1、筑波大学附属中学の算数は、問題数が特に決まっていません。
となっています。
もっとも、2016年以降は、大問1が小問7~8問に分かれているので、総数は同じくらいです。
大問1の小問群は、様々な分野から出題されています。
大問2以降の1問1問は、小問に分かれていません。大問というより、中問といった方が適切です。
でも、中には、小問に分かれている大問(応用問題)や、長文問題もあります。
以上より、出題形式は、年度によってまちまちになっています。
2、頻出分野について
「平面図形」「立体図形」「割合」「速さ」「規則性」「数の性質」「論理パズル」など、ほぼまんべんなく、出題されています。
強いて言うと、「場合の数」がやや少ない感じです。
3、難易度について
標準的な問題から、かなりの難問まで、出題されます。
難問の配置場所は、特に決まっていません。大問1の小問にも、かなりの難問が見られます。
4、特徴
このように、一般的な中学入試問題の分析基準にあてはめると、「傾向」がよくわからない学校という印象を受けます。
このことは、筑附の傾向がユニークで、特殊であることを示しています。
どのような意味で特殊なのでしょうか?
第1に、知能テスト系の問題が、よく出題されます。典型的なのが、2018年大問8。「紙を折った状態で、はさみで3回きり、もとの折り紙を8つの部分に分ける」という問題です。
「平面図形」あるいは「立体図形」に分類されるのかもしれませんが、中学入試問題の分類表に、アドレスがありません。
第2に、「小問積み重ね型の応用問題」が、ほとんど出ません。典型的なのが、2017年大問9。「立体切断」です。
この問題は、もともと超難問だったところを、塾が上手な解き方を広め、今では定番の知識問題となっているものです。
この問題を、大問9のようにそのまま出題すると、解法丸暗記の受験生でも、解けてしまいます。
そこで、多くの難関中学では、これを大問の小問1に置き、小問2では、立方体の一部を欠いた状態で切断させたり、小問3では、直方体を切断させたりと、前問をヒントに思考を積み重ねて、「応用」させていくわけです。小問1は、「練習」「ウオーミングアップ」にすぎません。
ところが、筑附は、この練習用の問題を、大問9として、単独で出題し、そこでおしまいになっています。
第3に、「具体的な数字を設定しない問題や、具体的な数字設定が一部にとどまる問題」が非常に多い、という特徴があります。たとえば、
などです。
「投影図」「展開図」などは、具体的な数字を設定しなくても、どのような位置関係にあるか、問うことができます。
「平行四辺形の面積を2等分する直線(対角線を除く)を作図するには、どうすればよいか。」という問題も、平行四辺形のサイズ、形状を、具体的な数字で設定する必要はありません。
このような問題では、具体的な数字をバンバン「無茶書き込み」していったら、何が何だかわからないうちに、偶然解けた、というような幸運はありえません。
ですから、簡単に解ける人がいる一方で、全くわからないという人も、出てきます。
2021年度から、算数は社会と切り離され、算数単独で40分の試験になりました。
それに伴い、問題量が1.5倍ほどに増加しています。
算数に使える時間が増えた以上に、問題量が増えた印象です。
問題量の増加だけでなく、難問の数も増えています。
さらに、2021年度は、「統計」の本格的な長文問題が導入されました。公立中高一貫校の適性試験ばりの問題です。
以上の傾向をふまえると、
の3つについて、考える必要があります。