早稲田中2019年(第1回)算数は、例年通りの傾向、難易度でした。
2018年第1回がかなり難化していましたが、それに比べると、問題自体は、やや易しくなり、例年並みに戻りました。
順に見ていきましょう。
大問1
(1)約分(互除法)
有名な「ユークリッドの互除法」を少し取り入れた、定番の約分問題。
分子と分母の「差」をとると、最大公約数が見えてきます。
(2)相当算
AとBの比を求めましょう。「同じ量の水」が、ポイントです。
(3)年齢算
大問1の(3)は、難問の年が多いのですが、本問も難問です。
太郎君の年令が12才、13才、14才、15才で場合分けすれば、解けます。
大問2 平面図形
早稲田中ならではの、ユニークな図形問題が、並びます。
(1)は、三角形の相似と、連比。通称「砂時計」と「比合わせ」。ここは、オーソドックスな出題です。
(2)「台形の高さがわかりません。」という声が、聞こえてきます。
台形の左上の頂点と、右下の頂点を結ぶと(つまり、対角線を引くと)、等しい辺の長さが10cmの二等辺三角形と、三辺の長さが6、8、10cmの直角三角形に分かれます。
ゆえに、台形の高さは、8cm。
後は、早稲田中の受験生なら、簡単でしょう。
(3)斜線部分の三角形の内角は、90度、75度、15度です。
これと合同な三角形を、15度の角の反対側にくっつけると、3つの内角が30度、75度、75度の三角形となり、高さの補助線を引くと、3つの内角が30度、60度、90度の有名な三角形(正三角形の半分)が現れます。
これで解決。
大問2の(2)(3)は、かなりの難問です。
大問3 差集め算・3段つるかめ
(1)は、取り違えの差集め算。イクラとタラコを1つ入れ替えると、40円の差になります。
200円の差(全体の差)÷40円=5個が、イクラとタラコの個数の差となります。
後は、和差算。和が45個。差が5個。
(2)(3)は、3段つるかめ。表を作れば、あっさり解けます。
表も、すべての組み合わせを書く必要はなく、(2)では「タラコが多い方から」、(3)では「シャケが多い方から」書くと、効率的に解けます。
3段つるかめは、今では定番問題ですが、知らないと苦戦します。
大問4 速さと比
本問も、大問3に続き、応用問題の中では、標準的なレベルです。
特に、トリッキーなアイデアは、必要ありません。
淡々と解き進めます。
(3)で、途中の計算が半端な数字になり、ハラハラしますが、最後はきれいに約分され、答えは整数になります。
大問5 立体切断
(1)は、練習。
本問は、底面が四分円の柱体で、これを切断するとなると、「曲面部分の処理はどうするのだろう?」と、一瞬驚きます。
ところが、(1)をよ~く見ると、曲面部分は関係なく、直方体の切断と何ら変わりません。
(2)が本番。少々難しそうに見えますが、(1)がヒントになります。
(1)は、切断前の図形の線が残してある。
ところが、(2)では、消えている。
そこで、自分で復旧作業をすると、有名な四角すい(展開図が正方形になる四角すい)が現れます。
あとは、易しいでしょう。
全体的に見ると、2019年早稲田中(第1回)は、図形問題がユニークである一方、それ以外の問題は、受験界で有名な定番問題からの出題が多かったといえます。
しかも、最も難しい問題が、大問1(3)、大問2(2)(3)で、それ以外は、難易度がある程度、抑えられていました。
後ろへ進むほど、簡単、という印象です。
よって、対策としては、
が、大切です。
また、小学生は、式を1本1本区切って、その都度、計算結果を求めないと、落ち着かない傾向にありますが、そうすると、大問4の計算などでは、手間がかかります。
計算結果を分数のかけ算の形のまま、とめておき、次の式をどんどんつなげていき、最後にまとめて約分すると、計算の効率化が図れるでしょう。
大問1
(1)「速さと比」
まずは、ウオーミングアップの問題です。
A地点からB地点に向かって、上りの道のりを8(4)、下りの道のりを2(1)、上りの速さを2、下りの速さを3と設定して、それぞれにかかる時間を比の数字で表します。
行きの時間:帰りの時間=14:11。差の3が7分。
よって、7÷3×25=175/3分(58分20秒)
(2)てんびんで解きます。
横ぼう全体を36メモリに設定します。
すると、Aから15メモリが9.4%、20メモリが、8.9%。
よって、1メモリ0.1%。
Aは、9.4+1.5=10.9%(答え)
大問1(3)「数の性質」
ABCを3/4倍するとBCAになるということは、ABC:BCA=4:3。
また、BCAを11/27倍するとCABになるということは、BCA:CAB=27:11。
連比をとると、ABC:BCA:CAB=36:27:11。
ABC=(36)、BCA=(27)、CAB=(11)とすると、
ABC+BCA+CAB=(74)……①
また、A、B、Cが、それぞれ、百の位に1回、十の位に1回、一の位に1回登場することに注目すると、
ABC+BCA+CAB=A×111+B×111+C×111=(A+B+C)×111……②
①と②は等しい。
よって、ABC+BCA+CABは、74の倍数であり、111の倍数でもあるから、74と111の最小公倍数222の倍数ということがわかる。
よって、A+B+Cは2の倍数……③
また、BCAを11/27倍すると整数であるから、BCAは27の倍数。(9の倍数)
よって、
B+C+A=A+B+Cは9の倍数……④
③④より、A+B+Cは18の倍数。
一けたの整数A、B、Cを足して18の倍数になるのは、18しかないので、18
に確定。
よって、
ABC+BCA+CAB=18×111=1998
ABC=1998×36/74=972
ためしに、3/4倍、11/27倍すると、つじつまが合うので、これでOK。
答え、972
大問2
(1)「平面図形(角度)」
32度の角度で紙を折れば、残りの角度は、180-32=148度。
折り返す前と後は線対称だから、一つ分の角度は、148÷2=74度。
この要領で、どんどん角度を求めていきます。
正三角形の一つの角は60度。
外角の定理(スリッパ)もお忘れなく。
難しそうに見える問題ですが、一つ一つは定番のテクニック。よく練られた問題です。
(2)「平面図形(面積)」
大きいおうぎ形の半径がわかりません。(ルートになります。)
でも、半径×半径は正方形の面積の2倍になるので、計算できます。
定番問題です。
(3)円すい台の体積
立体を、直径を通る平面で、たてに切ると、断面は三角形が二つ重なった図形になります。
さらに、円の中心を通る直線をたてに引くと、直角三角形になります。
たて、横の比は、下の直角三角形が8:6=4:3。上の直角三角形が12:3=4:1。
あとは、定番問題です。
大問3「仕事算」
競技場を作る仕事量を400、体育館を作る仕事量を240と設定します。
競技場を作るとき、Aの仕事量は1日あたり4、Bの仕事量は1。
体育館を作るとき、Aの仕事量1日あたり2、Bの仕事量は1。
(1)400÷(4+1)+10+240÷(2+1)=170日目
(2)Aは100日で競技場を完成させ、10日で移動してくる。合計110日。
この間、Bは1×110=110の工事をしている。残り130。
130÷(1+2)=43と1/3
110+44=154日目(答え)
(3)ちょうど140日で完成するときを考える。
Aが体育館を作るのは、30日。
240-2×30=180……Bが体育館をつくる仕事量。
180÷140=9/7(1と2/7)倍以上
(答え)
大問4「規則性」
定番問題です。
正方形ができるとき、そこは「平方数」になります。
偶数の平方数は左上に、奇数の平方数は右下にあります。
以上がおさえられていれば、簡単です。
ただし、「右5、下5」だからといって、5番目の奇数の平方数かというと、そうではありません。
「6番目」の奇数の平方数です。
このように、「1」ずれる危険が、本問の難しいところです。
大問5「立体図形(体積)」
本問も、早稲田中第2回の受験生にとっては、定番問題。そのまま計算するだけです。
(2)では(1)を利用し、減った分はアの部分で削られた分だと考えていきます。
計算が、やや手間です。ここまでに、時間を使いすぎていると、もったいない結果になります。
学校公表の受験者平均点は、60点満点で31.2点。合格者平均点は、41.6点です。
理論的に難しかった問題は、大問1(3)。あと、人によっては、大問2(1)も難しかったかもしれません。
それ以外は、理論的には簡単。
ただし、大問2(3)、大問4、大問5のように、計算に手間のかかる問題が多く、最後まで解ききれたかどうかが、合否を分けたのではないかと、推測します。
また、大問4では、植木算の関係がひんぱんに現れて、「わかっているけれど、1ずれた」というミスが多かったのではないでしょうか。
したがって、対策としては、
といったことが挙げられます。
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