目次 |
「傾向」 |
1、概要 |
(1)入試結果 |
(2)出題分野 |
(3)難易度 |
2、各論(大問1~7) |
「対策」 |
(1)入試結果
淑徳与野中学2021年・算数は、例年に比べ、点数高めの結果となりました。
受験者平均点 | |
2021年 | 68.2 |
2020年 | 51.1 |
2019年 | 54.3 |
(淑徳与野中学ホームページより引用・算数100点満点)
(2)出題分野
「割合」「平面図形」「立体図形」「速さ」「規則性」などを中心に、出題されています。
平面図形の問題では、新傾向の長文(会話文形式)が出題されました。(大問4(2))。
これは、本来難問の図形問題を、ヒントを示しながら誘導するものです。
受験生の勉強時間不足を考慮しつつ、算数的読解力を試すという、一石二鳥の効果をもつものです。
(3)難易度
淑徳与野にしては、易し目の問題が多くなっています。社会状況への配慮と思われます。
ただし、無条件に易しくするわけではなく、
など、一定の工夫をしています。
「出題分野&難易度マップ」を掲載致します。(難易度はレッツ算数教室の分析によります)
Aが最も易しく、BCDEの順に難しくなっていきます。
出題分野&難易度マップ | ||
大問1 | ||
(1) | 計算問題 | A |
(2) | 計算問題 | A |
(3) | 計算問題 | A |
大問2 | ||
(1) | 速さ・通過算 | C |
(2) | 規則性 | C |
大問3 | ||
(1) | 割合・食塩水 | B |
(2) | 割合・食塩水 | C |
(3) | 割合・食塩水 | D |
大問4 | ||
(1) | 平面図形・角度 | C |
(2) | 平面図形・面積 | D |
大問5 | ||
(1) | 平面図形・移動 | B |
(2) | 平面図形・移動 | C |
(3) | 平面図形・移動 | C |
大問6 | ||
(1) | 速さ・時計算 | C |
(2) | 速さ・時計算 | C |
(3) | 速さ・時計算 | C |
大問7 | ||
(1) | 立体図形・体積 | C |
(2) | 立体図形・表面積 | D |
それでは、順に見ていきましょう。
大問1「計算問題」
(1)0.125=1/8は、必須知識です。
(2)915は160倍する前に183で割りましょう(約分!)
大問2(1)「速さ・通過算」
Aの長さ=①、Bの長さ=②として、線分図をかきます。
大問2(2)「規則性」
分子と分母の差が1、和が2021より、1010/1011となり、1010番目です。(答)
大問3「割合・食塩水」
(1)(2)は基本問題です。
(3)は難しくなります。
10%の食塩水と5%の食塩水を混ぜて7%の食塩水にするには、10%の食塩水の重さ:5%の食塩水の重さ=2:3とします。
10%の食塩水が100g、5%の食塩水が200g残っていて、どちらかを使い切るには、10%の食塩水を100g使うことになります。(逆に、5%の食塩水200g使うとすると、10%の食塩水が400/3g必要となり、100gでは足りません。
よって、Bが50g残ります(答)
大問4(1)「平面図形・角度」
円の中心Oとアの頂点を結ぶと、円の内部に4個の二等辺三角形ができます。
すると、円の内側に接している四角形の「内角の和」は、4個の二等辺三角形の「底角の和」になります。
アは、2種類の底角の和です。
180-74=106
(360-106-46)÷2=104度(答)
大問4(2)「平面図形・面積」
問題文の誘導に従って2本の補助線を引くと、中央に10cm×18cmの長方形ができます。
長方形以外の部分は、すべて、合同な図形2個ずつによって、構成されています。
(785-180)÷2=302.5㎠(答)
大問5「平面図形・移動」
中心角135度のおうぎ形を移動させる問題は、あまり見かけません。普通は、直角三角形や長方形です。少々やりにくいかと思います。
そこで、工夫!
中心角135度のおうぎ形を、一辺が4cmの正方形2個で囲ってみましょう。
中心角90度の部分が、正方形の一つにピッタリ収納されます。
残り45度の部分は、正方形を対角線で区切った直角二等辺三角形の一つに、ピッタリ収納されます。
それぞれのおうぎ形を正方形2個で囲っておいて、正方形ごと移動します。
これで、重なったときの図が描きやすくなります。
大問6「速さ・時計算」
本問の時計は長針が1分間に6度、短針が1分間に0.25度、回転します。
短針の角速度以外は、通常の時計と同じように考えられます。
大問7「立体図形」
(1)基本問題です
(2)穴をあける前の直方体の表面積を基準にします。
穴をあけることにより、4つの面の表面積が減ります。
他方、穴の内部は、表面積が増えます。
増減の調整をすれば、答えが出ます。
注意すべきは、2つの穴が交わる部分。
1辺の長さが2cmの立方体ですが、6面のうち上下左右の4面がくり抜かれ、2面は残ります。
残った分は、表面積に追加します。
2021年度は、易し目の出題となりましたが、そのような中でも、
といった、受験生の素質、資質に関する部分は、しっかり試しています。(それぞれの具体的な内容は、「傾向」2、各論で、詳述した通りです)
逆に言うと、このような過去問を勉強することで、算数的な理解が深まり、次年度以降の対策にもなると考えられます。
大問4「平面図形」を例にとって、もう少し掘り下げてみましょう。
大問4(1)と(2)には、共通のテーマがあります。
「等しいものが2個ずつペアーになっている→最後に2等分する」
という部分です。
(1)は角度、(2)は面積と、表面上は異なりますが、発想法としては、「等しいものに注目する」ということになります。
このように、見かけは異なるが、共通の発想を含む問題をグループ分けして、並べて解くと、高い教育的効果が期待できます。
レッツ算数教室では、当ホームページ内
の中で、算数の発想法について、さらにくわしくご説明しています。