目次 |
「傾向」 |
1、概要 |
(1)出題分野 |
(2)難易度 |
2、各論(大問1~7) |
「対策」 |
1、概要
慶應中等部2020年算数は、例年通りの出題傾向、難易度でした。
前半は基本的な問題が続き、後半に難しい問題が散見されます。
(1)出題分野
小問単位で全20問と、出題数が多く、従って、出題範囲も広い範囲に及んでいます。
「平面図形」「立体図形」「規則性」「速さ」「比」「場合の数」「数の性質」など、まんべんなく出題されています。
(2)難易度
大問1~3には、定番問題がそのまま出題されています。
中等部の受験生であれば、多くの人が正解できるであろう問題、という意味で、易しい問題に分類しています。
ただし、初めて出題されたときは捨て問だった、という「かつての難問」が並んでいます。
たとえば、大問2(2)「約数の和」は、高校数学で公式を勉強する問題ですし、大問3(1)「チェバの定理」も、中学~高校の数学です。大問3(2)(3)も、現在は有名な定番問題ですが、かつて他の難関校で出題されたときは、難問でした。
きちんと勉強していれば得点できる、ということであって、ただ易しいだけではない点、注意が必要です。
「出題分野&難易度マップ」を掲載致します。(難易度はレッツ算数教室の分析によります)
Aが最も易しく、BCDEの順に難しくなっていきます。
出題分野&難易度マップ | ||
大問1 | ||
(1) | 計算問題 | A |
(2) | 計算問題・逆算 | A |
(3) | 規則性 | B |
(4) | 場合の数 | C |
大問2 | ||
(1) | 速さ・通過算 | B |
(2) | 数の性質・約数の和 | C |
(3) | 速さと比 | B |
(4) | 比 | C |
大問3 | ||
(1) | 平面図形と比 | C |
(2) | 平面図形・角度 | C |
(3) | 平面図形・面積 | C |
(4) | 立体図形・回転体 | C |
大問4 | ||
(1) | 水そう・グラフ | C |
(2) | 水そう・グラフ | E |
大問5 | ||
(1) | 規則性 | C |
(2) | 規則性 | D |
大問6 | ||
(1) | 立体図形 | C |
(2) | 立体図形 | D |
大問7 | ||
(1) | 組み合わせ | D |
(2) | 組み合わせ | E |
それでは、順に見ていきましょう。
2、各論(大問1~7)
大問1
(1)(2)「計算問題」
割り算が割り切れるか、見た目ではわかりません。分数にすると、通分が大変そうで、迷うところです。
8881-8300=581として、581÷83=7を確認してから割れば、安心です。
何も考えずにさっさと割れば、結果オーライです。
(3)「数の性質」
(4)「場合の数」
本問には裏技があって、(5+1)×(3+1)×(4+1)-1=119で求められます。
これは、「約数の個数」を求める公式(高校数学)を転用したもので、大問2(2)「約数の和」の公式と対になっています。
大問2
(1)「速さ・通過算」
定番問題です。
(2)「数の性質・約数の和」
公式をそのまま適用します。
(3)「速さと比」
定番問題です。
(4)「比」
B=A×(3/4)
B=C×(7/8)
あとは、連比です。
大問3
(1)「平面図形と比」
チェバの定理です。中学受験では、定理をそのまま適用することなく、長さの比を面積比におきかえて処理するのが、一般的です。
(2)「平面図形・角度」
右下の14度の直角三角形を切りとって、正方形の左の辺に貼り付けると、合同な三角形ができます。
これを利用します。
初めて出題されたときは、あっと驚く難問でしたが、今ではすっかり有名になりました。
(4)「立体図形・回転体」
計算が少々大変ですが、理論的には簡単です。円すい台の側面積の求め方は、混乱しやすいので、よく練習しておきましょう。
大問4「水そうグラフ」
(1)は、グラフの傾きの比から、すぐわかります。
(2)は難問です。ここで突然難しくなったと感じるはずです。
「毎分50」と「毎分80」だと、満水までの時間の比は8:5になるので、「毎分80」のときにかかる時間は70×(5/8)=175/4分となります。
本問は、数字が分数になるので、自分の解き方が正しいかどうか確信が持てない、厳しい問題です。
中等部では、このように、ある時突然、段違いの難問が現れます。
そこで、本問を捨てるか否か、判断することになります。
年度によっては、ひとたび難問が現れると、その後は最後まで全て難問、という場合もあるので、難しいところです。
本年度は、まだ残りが大問3問なので、それらが全て難問、捨て問とは考えにくく、とりあえず大問4(2)は後回しにするのが、賢明かもしれません。
大問5「規則性」
分母が等しい分数によって、グループ分けします。
グループごとの分数の和が、等差数列になっています。
本問も、定番問題です。
グループ番号とグループ内の分数の個数は一致しますが、分母の数字は1ズレる点に注意が必要です。
大問6「立体図形」
(1)は、図1で見えない部分が、全て黒、全て白で考えます。
(2)
白黒それぞれの個数は、つるかめ算で求められます。
あとは、黒をどこに配置するかです。
以上から、黒の面積を小さくしたければ、黒を0面、1面……の部分に配置すればよく、大きくしたければ、3面、2面……の部分に配置すればよいことがわかります。
大問7「組み合わせ」
(1)シュークリーム5個のセットだと、1個あたり160円。そこで、シュークリーム2個プリン2個のセットでも、シュークリーム1個あたりは160円だとすると、プリン1個は165円と、とても安いことになります。
そこで、プリン5個のうち、4個は、シュークリームとの2個ずつのセットで調達して、残り1個は、プリン単品で買うことにします。
残りのお金は、できる限りシュークリーム5個のセットに使います。
(2)ア
プリンをできるだけ多く買うには、プリン6個のセットを利用すべきなので、可能な限り、プリン6個のセットを買うと、8セットで、400円あまります。ここまで、プリン48個。
残りの400円で、シュークリームとプリンを単品で1個ずつ買うと、ちょうど50個で10000円。
プリンは49個買えます。
(2)イ
アと同じ発想で、可能な限りシュークリーム5個のセットを利用すると、60個買えるうえに、400円あまります。
今回は割高にしないと、問題文の条件が満たせない、ということで、シュークリームを単品で50個買うとどうなるか試してみると、それでも1000円あまります。
シュークリーム1個をプリン1個と交換すると、40円高くなるので、1000÷40=25個プリンを買い、シュークリームは、残り25個です。
この買い方だと、すべて単品買いで、個数、金額とも条件通りですが、セットを利用して、シュークリームを増やすことはできないでしょうか?
単品のプリンを何個か買うのをやめて、同数、同金額のシュークリームに変更することは、不可能です。
なぜならば、シュークリームは単品でもセットでも、1個あたりの金額がプリンより割安なので、金額が10000円を下回ってしまうからです。
よって、25個が正解です。
「約数の個数」「約数の和」を求める公式は、本来、高校数学で、なかなか手が回らない部分かもしれません。
でも、高偏差値の受験生の間では、常識となっています。
少しでも隙(すき)があると、致命的です。
高校数学の公式で、中学受験で出題されるものとしては、「等比数列の和」などもあります。
「等差数列の和」は誰でも知っていますが、「等比」の方は、手薄になりがちです。
しっかり準備しておきましょう。
「ユークリッドの互除法」なども、高校数学ですが、中学受験で多数出題されています。
これらの公式は、算数の頭が良ければ、すぐ思いつくというものではなく、知っているかどうかが、モノを言います。
日頃の勉強の姿勢が表れやすい部分で、そこを見られていると思われます。
頑張っていきましょう。
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