これこれの事情から、このようなアイデアが有効である」
という整理の仕方をしておくことです。
そうすると、出題された問題が、定番問題と共通の状況にあるときには、定番問題のアイデアを転用できると、ひらめきます。
算数の発想法については、当ホームページ内
で、さらに説明しています。
対策2
何度も指摘しているように、問題は易しい順ではありません。
易しい問題と、難しい問題を、交互に並べられても、冷静さを保つことが大切です。
問題の難易度を、自信を持って判断できる「鑑識眼」を養いましょう。
そのためには、定番問題については、モレなくマスターして、「自分が知らない問題は、他の受験生も知らない」と言い切れるようにしておくことが、最低条件です。
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