目次 |
「傾向」 |
1、概要 |
(1)入試結果 |
(2)出題分野 |
(3)難易度 |
2、各論(大問1~4) |
「対策」 |
(1)入試結果
富士見2020年第1回・算数は、やや難化したようです。
毎年、徐々に、合格者平均点が下がっています。
合格者平均点 | |
2020年 | 63.5 |
2019年 | 65.3 |
2018年 | 74.3 |
(富士見中学ホームページより引用・算数100点満点)
(2)出題分野
本年度は、「平面図形」「立体図形」「場合の数」を中心に、出題されています。
また、近年の中学受験・算数で流行の「会話文形式の問題」や、「出題者がルールを指定する問題」なども、出題されています。
(3)難易度
大問1、大問2[A]までは、基本的な問題です。満点を目指しましょう。
大問2[B]以降、徐々に難しくなっていきます。
また、難しいということとは、若干異なる問題ですが、問題文が長文化しています。
「会話形式の問題」(大問2[A])や、「ルール指定問題」(大問4)などです。
これらは、算数的な理論はそれほど難しくありませんが、問題文の意味をくみ取り、自分の頭で判断しなければ、解けません。
つまり、事前に用意した解法を、そのまま当てはめれば良いという性質のものではありません。
そのような意味で、現場での対応力が求められます。
合格者平均点が下がり気味なのは、この部分の対応力不足もあるでしょう。
「出題分野&難易度マップ」を掲載致します。(難易度は、レッツ算数教室の分析によります)
Aが最も易しく、BCDEの順に難しくなっていきます。
出題分野&難易度マップ | ||
大問1 | ||
(1) | 計算問題 | A |
(2) | キセル算 | B |
(3) | 場合の数 | B |
(4) | 割合・売買算 | B |
(5) | 立体図形・展開図 | B |
(6) | 平面図形・角度 | B |
(7) | 平面図形・等積移動 | B |
(8) | 立体図形・回転体 | B |
大問2[A] | ||
(1) |
||
ア | 時計算 | B |
イ | 時計算 | B |
ウ | 時計算 | B |
エ | 時計算 | B |
オ | 時計算 | B |
カ | 時計算 | B |
キ | 時計算 | B |
(2) | ||
大問2[B] | ||
(1) | 場合の数 | C |
(2) | 場合の数 | D |
大問3 | ||
(1) | 場合の数 | B |
(2)1 | 和 | C |
(2)2 | つるかめ算 | D |
大問4 | ||
(1) | 平面図形・移動 | B |
(2) | 平面図形・移動 | C |
(3) | 平面図形・移動 | D |
それでは、順に見ていきましょう。
大問1(1)「計算問題」
ウオーミングアップ問題です。
大問1(2)「キセル算」
1-1/13=12/13(答)
大問1(3)「場合の数」
全員が異なる手を出す場合→3×2×1=6通り
全員が同じ手を出す場合→3通り
6+3=9通り(答)
大問1(4)「割合・売買算」
値引き前の利益÷見込んだ利率=原価
(600+300)÷0.3=3000円(答)
大問1(5)「立体図形・展開図」
向かい合う面の和が7になっているのは、「ウ」だけです。
コツ:展開図の真ん中あたりを「底面」と決めて、まわりを起こして包み込むイメージをすると、わかりやすいです。
大問1(6)「平面図形・角度」
外角の定理(通称:スリッパ)を使います。
95-45=50、180-150=30、50-30=20度(答)
大問1(7)「平面図形・等積移動」
大きいおうぎ形から、小さいおうぎ形を引きます。
(5×5-3×3)×3.14×1/4=12.56㎠(答)
大問1(8)「立体図形・回転体」
円柱から円すい部分を引きますが、もともと円すい部分は、円柱の1/3なので、円柱の2/3を求めればOKです。
6×6×9×3.14×2/3=678.24㎤(答)
大問2[A]「時計算」
長針は360÷60=6度/分
短針は30÷60=0.5度/分
あとは、速さ(角速度)の問題です。
なお、6度や0.5度や2/11倍を暗記しているだけの人がいますが、
「ある惑星では1時間が40分です」
といったタイプの問題で立ち往生しますから、きちんと求め方を確認しておきましょう。
大問2[B]「場合の数」
(1)Aさんは3勝2敗、または、2勝3分けです。
よって、Bさんは2勝3敗、または、2敗3分けです。
よって、101m、98m(答)
(2)後半の5回について、
Aさんは、2勝3敗、または、1勝1敗3分けです。
よって、Bさんは3勝2敗、または、1勝1敗3分けです。
前者の場合、+4、後者の場合+1
よって、99m、102m、105m(答)
大問3
(1)「場合の数」
2×2×2×2×2×2=64通り(答)
(2)1「和」
各ブロックごとに見ると、「ある日」と「次の日」で、必ず①と②を1回ずつ走っています。
よって、(A+B)×6=54+48
A+B=102÷6=17分(答)
(2)2「つるかめ算」
可能性として、(A,B)=(9,8)(10,7)(11,6)……となります。
A,B合計6個で54と48になる組み合わせを探します(つるかめ算)
順に試すと、(10,7)が正解
大問4「平面図形・移動」
(1)点P→半円4回→2×3.14÷2×4=12.56cm
点Q→四分円4回→2×3.14÷4×4=6.28cm
(2)点P→半円5回→2×3.14÷2×5=15.7cm
点Q→108度5回→2×3.14×108/360×5=9.42cm
(3)120度6回、180度3回
120×6+180×3=1260
2×3.14×1260/360=21.98cm(答)
・6割以上の得点を目指すためには、大問1と大問2[A]まで、満点を取りたいところです。
実際、塾のテキストの基本問題をきっちりマスターすれば、ここまでは十分可能です。
・大問1(3)、大問2[B]と、大問3(2)2については、「場合分け能力」が必要です。
このあたりが、ボーダーラインから抜け出し、合格を確実にするために、必要な能力でしょう。
ところが、場合分け能力は、算数の能力の中でも、最も身につけるのが難しいものの一つです。
では、もれなく、重複なく、場合分けできるようになるには、どのような勉強が有効でしょうか?
結論から言うと、「樹形図」をかく練習が効果的です。
はじめて場合の数の勉強をするときには、樹形図から入るのですが、その後、積の法則などを用いて、簡単に求める方法を習います。
そうすると、パターン暗記でかけ算で求める習慣がついてしまい、いざ、樹形図をかこうとすると、かけなかったりします。
積の法則で求めることのできる問題を解くときにも、確認のため、頭の中で樹形図を思い浮かべるトレーニングを積み上げていくと、場合分け能力が高まります。
地味ですが、この地道な勉強の積み上げが、結局は一番の近道です。
・長文問題にも慣れておく必要があります。
ただ、こちらは、「場合分け能力」に比べれば、それほど難しくはありません。
算数の基本ができていれば、あとは慣れるだけです。
について、対応できるように練習しておきましょう。(大問2の「時計算」が、これにあたります)
解法暗記に走っていると、このようなとき、手も足も出ません。
「理解」さえしていれば、ある程度数をこなすことで、対応できるようになります。
学校側が「理解の伴う勉強」を求めているのは明らかなので、そのメッセージを真摯に受け止めることが大切です。