目次 |
「傾向」 |
1、概要 |
(1)出題分野 |
(2)難易度 |
2、各論(大問1~6) |
・裏技を紹介! |
「対策」 |
(1)出題分野
本年度は、「消去算」「平面図形と比」「水そうグラフ」「規則性・場合の数」を中心に、出題されています。
「消去算」は、3元1次連立方程式ですが、親切な誘導についていけば、十分正解できます。
「平面図形と比」は、よく練られた良問で、基本的なテクニックが巧みに組み合わされています。
「水そうグラフ」は、最近の流行問題。
「規則性・場合の数」は、変形N進法(規則性)なのですが、会話文形式の誘導では、場合の数の問題として、出題されています。
通常、N進法で解くため、N進法の解法を準備していた受験生は、その場で誘導内容に適応しなければなりません。
この点、真の理解力、応用力が試されています。
もっとも、最後まで場合の数で解くのは、あまりにも効率が悪く、途中からN進法の解法に切り替える柔軟性も必要です。
くわしくは、「各論」の「裏技を紹介!」でご説明します。
(2)難易度
前半(大問3まで)は、基本的な問題。
後半は難しくなり、特に、大問4(3)(4)と大問6⑩⑪が難問です。
ただし、大問6の①~⑥は非常に基本的で、得点しやすくなっています。
「出題分野&難易度マップ」を掲載致します。(難易度は、レッツ算数教室の分析によります)
Aが最も易しく、BCDEの順に難しくなっていきます。
出題分野&難易度マップ | ||
大問1 | ||
(1) | 計算問題 | A |
(2) | 計算問題 | A |
(3) | 計算の工夫 | B |
大問2 | ||
(1) | 割合 | B |
(2) | 植木算 | B |
(3) | 場合の数 | B |
大問3 | ||
(1) | 消去算 | B |
(2) | 消去算 | B |
(3) | 消去算 | B |
大問4 | ||
(1) | 平面図形と比 | B |
(2) | 平面図形と比 | C |
(3) | 平面図形と比 | D |
(4) | 平面図形と比 | D |
大問5 | ||
(1) | 水そうグラフ | B |
(2) | 水そうグラフ | B |
(3) | 水そうグラフ | C |
大問6 | ||
①~⑥ | 規則性・場合の数 | A |
⑦~⑨ | 規則性・場合の数 | B |
⑩ | 規則性・場合の数 | D |
⑪ | 規則性・場合の数 | D |
それでは、順に見ていきましょう。
大問1
(1)(2)「計算問題」
ウオーミングアップ問題です。0.375=3/8は、必須知識です。
(3)「計算の工夫」
9876、8765……と、連続して、規則的に降りています。
そこで、計算の工夫!
(9876-6543)+(8765-5432)+(7654-4321)=3333+3333+3333=9999(答)
大問2(1)「割合」
1.2×1.2×1.2=1.728より、72.8%(答)
大問2(2)「植木算」
輪っかの植木算なので、周囲の長さを、植木の間かくで割ればOKです。
(45+55+10)×2=220
220÷5=44本(答)
大問2(3)「場合の数」
左から順番に塗るとします。
一番左は4通り。次は、それ以外の3通り。次も2番目以外の3通りです。
これで、3色使う場合と、2色使う場合が、含まれています。
4×3×3=36通り(答)
大問3「消去算」
とします。
(1)第1式と第3式をたてに足すと、りんご、みかん、かきを7個ずつ買うことになります。
1160+1080=2240円(答)
(2)(1)を利用します。
りんご、かき、みかんを1個ずつ買うと、2240÷7=320円
3個ずつだと320×3=960円
第2式と比べると、みかん2個で1120-960=160円
160÷2=80円(答)
(3)みかん1個の値段がわかったので、それぞれの式のみかん部分に80円を代入すれば、りんごとかきの式になります。
りんごの個数を求めるには、かきの個数をそろえます。
第1式と第2式のみかんに、80円を代入すると
第2式を2倍すると
これと第1式より、
りんご4個=1440-920=520円
りんご1個=520÷4=130円(答)
大問4「平面図形と比」
(1)420÷7×3=180㎠(答)
(2)三角形ABC全体から、三角形ABD、CDEを引きます。
420×(4/7)×(2/5)=96㎠
420-(180+96)=144㎠(答)
(3)BF:FE=三角形ABD:三角形AED=180:144=5:4(答)
(4)三角形BDEを5:4に比例配分したうちの4の方です。
三角形BDE=420×(3/7)×(2/5)=72㎠
72×(4/9)=32㎠(答)
大問5「水そうグラフ」
(1)初めの2分間は、穴は関係ありません。
10×15×20÷2=1500㎤=1.5L(答)
(2)最後のア~25分も、穴は関係ありません。
50×15×10÷1500=5分
25-5=20(答)
以上、穴が関係ない部分から解くのが、コツです。
(3)2分後から20分後まで、合計18分で27000㎤の水が入りましたが、水槽には9000㎤しか、たまりませんでした。
残りの18000㎤は、18分で穴から出ていきました。
18000÷18=1000㎤=1L(答)
大問6「規則性・場合の数」
・50までの整数で、4を含むものは
4,14,24,34,41~49
です。
・100までの整数で、4,8を含むものは、
4,14,24,…94
8,18,28,…98
41~49
81~89
です。(重複に気をつけましょう)
1000まででは、原則1~100と同じことのくり返しですが、
400~499
800~899
が加わります。
このように、地道に場合分けすることを求められています。
⑨までは、これでいけます。
⑩も、何とかいけるかもしれません。
でも、⑪をこの方法で解こうとすると、作業量が多すぎて、大変です。
そこで、変形N進法を使います。
4と8が使えないということは、使える数字は8種類。すなやち8進法です。
ただし、5が4を表すなど、記号の使い方が変わっています。
そこで、変形8進法とよぶことにします。
変形8進法 | 0 | 1 | 2 | 3 | 5 | 6 | 7 | 9 |
通常の8進法 | 0 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 |
⑩について
変形8進法の2020は、通常の8進法でも2020。
これを10進法に変換します。
よって、512×2+8×2=1040(答)
⑪について
10進法の2020を変形8進法に変換します。
まず、通常の8進法に変換すると、
よって、3744となります。
これを変形8進法に変換すると、先ほどの表より3955(答)
・出題分野&難易度マップから明らかなように、問題は、必ずしも易しい順に並んでいるわけではありません。
中盤の大問4がかなり難しく、大問6の大部分は得点しやすい問題となっています。
よって、時間配分が重要になってきます。
難しい問題でドツボにはまることなく、得点できる問題から、どんどん得点していきましょう。
・また、大問6の会話文問題について、自分が準備していた解法と、問題文の誘導が異なっているときに、どう対処するか?という問題があります。
自分が思いつくままに解き進めるのは簡単ですが、他人の解き方につき合うのは、難しいものです。
ある意味、算数の能力と同時に、コミュニケーション能力が試されています。
このようなトレーニングの場は、やはり、普段の授業でしょう。(学校、塾を問いません)
自分で解法を思いついた問題でも、先生や友達の話をよく聞き、自分にない発想が含まれていないかなどを、絶えずチェックすること。
人の話に、よく耳を傾けること。
この積み重ねによって、大問6のような問題にも、柔軟に対処できるようになっていきます。