国語の問題を解く場合、
大きく分けて、2種類の方法があります。
2人の対照的な生徒さんの例をご紹介します。
いずれも、筑駒合格君!
すばらしい成績でした。
でも、タイプが全然違います。
1人目(A君)は、先に本文を通読し、その後、設問に取りかかります。
本文通読中は、微動だにせず、没頭している感じ。
一度、この子に、「ぼう線ごとに、設問に答えないの?」と、たずねてみたことがあります。本人いわく、
「それをすると、流れが中断して、集中できない。それに、最後まで読んで、やっと、初めの方の意味がわかることもある。」
とのことでした。
確かに、物語文などは、感情移入して一気に読み進める方が、深く理解できそうです。
それに、最後のオチをふまえて、冒頭部分を読み返した方が、作者が色々と伏線を張っている様子が読み取れ、設問に答えやすい、ということはあります。
これに対し、2人目(B君)は、本文に引いてあるぼう線ごとに、すぐ設問を解きます。
この子の様子を見ていると、文章を読みながら、気持ちよさそうに体を揺らし、視線もあちこちに飛びます。
そして、読むのが異様に速いのです。
筑駒の国語は、制限時間40分ですが、この子は10分で「できた」と言って、答案を出してしまいます。
(本当に、まじめに解いているのかな……)と、半信半疑で採点してみると、100点満点中、なんと70点!
合格点は80点とも言われていますから、もう少しで合格です。
「あと30分もあるから、もうちょっと考えて、10点上乗せできないかな?」
と励まして、取り組ませてみるのですが、初めのころは、5分もたつと
「もう無理。限界。」
と言って、投げていました。追加点はゼロです。
趣味は、マンガとテレビ。
「マンガ読みホーダイ」
だそうです。確かに、目の動かし方が、マンガを読む(見る?)ときの動きにそっくりです。
読む順番にはこだわらず、ランダムに入ってきた文章を、頭の中で組み立ててしまうタイプなのでしょう。
さて、どちらが優れた方法でしょうか?
A君は、典型的な優等生。国語の成績も、サピックスでトップ10の常連。成績だけだと、A君に軍配が上がります。
でも、B君のスピードは想像を絶しています。もし、制限時間が10分なら、B君の圧勝です。試験開始後10分では、A君の解答用紙は、まだほとんど白紙です。
結局、どちらの方法が良いかは、その子の能力のタイプによります。
特定の方法を押しつけるのではなく、試してみて、やりやすい方法を採用するべきです。
さらに、出題傾向に合わせて、柔軟に対処できると、ベターです。
いくつか、具体例を挙げておきます。
1、本文が非常に長く、設問数が少ない場合、先にすべての設問を頭に入れてから本文を通読するのがよいでしょう。
この場合、本文を何度も読み返す時間はないからです。1回通読しただけで、設問に迷いなく答えるには、先に「何が問われているか」を知っておいた方が効率的です。
もっとも、本文を読む前に設問を読んでも、ほとんど意味がわからない、ということはあります。
ですから、設問は、ざっと目を通すだけで十分です。
2、逆に、本文がそれほど長くなく、設問数が多い場合、ぼう線部の設問に一つ一答えながら、本文を少しずつ読み進めていくのがよいでしょう。
この場合、設問は、受験生を誘導する意味合いが強いからです。
特に、選択肢問題は、出題者の頭の中をそのまま表しているので、本文を読み進める際の重要な手がかりになります。
3、穴うめ問題は、その場でどんどんうめてしまいましょう。穴の前後をよくおぼえているうちに解く方が、効率的だからです。
結局、あなたがどのタイプの受験生かということと、志望校の出題傾向がどうなっているかによって、作戦が決まります。
初めは手探りで、色々試しながら、自分に合った方法を見つけていきましょう。
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