開成中学の算数 傾向と対策


速報! 開成2022年

目次
プロローグ  
1傾向 
1-1 出題分野別・配点比率
1-2 出題分野別・難易度比率
1-3

配点比率×難易度比率

(=難易度別・配点期待値)

1-4 ターゲットの選定
1-5

開成の新たな出題傾向

=東大シフト

=新たな枠組み

2対策:新たな枠組みの下での勉強法

2-1 定型的と非定型的の関係
2-2

自分で解法を編み出すには

何が必要か?

2-3

過去問との向き合い方

(特に、開成vs灘)

2-4 難易度別・分野別対策
2-5 長文問題対策
エピローグ

プロローグ

開成中学の国語の入試問題で、事実上、算数の問題が出題され、「開成ショック」と言われたのが2018年。

 

当時は、2020年の大学入試改革を見据えて、開成が実験的出題を始めた、と騒がれたものです。

 

算数は、と言うと、それより一足早く2016年から、実験的出題が始まっています。

 

以来、開成・算数は、出題傾向が毎年のように変わり、合格者平均点、受験者平均点とも、大きく乱高下をくり返してきました。

 

受験生の間では、

 

「開成の算数では、塾で勉強してきた問題が全然出題されない。こんな問題、見たことがない!」

 

との悲鳴が上がり、何を勉強すればよいのか、混乱が広まりました。

 

そのような中、

 

「開成は、灘や洛南の過去問を参考にして出題しているから、灘、洛南の過去問を勉強すると、開成対策に有効らしい」

 

といったうわさが、まことしやかに流れ、レッツ算数教室には、灘や洛南の過去問指導をしている算数教室を探して、さまよい歩く保護者様まで現れました……

 

 

ところが、その一方で、サピックスは毎年ほぼ一定数の、高い開成合格実績を達成し続け、早稲田アカデミーも順調に開成合格者数を伸ばしています。

 

これほど出題傾向が目まぐるしく変わるなら、大手塾の合格者数も大変動しそうにも思えますが、現実はその逆です。

 

この事実は、何を意味しているのでしょうか?

 

一体、開成の出題傾向は、変化しているのでしょうか?

 

それとも、安定しているのでしょうか?

 

 

ここで、開成とは、どのような学校なのか、開成の先生方は、何をお考えなのか、という問題を、開成の立場に立って考えてみると、答えが見えてきます。

 

開成は、言わずと知れた「東大合格者数、全国1位」の学校です。

 

もちろん、開成の「大運動会」には、歴史と伝統があり、開成関係者の誇りでしょう。

 

「大運動会」には、開成を見学したい受験生と保護者様が多数集まり、大盛況となります。

 

でも、それとて、開成の見事な「東大合格実績」あってのこと。

 

「青白い受験秀才軍団かと思っていたら、こんなにたくましい青年達だった」

 

という、そのギャップが、評判のもとです。

 

開成ブランドの力の源泉が、「東大合格者数、全国1位」にあることは、万人が認めるところです。

 

その地位を、大学入試改革によって失うことになったら、一大事です。

 

何としても守り抜かなければならない。

 

そこで開成がとった対策は、非常に強力な新傾向、「東大シフト」。

 

ここ数年の開成中学・算数は、東京大学・数学の入試問題と、出題方針、問題作成方法において、酷似しています。

 

ほぼ「相似形」といって良いでしょう。

 

1年ごとに「新傾向」「旧傾向」を織り交ぜ、リスク分散していますが、流れとしては、新傾向です。

 

では、開成が注視している、東大の数学入試問題とは、どのようなものでしょうか?

 

東大・数学入試問題は、塾、予備校の発達に応じて進化してきましたが、根底に流れる出題傾向は、戦後70年以上、一貫しています。

 

 

1、東大が求める若者は、学問の新境地を切り開く、すなわち無から有を生み出す、真に創造性のある若者である。

 

2,たとえ他人に教わった解法を「理解」していても、それに基づいて問題を解いただけでは、創造性を保証するものではない。ましてや、暗記で解くなどは、論外である。

 

3,ところが、定型的な問題(見たことのある問題)や、それをひねった応用問題を出題すると、創造性に欠ける者が合格してしまい、真に優秀な創造性のある若者が、不合格になってしまう恐れがある。

 

4,よって、出題は非定型的な問題(見たことのない問題)を中心とし、しかも、その問題を解くのに必要な知識は、きわめて基本的なものに限定する。

 

 

最後の4の条件を満たす問題は、事前に準備する知識量が少なくてすむため、自分で考える力のある(創造性のある)受験生は、いとも簡単に解けます。

 

他方、そうでない人は、事前に準備するのが困難な問題であるため、手も足も出ません。

 

塾・予備校では、このような問題を、「難問」「捨て問」と呼びます。

 

(中学入試問題で、作業量が多いだけの問題も、捨て問と呼びますが、それはまた別の話)

 

この方法により、東大は、現実との折り合いをつけながらも、創造性のある受験生を「まっ先に」「確実に」合格させようと工夫します。

 

大まかに言うと、これが東京大学・数学の出題傾向です。

 

 

その傾向を、開成・算数は、忠実に再現し始めたのです。

 

もちろん、従来からそのような傾向はありましたが、一層強く、推し進めたのです。

 

この点をご理解いただければ、これから開成を目指される、さらには受験なさる方々が、無用なご心配、混乱を起こすことなく、日々の勉強にまい進していただけるものと思います。

 

以下では、開成の過去問データと、東大の出題傾向の分析を通じて、今後の開成対策に有効な勉強がどのようなものかを、実証していきたいと思います。

 


1、傾向

1-1 出題分野別・配点比率

 

まず、開成中学2016年(平成28年)から2021年までの、出題分野別・配点比率です。

 

   出題分野別・配点比率
年度 21 20 19 18 17 16
和と差   5       7

12

(2.4%)

割合と比       6   21

27

(5.3%)

速さ     18 6   18

42

(8.2%)

平面図形 7 21 7 34 12 21

102

(20%)

立体図形 21 15 7 6 30  

79

(15.5%)

数の性質       21 12  

33

(6.5%)

規則性 39          

39

(7.6%)

場合の数   29 20 6   18

73

(14.3%)

論理推理 18 15 26   25  

84

(16.5%)

方程式     7 6 6  

19

(3.7%)

85 85 85 85 85 85

510

(100%)

(85点満点。表の各欄の数字は、配点。配点はレッツ算数教室の分析によります)

 

分析結果1:「和と差」は、ほとんど出題されない。

 

分析結果2:以前は出題されていた「割合と比」「数の性質」が、出題されなくなった。

 

分析結果3:入れ替わりに、「論理推理」の占める割合が増えている。

 

分析結果4:他の分野は、ほぼ一定量、出題され続けている。

 

 

平面図形が立体図形より多く、違和感をお感じになるかもしれませんが、これは次の理由によります。

 

たとえば、立体切断後、切り口の投影図(平面図形)を描き、面積を求める(方程式)、といった問題があります(2019年大問2)。

 

これを、形式的に「立体図形」の問題に分類すると、判断を大きく誤ります。

 

そこで、このような場合、実質も考慮して、配点を「立体図形」「平面図形」「方程式」で3等分しています。

 

開成では、「立体図形」と「平面図形」の「融合問題」を出題することが、非常に多いのです。

 

さて、上の表を見ながら、頻出分野について、一応の確認をしておきましょう。

 

 

   開成算数・頻出分野
1位 平面図形 20.0% 
2位 論理推理 16.5%
3位 立体図形 15.5%
4位 場合の数 14.3%
  66.3%
5位 速さ 8.2%

 

「平面図形」「論理推理」「立体図形」「場合の数」だけで、66.3%

を占めています。

 

3問中2問です。

 

ここで、「速さ」が少ない感じがしますが、これも実質的分類の影響です。

 

たとえば、2020年大問2は、「毎分30cm」などの条件も使いますが、速さ自体は簡単で、ほとんど問題ではなく、難しい進行グラフの「暗号解読」がテーマなので、「論理推理」に分類します。

 

同じく2020年の大問3は「点の移動」で、「速さ」も使いますが、本質は「平面図形」となります。

 

このように、開成の算数は「形式的」な出題分野の分類と、「実質的」な出題分野の分類が、大きくズレてしまう点に、特徴があります。

 

レッツ算数教室では、実際に問題を解く受験生の立場に立って、「実質的」な分類を優先しています。


1-2 出題分野別・難易度比率

 

さて、配点の高い分野がわかったとしても、難しくて得点できなければ、出題されなかったのと同じことです。

 

そこで、次に問題になるのが、出題分野別・難易度分布です。

 

   出題分野別・難易度比率
  C以下 D E以上
平面図形  31.0% 54.0% 15.0%
論理推理 20.2% 19.0% 60.8%
立体図形 27.2% 21.0% 51.8%
場合の数 65.8% 30.1% 9.1%
速さ 57.1% 42.9% 0.0%
規則性 43.6% 28.2% 28.2%
数の性質 36.4% 42.4% 21.2%
割合と比 85.2% 14.8% 0.0%
方程式 44.4% 44.5% 11.1%
和と差 31.6% 68.4% 0.0%

(出題分野は、配点比率の高い順=すなわち、出る順に並べてあります。難易度は、Aが最も易しく、BCDEの順に難しくなっていきます。)

 

 

分析結果1:最近頻出の「論理推理」は、難問の割合が多い。

 

分析結果2:めっきり出題されなくなった「和と差」「割合と比」「数の性質」は、たまに出題されると易しい。

 

分析結果3:「立体図形」は、難問の割合が多い。

 

分析結果4:その他の分野は、ほどほどの難易度の問題が、コンスタントに出題されていて、得点できないと、合否にかかわる。

 

これらの結果をふまえて、どの分野に注力すればよいか考えるために、まず、「論理推理」「立体図形」などの難問(評価E以上)を捨て問とした場合の影響について、見てみましょう。

 


1-3 配点比率×難易度比率(=難易度別・配点期待値)

 

これは、レッツ算数教室が独自に開発した方程式です。

 

おそらく、業界初の試みになります。

 

たとえば、難問の比率が高い「論理推理」について、次のように考えます。

 

「論理推理」の配点比率は、開成の85点満点を100%とした場合、16.5%でした。(開成で100問出題されれば、そのうち16.5問が「論理推理」の問題、という意味です)

 

そのうち、評価E以上の難問の比率は、60.8%でした。

 

16.5問のうちの60.8%が難問なので、

 

16.5×0.608=11.22問

 

つまり、

 

「開成の算数の問題が100問あると、そのうち「論理推理」の難問数は11.22問」

 

という計算になります。

 

よって、この難問を「捨て問」にすると、得点は、100%ー11.22%=88.78%になります。

 

同様に、他の難問(評価E以上)についても期待値を計算すると、次のようになります。

 

   難易度別・配点期待値
論理推理(E以上)  11.2% 
立体図形(E以上) 8.0%
平面図形(E以上) 3%
規則性(E以上) 2.1%
小計 24.3%
数の性質(E以上) 1.4%
場合の数(E以上) 0.6%
方程式(E以上) 0.4%

 

85点満点の24.3%は、約21点。

 

これらを捨て問にすると、残りがすべて正解でも、64点です。

 

ここで、開成の合格者平均点、受験者平均点を確認しておきましょう。

 

  合格者平均点 受験者平均点

2021年 

55.8  45.8
2020 49.5 38.6
2019 64.6 51.0
2018 73.9 62.0
2917 54.8 40.1
2016 53.7 39.7
平均

58.7点

(69%)

46.2点

(54%)

(合格者平均点、受験者平均点は、開成中学ホームページより引用)

 

 

これで、おおよその状況がつかめました。

 

ビッグデータに基づく統計がとれるほど、過去問の問題数が多くないので、ビッグ誤差との格闘となりました。

 

あくまでも、「集計」の域を出ません。

 

それでも、過去問を解きながら漠然と感じていたことが、それなりの数字になって現れました。

 

 

まとめると、

 

「論理推理」「立体図形」「平面図形」「規則性」の難問(評価E以上)を捨て問にすると、合格者平均点を5.3点ほど上回っている

 

ということになります。

 

5.3点……です。小問1問の配点が、だいたい5~7点です。

 

何とぎりぎりの勝負でしょうか?

 


1-4 ターゲットの選定

 

ここまでの分析で、評価E以上の問題を捨て問にすると、ほぼ合格者平均点になる、ということが、ご理解いただけたと思います。

 

レッツ算数教室では、年度別の傾向と対策で、「出題分野&難易度マップ」を掲載し、評価Eの部分をピンク色に着色していますが、ここまでは、捨てても、ぎりぎり大丈夫でしょう。

 

逆に言うと、捨てて良いのは、ここまでです。

 

「和と差」や「割合と比」はほとんど出題されないから、勉強する意味がない、と考えるのは、いかがなものかと思います。

 

「分野別に、よく出る所だけ勉強して、効率よく合格しよう」という考えは、一般的には妥当ですが、開成対策としては、甘いと言わざるを得ません。

 

分野で選んではダメです。

 

難易度こそが重要です。

 

分野を問わず、評価D以下の問題を、すべてターゲットに選定しましょう。

 

確かに、塾で6年生の夏期講習までに勉強する問題は、開成ではあまり出題されません。あるいは、「直接には」出題されません。

 

9月以降の学校別特訓で勉強する、開成過去問を中心とした問題が、合格に影響することは否めません。

 

しかし、夏期講習以前に勉強したことが無駄かというと、全くそのようなことはありません。

 

これらの問題は、「あまり出題されない」のであって、「少しは」出題されます。

 

そして、わずかでも出題されたとき、合格する人は、これを確実に得点します。

 

コスパは悪く見えるかもしれませんが、絶対に落とせないと、覚悟を決めましょう。

 

その上で、9月以降の学校別特訓に取り組むべきです。

 

 

ところで、今、「コスパが悪く見えるかもしれない」、と言いましたが、実はそれは誤解です。

 

コスパが悪く見えるのは、従来の出題分野の分類があまりに形式的で、開成の新たな出題傾向を説明するのに、機能不全に陥っているからなのです。

 

最近の開成の算数は、「融合問題」が多く、形式的な出題分野・分析表では分類しにくいということを、くり返し指摘してきました。

 

それら融合問題を解くのに必要な「基礎知識」「算数の発想法」は、主に6年生夏期講習以前の「定型的」な問題をマスターする過程で、身につくのです。

 

むしろ、定型的な問題の方が、算数の発想法がわかりやすくギュッと詰まっていて、身につけるためのコスパが良いとさえ言えます。

 

だから、直接出題されることのない6年生夏期講習以前の多くの問題も、非常に重要なのです。

 

少しは役に立つ、どころではありません。非常に重要なのです。

 

このことをご理解いただくために、出題分野の分類について、もう一度、考察し直してみましょう。

 


1-5 開成の新たな出題傾向=東大シフト=新たな枠組み

 

先に、出題分野の分類をする際、

  • 「立体図形と平面図形は融合して出題される」
  • 「速さの問題のように見えても、実質的には論理推理だったり、平面図形だったりする」

などの問題点を指摘しました。

 

なぜ、このような不都合が起きるのかというと、開成の先生方は、従来の出題分野・分析表を、ほとんど参考にしていないからです。

 

あるいは、従来の出題分野・分析表を、意図的にくずしているからです。

 

 

では、開成の先生方の頭脳は、どのようになっているのでしょうか?

 

それが、次に示す「東大シフト=新たな枠組み」です。

 

一言でいえば、東大・数学の出題傾向と、中学受験・算数の、「共通部分」を見抜くための、思考枠組みです。

 

   東大シフト(新たな枠組み)
  場合分け能力

規則性発見能力

(パターン認識能力)

他の

発想法

論理学

①定型的な問題(見たことのある問題)

②非定型的な問題(見たことのない問題)   

図形(1)
図形(2)
代数

 

縦軸は「出題分野」を表します。大きく分けると

  • 「論理学」
  • 「図形」
  • 「代数」

となります。

 

横軸は、問題を解く際に使う能力、算数の考え方を表します。レッツ算数教室では、「算数の発想法」と言っています。大きく分けると、

  • 場合分け能力
  • 規則性発見能力
  • その他の発想法

となります。

 

これらは、かまぼこに例えると、イメージしやすくなるでしょう。

 

縦軸は、かまぼこの原材料。

  • でん粉
  • 食塩

となります。

 

横軸は、かまぼこの栄養成分。

  • タンパク質
  • 炭水化物
  • ナトリウム

となります。

 

たとえば、開成の融合問題が、「論理・推理」と「立体図形」の融合問題で、前者に重点が置かれていれば、縦軸の表示は

 

(論理学、図形、代数)=(3,1,0)

 

となります。

 

そして、その問題を解くのに必要な能力が、主として「場合分け能力」であれば、横軸の表示は

 

(場合分け能力、規則性発見能力、その他の発想法)=(3,0,0)

 

となります。

 

本問(原材料)には、「場合分け能力」という栄養成分が豊富に含まれている、という表示です。

 

数字は、重みづけなので、様々な組み合わせを表現できます。

 

それぞれの問題は

  1. 定型的な問題(見たことのある問題
  2. 非定型的な問題(見たことのない問題)

に分かれます。

 

定型的な問題も少しは出題されますが、最近の開成でよく出題されるのは、非定型的な問題です。

 

融合問題が増えたというのは、非定型的な問題を出題する努力の結果です。

 

以上が、東大シフト=新たな枠組みの概要になります。

 

では、順にくわしく見ていきましょう。

 

 

1、縦軸について

 

まず、縦軸の「論理学」「図形」「代数」について。

 

これらは、出題分野を表します。

 

従来の出題分野・分析表に比べ、項目数が少なく、大きな分類になっています。

 

なぜならば、開成の入試問題は、複数の分野が融合・合体するのは当たり前だからです。

 

しかも、これら3つの分野さえ、相互に融合、合体します。

 

 

たとえて言うならば、かまぼこ。かまぼこの原材料表示をイメージしていただけると、わかりやすいでしょう。

 

「かまぼこは、ひとかたまりで、その原材料は、(魚、でん粉、食塩)である」

 

「算数の融合問題はひとかたまりで、その原材料は(論理学、図形、代数)の3つである」

 

ぐらいの感覚です。

 

「魚」や「でん粉」には様々な種類があり、その選び方や配合の割合によって、味や栄養成分が変わります。

 

算数の「融合問題」も、これと同じように考えるのです。

 

「図形」や「代数」には様々な種類があり、その選び方や配合の割合によって、学習効果や入試での選別機能が変わります。

 

たとえば、2020年大問1は、「速さ」も使いますが、実質的には、「論理推理」の問題なので、原材料表示すると、(3、0、1)などとなります。

 

それでは、各原材料の内容を、具体的に見ていきましょう。

 

(1)論理学(計算不要)

 

高校数学の「命題と証明」に該当します。

 

「AならばBである」とか「背理法」などです。

  

「背理法」とは、大ざっぱに言うと、

 

「仮にAであるとすると、○○の矛盾が生じる。よって、AではなくB」

 

という論法です。

 

この手の「計算を伴わない論理」が、開成の「論理推理」の問題で、ひんぱんに使われます。

 

出題者側からすると、地頭の良い子を選別するための、便利なツールだからです。

 

ちなみに、この分野は、哲学との関連も深く、文学部・哲学科でも扱っています。

 

「算数は苦手だけど、論理推理だけは得意!」

 

という文系タイプの秀才がいることを、つけ加えておきます。

 

(2)図形(1)(計算必要)

 

中学受験・算数で扱う図形問題のうち、高校数学(=東大入試で出題される数学)と関係の深いものを指します。

 

高校数学では、微積分で面積や体積を求めます。

 

また、平面ベクトル、空間ベクトルといった分野もあります。

 

よって、これらと関連のある図形問題は、開成・算数でもよく出題されます。

 

その際、「平面図形」と「立体図形」は、出題者の頭の中では、区別されていません。

 

(たて、横、高さ)のうち、「高さ」の座標が「0」のものが「平面図形」である

 

ぐらいの感覚なので、「立体図形」と「平面図形」が融合するなど、当たり前なのです。

 

開成・算数で「立体切断」+「投影図」の問題が頻出なのは、ここに理由があります。

 

それを、中学受験指導者の側で、

  • 「開成の平面図形の対策は○○」
  • 「開成の立体図形の対策は□□」

などと言ってみても、いざ、開成の入試本番で役に立たないのは、むしろ当然です。

 

 

他方、ユークリッド幾何学の証明問題のように、絶妙な補助線を引いて解く図形問題、すなわち、中学受験・算数で頻出の「平面図形と比」のような問題は、大学受験・数学では、まず出題されません。

 

せいぜい、立体切断の「切り口」を求める際に、三角形の相似を、少し使う程度です。

 

よって、開成では、ユークリッド的な図形問題が、大きく減少しました。

 

ユークリッド幾何学は、公理に誤りが見つかり、現代の数学者の間では、やや権威が失墜したという事情も、関係しているのかもしれません。

 

 

ちなみに、開成で「立体切断」が頻出なのは、東大入試で「立体切断」が出題されるからです。

 

東大の入試問題を参考にしながら、問題を作成しているのです。

 

(3)図形(2)(計算不要)

 

図形の向きを変えて組み合わせたり、展開図を組み立てたり、「空間認識能力」を必要とする問題が、ここに含まれます。

 

計算は不要です。

 

ほとんど知能テストで、地頭を試すのに適しています。

 

2021年大問2は、立体切断後の各立体の体積を求める問題ですが、その際、頭の中で図形の向きをぐるぐる回します。

 

よって、計算が必要な図形問題と、計算が不要な図形問題が融合することもあります。

 

形式的な分類は、問題を解く際には、無意味なのです。

 

(4)代数(計算必要)

 

中学受験・算数の出題分野のうち、「図形問題」「論理問題」を除く、すべての問題が、ここに含まれます。

 

十把(じっぱ)ひとからげです。

 

計算には、「和差」と「積商」があります。

 

「足し算・引き算を含む公式」が存在する問題」が「和と差の問題」に含まれます。

 

「かけ算を含む公式」が存在する問題は、全部まとめて「積と商の問題」になります。

 

それらのうち、「速さ」と「数の性質」の問題が、かろうじて、開成入試問題で、生き残っています。

 

なぜならば、「速さ」の問題は、他の計算を必要とする問題の要素を全て備えていて、「速さ」の問題を出題することで、まとめて試せるからです。

 

もちろん、「割合と比」などでもかけ算の公式を使いますから、論理構造は同じなのですが、高校数学では「速さ」の方が、ひんぱんに用いられます。

 

「微分」とは、もともと「瞬間速度」を求める技術だからです。

 

よって、「割合と比」より「速さ」の方が、開成・算数では重要なのです。

 

もう一つ、「数の性質」も出題されます。

 

なぜならば、高校数学の「数列」と関連が深いからです。

 

さらには、東大・数学では「整数問題」が頻出だからです。

 

「整数問題」というのは、少ない知識量でも深く考えることが可能で、地頭の良し悪しを試すのに適した分野なのです。

 

 

他方、「差集め算」をはじめとする「○○算」は、中学生以降、方程式で解くことになります。使わないのです。

 

よって、開成・算数では、あまり出題されなくなりました。

 

 

以上が、縦軸「出題分野」の内容と分析になります。

 

2、横軸について

 

さて、横軸に移りましょう。

 

縦軸は、出題された問題がどの分野かを示すのに対し、横軸は、それらの問題をどうやって解くか、そのアイデアの「思いつき方」「算数の発想法」を示したものです。

 

これらの「発想法」は、出題分野を問わず、いつでも用いられる可能性があります。

 

開成・算数の形式的な出題分野・分析表で「場合の数」「規則性」の出題が目立たない、あるいは減少しているように見えるのは、これらが重要でないからでは、決してありません。

 

それどころか、「場合分け能力」「規則性発見能力(パターン認識能力)などは、多くの問題を解く際の「発想法の1つ」という形で、とても出番が増えているとさえ言えます。

 

ところが、従来の形式的な「出題分野・分析表」によると、それらの事実が、かげに隠されて、正しく認識できません。

 

そこで、横軸の要素にも加えて、すべての問題に適用され得ること、実際によく出題されていることを、認識しておく必要があるのです。

 

先ほどの、かまぼこの例にたとえるなら、横軸は、栄養成分表示に該当します。

 

原材料(魚、でん粉、食塩)に対し、栄養成分表示は(タンパク質、炭水化物、ナトリウム)です。

 

算数の栄養成分表示は(場合分け能力、規則性発見能力、その他の発想法)となります。

 

たとえば、規則性の問題(数列など)には、「規則性発見能力」という栄養が豊富に含まれているので、横軸の表示は(0、3、0)などとなります。

 

原材料としての「規則性の問題」と、それを勉強することによって身につくはずの「規則性発見能力」は別物で、しっかり区別しておくことが、後々大切になってきます。

 

そのことが、以下の説明で、おわかりいただけると思います。

 

では、順に見ていきましょう。

 

 

(1)場合分け能力

 

問題を分析する際、

 

「論理的にあり得る可能性は、○○と□□である」

 

と場合分けする能力です。

 

東大・数学で最も重要な能力の1つです。

 

「論理推理」の問題で、「仮に○○だとしたら」と仮定して考えますが(背理法)、これは「○○の場合と□□の場合がある」という場合分けができていることを前提としています。

 

つまり、場合分け能力がないと、「論理推理」の問題は解けないのです。

 

では、中学受験の出題分野である「場合の数」と、算数の発想法の1つである「場合分け能力」とは、どこが違うのでしょうか?

 

「場合の数」とは、場合分け能力を必要とする問題のうち、

  • 「何通りありますか?」
  • 「考えられるものを、すべて書き出しなさい」

という出題形式の問題のことです。

 

ほとんど、文末表現だけで、形式的に決まります。

 

有名なのは、

  • 「5人の中から2人のそうじ当番を選ぶ方法は何通りですか?」
  • 「道順は何通りですか?」

などです。

 

でも、つるかめ算のうち、一部の問題は「不定形のつるかめ算」と呼ばれ、表をかいて何通りあるか調べます。

 

本来、「和と差に関する問題」に分類される「つるかめ算」が、「場合の数」と融合しています。

 

図形問題でも、「正方形は何個ありますか?」といった問題は、「場合の数・図形編」などと分類され、「平面図形」と「場合の数」が融合しています。

 

「場合の数」というのは、あちらこちらの分野で登場するのですが、これは、「場合の数」が本来「算数の発想法」に入れられる要素であることを示しています。

 

「場合分け能力」と呼ぶべきなのです。

 

それを「場合の数」という出題分野の1つに分類してしまうと、

 

「開成では、場合の数があまり出題されなくなった」

 

などという、とんでもない誤解を生んでしまいます。

 

開成であまり出題されなくなったのは、「そうじ当番」などの、使い古されて定型化してしまった問題です。

 

「場合分け能力」は、開成で頻出である「論理推理」の核心部分です。

 

 

(2)規則性発見能力(パターン認識能力)

 

これも、「算数の発想法」の要素の1つです。

 

たとえば、「出題者が指定したルールの下で作業をくり返す問題」などは、そのルールの下でどのような現象が起きるか、その「規則性」「ゲームのコツ」を見抜くことが、問題を解く核心部分となります。

 

では、いわゆる「規則性の問題」と「規則性発見能力」とは、どのような関係にあるのでしょうか?

 

「規則性の問題」とは、主として「規則性発見能力」を使って解く問題のうち、すっかり有名になった問題のことです。

 

「植木算」「数列・数表」「周期算」「図形の規則性(方陣算)」「N進法」などがそれです。

 

でも、ここでも「場合の数」と同じく、融合が起きています。

 

「周期算」では、「最小公倍数」が周期になることが多いのですが、「最小公倍数」は「数の性質」です。

 

「N進法」も「数の性質」とも言えます。

 

開成2018年大問3は「連続する整数による和分解(数の性質)」の問題ですが、「数表(規則性)」でもあります。

 

ここでも、「規則性」と「数の性質」はひんぱんに融合しています。

 

これらは、「規則性」が「数の性質」のような「代数」の1分野ではなく、「算数の発想法」に入れるべき要素であることを示しています。

 

それなのに、「規則性の問題」として出題分野の1つに分類してしまうと、

 

「最近、開成では規則性の問題があまり出題されなくなった」

 

などという、とんでもない誤解が生じます。

 

開成であまり出題されなくなったのは、すっかり有名になり、受験生が塾で解法を教わっている「定型化」した問題に過ぎません。

 

「規則性発見能力」は、開成で頻出の「ルール指定問題」を解く際の、重要な能力です。

 

 

(3)他の発想法

 

「等しいものに注目する」「ゴールからさかのぼって考える」など、レッツ算数教室でさかんにご説明している「算数の発想法」です。

 

これらの発想法も、出題分野を問わず、いつでも用いられる可能性があります。

 

 

3、まとめ

 

以上、縦軸(出題分野)、横軸(算数の発想法)について、ご説明してきました。

 

縦軸(出題分野)は、主として、中学受験・算数の従来の出題範囲と、東大で出題される範囲の共通部分を表します。

 

要素としては3個に分解しましたが、これらは自在に融合し、合体します。

 

横軸(算数の発想法)は、こちらも臨機応変にいつでも同時並行的に発動し、すべての「出題分野」に対し、「背後の発想法」の形で効いてきます。

 

東大・数学入試問題が、非定型的な問題(見たことのない問題)であるにもかかわらず、それを解くための発想法が、結局は「場合分け能力」をはじめとする「数学の発想法」であることに、対応しています。

 

 

結局、縦軸も横軸もすべてが一体となり、ひとつの「算数」という分野を形成しています。

 

算数は、かまぼこと同じく、どの分野で切断しても、切り口には、

  • 「場合分け能力」
  • 「規則性発見能力(パターン認識能力)」
  • 「等しいものに注目する」
  • 「ゴールからさかのぼって考える」

など、毎度おなじみの「発想法」が顔をのぞかせます。

 

開成・算数の出題傾向が毎年変わっても、サピックスの開成合格者数が安定しているのは、ここに理由があります。(こちらは、ビッグデータです)

 

彼らは、本番までに解いたすべての問題から、横軸の「算数の発想法」を、意識的に、あるいは無意識的に吸収します。

 

そして、難易度D以下の問題はすべて解けるような準備ができています。

 

だから、縦軸の出題分野、出題傾向がどのように変わろうとも、横軸から「算数の発想法」を繰り出して、対処できます。

 

そして、合格最低点を確実に上回ることができるのです。

 

開成で毎年変わっているのは、縦軸に過ぎず、開成が受験生に求めている能力=横軸は、安定しているのです。

 

その能力が、東大の求めている能力であること、もちろんです。

 


2、対策

新たな枠組みの下での勉強法

 

開成の最新出題傾向が、東大シフトになり、従来の出題分野・分析表が機能不全に陥っています。

 

その結果、開成の出題分野を正確に認識できなくなり、塾で6年生の夏期講習までに勉強していることが、無駄になっている、とお考えの方が出てきているようです。

 

他の学校の受験生のために、開成受験生が、無駄な勉強に、おつき合いさせられているのではないかと、心配なさっているようです。

 

本当に、無駄なのでしょうか?

 

レッツ算数教室では、無駄であるとは、全く考えていません。

 

それどころか、開成合格のために、3年生、4年生のころから勉強してきたことが、とても重要であると考えています。

 

ここでは、6年生夏期講習までの「適切な勉強」が、その後の志望校別対策に、どのように効いてくるのか、そのメカニズムについて、ご説明します。

 

その上で、「適切な勉強法」とはどのようなものか、すなわち、「対策」についてご説明します。


2-1 定型的と非定型的の関係

定型的な問題とは、出題パターンと解法パターンが確立されていて、受験生にとって見たことのある問題。

 

非定型的な問題とは、受験界で初めて出題され、解法が、まだ知られていない問題。受験生にとって、見たことのない問題です。

 

 

たとえば、開成のような超難関校で、新作問題が出題されたとします。

 

この時点では、受験生にとって、見たことのない問題ですから、これは「非定型的問題」です。

 

でも、塾や出版社は、この問題に注目し、上手な解法を編み出します。

 

他の多くの学校も、開成の問題を参考にしながら、それを小問(1)(2)(3)のような「段階的ステップ」に分解し、平均的な受験生にも手の届く出題形式に、整えていきます。

 

やがて、大手塾の基幹テキストに、「例題➡基本問題➡応用問題」の形で整理して収録されるようになると、誰でも見たことのある「定型的な問題」という扱いになります。

 

 

以前の開成は、定型的な問題の中で最も難しい「応用問題」も、かなり出題していました。

 

ところが、最近は「応用問題」の出題が減り、その分、見たことのない問題=非定型的な問題が増えています。

 

 

「応用問題」は、確かに難しいのですが、もととなる「例題」「基本問題」が存在するので、比較的、手がかりをつかみやすいと言えます。

 

これに対し、「非定型的な問題」は、出題分野すら不明のことも多く、問題文が何をさせようとしているのか、その意図するところすら、なかなかわかりません。

 

開成の最新傾向である「非定型的な問題」は、「ルール指定問題」「融合問題」の形をとることが多いと言えます。

 

このような「非定型的問題」を解くには、解法を自分で編み出す必要があります。


2-2 自分で解法を編み出すには、何が必要か?

 

自分で解法を編み出しなさいと言われても、初めは雲をつかむようなものでしょう。

 

勉強を始めたばかりの、空っぽの頭では、何も考えられません。

 

そこで、最初は、先人の知恵に学びます。当然です。

 

確かに、4年生で勉強する「和差算」「つるかめ算」「過不足算」などに始まり、6年生夏期講習に至るまでの、様々な定型的な問題が、開成で直接出題されることは、あまり期待できません。

 

でも、これらの「定型的な問題」には、先人たちの「センスの良い」知恵が詰まっています。

 

定型化したということは、多くの人に愛されたということであり、学ぶところが多いことを意味します。

 

そうであるなら、この栄養分を吸収しないという選択肢は、あり得ません。

 

この栄養分を、レッツ算数教室では「算数の発想法」と呼んでいます。

 

発想法ですから、解法ではありません。解法を生み出すもとになる考え方です。「思いつき方」です。

 

算数の発想法を身につければ、自分で解法を編み出すことができるようになります。

 

 

では、どのようにすれば、算数の発想法が身につくのでしょうか?

 

これには、同じ発想法を含む問題を並べて、その共通点を見抜くという勉強が有効です。

 

「このような場面では、このように反応すれば良い」

 

という形で、まとめていくのです。

 

この勉強の積み重ねが、6年生9月以降の志望校別特訓で、大きく花開きます。


2-3 過去問との向き合い方(特に、開成vs灘!)

 

6年生の9月以降は、蓄えた「算数の発想法」を使って、過去問演習が始まります。

 

多くの受験生は、志望校の過去問演習をします。

 

ここで、重要な誤解が起きがちです。

 

志望校の過去問が、再出題されることを期待してしまうのです。

 

そして、ドツボにはまります。

 

開成の先生方が、「非定型的な問題」を解く能力のある子を最優先で合格させる、とお決めになった以上、たとえ開成の過去問であっても、それがそのまま再出題される、ということは、基本的に期待できません。

 

まして、それが他校の過去問であれば、より一層、あり得ません。

 

でも、そこは、開成の先生も人間です。様々な先生がいらっしゃいます。

 

非常にまれに、どこかの学校の過去問ときわめて類似した問題が出題されることが、あります。

 

これは、開成にとって、ミス、エラー、ハプニング、失策なのです。

 

2度と起きないように、猛反省でしょう。

 

「このケースを職員全員で共有し、2度とこのような事態を招かぬよう、職員一同、全力を尽くし、チェック体制を強化します」

 

などと、出題ミスのようなことは言いませんが、猛反省なさっているはずです。

 

ところが、点数が足りず、ワラにもすがりたい受験生は、このハプニングのわずかな可能性にすがります。

 

でも、このような方法は、多くの場合、報われません。

 

 

私の意見には、反対する人もいるでしょう。

 

その中には、たとえば灘中の過去問を持ってきて、

 

「ほら、この問題は、開成のこの問題と似ているではないか!」

 

と指摘する人もいるかもしれません。

 

確かに、パっと見は、似ているでしょう。

 

でも、多くの場合、それは開成が意図的に似せた問題であり、灘中の過去問の解法をマスターしていることが、決して有利には働かない細工が施されています。

 

それは、こういうことです。

 

開成と灘は、大昔から超難関校としてのライバル関係にあります。

 

お互いに、非常に強く意識し合っています。

 

そこで、自らが相手より上であることを世間一般に示すため、あの手この手を使っています(もちろん、入試問題の出題を通してですが)

 

たとえば、開成2016年(平成28年)大問3は、出題者が指定した「操作1~3」を行う際の、「場合の数」の問題です。

 

開成としては、標準レベルの問題だったでしょう。

 

この問題を、翌2017年、灘がパクリました。第2日目の最後を飾る、大問5です。

 

操作A~Cを行う際の、「場合の数」の問題です。

 

論理構造は似ているのですが、灘の問題は、開成よりもはるかにややこしく、開成の問題をマスターしていても、そう簡単には解けないでしょう。

 

「やっぱり灘は難しい」

 

と印象づける問題です。

 

これに対して、開成も負けてはいません。

 

開成2021年大問1(4)です。

 

本問は、2010年(平成22年)灘の第1日目大問5あたりと類似した、いわば灘の十八番(おはこ)の問題に、表面上は似ています。

 

ところが、似ているのは表面上だけで、解法は全く異なります。

 

開成のこの問題は、1989年度の東大(理科系)第4問の数字替え問題です。

 

ただし、数字を巧みに設定して、小学生にも解ける問題にアレンジしています。

 

灘中の過去問で鍛えていた受験生は、灘の解法が通用しなくて唖然としたことでしょう。

 

「開成、強い!」

 

開成と灘は、このようなことを何十年もくり返しています。

 

さらに印象的なのは、2014年(平成26年)です。

 

灘が第2日目の大問5で出題した「立体切断」の問題と、開成が大問2で出題した「立体切断」の問題が、そっくりなのです。

 

灘の出題の方が10日ほど早いとはいえ、開成が真似したわけではないでしょう。(印刷が間に合いません)

 

おそらく、参考資料が共通なので、偶然、似てしまったのではないでしょうか。(東大では、立体切断がよく出題されます)

 

 

このようなわけで、開成対策に灘中の過去問を利用するには、細心の注意が必要です。

 

逆効果になることもあるのです。

 

将棋の渡辺明(名人)が、実に味わい深いことを、述べていらっしゃいます。

 

「似たような形がたくさんあると、だんだんわからなくなってくる。変に思い出そうとすると、かえってよくない」

 

名言です。100%賛成します。

 

類似性に気づくよりも、類似している問題の「微妙な違い」に気づく方が、はるかに難しいのです。

 

そして、算数では(おそらく将棋でも)、この「微妙な違い」が、決定的に重要です。天地の差になるのです。

 

開成の本番で、

 

「この問題は、灘中の過去問で勉強した問題と似ているから、解けるはずだ。え~と、どうやって解くんだっけ?あれ~おかしいな、解けないぞ」

 

という精神状態は、最悪です。

 

先入観がじゃまをして、問題を正確に認識できないのです。

 

これは、開成自身の過去問も同じ。

 

「過去問を思い出して解こう」「過去問がもう一度出題される可能性にすがりつこう」

 

というマインドセットは、すでに不合格です。

 

 

では、開成合格者は過去問にどのように向き合っているのでしょうか?

 

合格者は、過去問が再び出題されることを、期待していません。出なくて当然と考えています。

 

でも、その過去問を解くための「発想法」については、くり返し出題されることを知っています。

 

そして、その発想法を身につけておけば、見たことのない問題にも対処できると考えています。

 

そこで、たとえ過去問の解説を理解できても、それで良しとはしません。

 

「解説を理解するぐらい、ライバルの開成受験生たちなら誰でもできる。それだけでは、差がつかない。

 

解説がなくても、自分で解法を思いつけるようでなければダメだ。

 

そのためには、自分に今、どのような発想が欠けているのか?それを突き止めて、身につけたい。」

 

まだ小学生なのに、そのように考えています。

 

だから、先生の解説が理解できても、発想法(思いつき方)がわからなければ、食い下がって質問してきます。

 

そのようなマインドセットなので、開成対策として、試しに灘の過去問を解いても、すぐ、そのテイスト(味)の違いに気づきます。

 

「開成の過去問は何年分か解いたけれども、灘のこの問題は、異質だ。似ているのはパッと見だけで、開成対策にはならないのではないか?」

 

「でも、こちらの問題は、開成対策になりそうだ。」

 

そのような判断が、体でできます。とても敏感なのです。

 

表面を流れる論理以上のものを感じ取っているから、違いがわかるのです。

 

そして、開成合格に必要な問題を求めます。

 

その問題が、灘、洛南のような、いかにもそれらしい学校の場合もありますが、そうでなくても、開成的な雰囲気のある過去問には、喜んで取り組みます。

 

全国の中学入試担当の先生方が、毎年素晴らしい問題を作成なさっています。

 


2-4 難易度別・分野別対策

1-4「ターゲットの選定」の中で、分野別対策よりも、難易度別対策の方が重要であると指摘しました。

 

理由は、

 

①分野横断的な融合問題が増えていて、出題分野の分類が実態とズレてしまうから

 

②難易度レベルE以上の問題を捨て問にした場合、それだけで合格者平均点と並んでしまい、他に捨てて良い問題がないから

 

です。

 

頻出分野に注力して、効率的に得点するなどと、贅沢(ぜいたく)なことを言っている余裕はありません。

 

少しでも出題される可能性があるならば、分野を問わず、すべて網羅しておく必要があります。

 

 

それにしても、強力な東大シフトを敷いて、のけぞるような非定型的問題を出題する開成が、なぜ、正答率が非常に高くなる基本問題も、少しは出題するのでしょうか?

 

定型的な問題が解けても、創造性が保証されるものではないと考えていながら、なぜ、定型的な問題も、少しは出題するのでしょうか?

 

その意図がわかれば、対策も見えてくるはずです。

 

ここで、東大受験のシステムを考えてみましょう。

 

東大受験には、1次試験、2次試験の2段階があります。

 

1次試験とは、共通テスト(旧大学センター試験)。

 

2次試験とは、東大が出題する試験を指します。

 

1次では、高校までに勉強する基本的知識の有無、すなわち、学力達成度を試すために、定型的な問題が出題されます。

 

2次では、創造性のある優秀な若者を「真っ先に」合格させるため、非定型的な問題を中心に出題します。

 

見ている所が違います。

 

加えて、2次試験は記述式で、採点のためのマンパワーが必要。

 

そこで、採点に値する学力達成度のある者を選抜するのが、1次試験の役割になります。

 

東大が、1次試験の得点と、2次試験の得点のどちらを重視しているかというと、圧倒的に2次試験です。

 

1次試験の得点は、足切りのためだけに考慮し、2次試験の得点ですべてが決まるとも言われていますし、1:5ぐらいの配分になっているとも言われています。

 

 

ところが、開成中学は1次と2次が分かれていません。

 

2月1日1本勝負です。

 

しかも、オール記述式です。

 

そのため、開成が完全に「東大2次化」すると、不都合が起きます。

 

基本的知識が問題外に不足している受験生たちが、一か八かの無謀な受験を試みて押しかけ、採点のマンパワーを上回ってしまうのです。

 

そこで、事実上の足切りとして、定型的な問題も、ある程度は出題せざるを得ません。

 

また、大手塾への配慮も若干はあるのかもしれません。

 

大手塾の開成受験クラスに入れてもらうためには、日頃の「マンスリー」「組み分け」「カリテ」「公開模試」などの、定型的な問題を多く含んだテストで、好成績を修めている必要があります。

 

ここが、事実上の1次試験、足切りの機能を果たしています。

 

もし、開成が完全2次化すると、大手塾が開成クラスの選抜基準を変更してしまうかもしれません。

 

「それは困る。」

 

というのが、開成の真意ではないかと思われます。

 

やはり、つるかめ算のような「超基本的」な勉強から始まる、大手塾のカリキュラムは、開成の本番で直接出題される機会が激減していても、「開成2次問題」を解くための基礎学力として重要なのです。

 

ただし、「開成1次」の出題数は少なく、2次重視の姿勢は東大と同じです。

 

 

では、難易度別対策として、具体的に何をすればよいのでしょうか?

 

大きく分ければ、2段階です。

  • 6年生夏期講習終了まで
  • 6年生9月以降

です。

 

(1)6年生夏期講習終了まで

 

「敵を知り、己を知れば、百戦危うからず」

 

という孫子の兵法があります。

 

ここで「敵」に相当するのは誰か?

 

開成入試問題ではありません。

 

開成は、これから6年間、大変お世話になる恩人であって、倒すべき相手ではありません。

 

これからお世話になる恩人を倒して、どうするんですかっ?ていう話です。

 

打ち勝つべきは、ライバルの開成受験生たちです。

 

なぜならば、合格最低点を作るのは、「その年度の開成受験生たち」だからです。

 

開成の入試問題の特徴がわかったとしても、それで敵がわかったことにはなりません。

 

ライバルの開成受験生が、どこまで準備できているか?ここを知ることが、「敵を知る」ということになります。

 

それを知るための貴重な機会が、大手塾の「マンスリー・組み分け」などのテストと、その問題ごとの正答率です。

 

各大手塾で、開成の「80%合格偏差値」をはじき出しています。

 

「何点取れれば、この80%偏差値に届くか?」

 

ここを徹底分析することが、1次試験についてのライバルの学力達成度を知るための、的確な方法となります。

 

あくまでも、「1次試験」です。

 

あくまでも、マンスリー・組み分け実施時点での、途中経過です。

 

それでも、3、4年生以来の「1次試験」を通じて、ライバルたちの学力達成度を体で感じ続け、自分との間合いを測ることが、まず第1段階です。

 

ここでは、80%偏差値に届くために、正答率何%の問題までマスターする必要があるかを確認し、足りなければ、届くまで勉強します。

 

(2)6年生9月以降

 

さて、6年生9月以降は、本格的な「2次試験」対策となります。

 

6年生夏期講習までの勉強は、定型的な問題を通じて、算数の発想法を吸収すること、すなわち「インプット」を重視した勉強でした。

 

他方、6年生9月以降は、蓄積した「算数の発想法」を使って、志望校の入試問題を解く練習、すなわち「アウトプット」を重視した勉強となります。

 

インプットが充実していなければ、アウトプットもうまくいきません。

 

「ない袖(そで)は振れぬ」です。

 

 

さて、最新傾向の開成対策の場合、ここから先は、「非定型的」な問題に対しての対策、「分野横断的・融合問題」への対策が重要になります。

 

ですから、志望校別特訓で、

  • 「開成の立体図形対策は○○」
  • 「開成の平面図形対策は□□」
  • 「開成の速さ対策は△△」

といったことをしても、今一つ、しっくりきません。

 

実態とのズレを感じます。

 

①ズレの第1点

 

まず、これらの対策には、「1次試験対策」が混入します。

 

ここ数年の開成で、出題分野が明確な問題(見たことのある問題)は、ほぼ「1次試験」の問題です。

 

6年生夏期講習までの勉強で解ける問題が、ほとんどです。

 

わざわざ学校別対策をしなくても、ラクに解けるはずです。

 

②ズレの第2点

 

出題される問題数が少ない開成の算数入試にあって、過去10年ぐらいに、「たまたま」出題された分野別問題の特徴に、強く影響を受けます。(再出題の可能性は、ほとんどありません)

 

逆に、過去何十年分の過去問を網羅しても、最新傾向とはズレてしまいます。

 

1年分の問題数が少ない上に、出題傾向が急激に変わりつつある過去問を、形式的に分野別にまとめても、これまでの過去問ではこうだったという「後追いの対策」となってしまい、「来年に向けての対策」としては不十分です。

 

天気予報で重要なのは、今日の天気、明日の天気、今後1週間の天気です。

 

過去1週間の天気報告をして、どうするのか、という話です。

 

それよりも、最新傾向の、分野横断的な「融合問題対策」が重要なのです。

 

ただし、大手塾の開成受験クラスで、分野別に編集した教材を使用することは多いと思います。

 

その場合、最近の傾向(直近5~6年ぐらい)とのズレを感じたとしても、ライバルの受験生が勉強しているのであれば、対抗上、勉強する必要があります。

 

ライバルが準備していることは、こちらも準備しておくべきです。絶対に軽視してはいけません。

 

もしかしたら、出題されるかもしれません。

 

勝つより先に、負けない対策が優先します。

 

 

話を戻します。

 

6年生9月以降は、融合問題対策が重要という話をしていました。

 

この融合問題1問1問を、レッツ算数教室がどのように把握しているかというと、前述の「東大シフト」の縦軸、横軸を使って、把握しています。

 

縦軸・出題分野については、

 

(論理学、図形、代数)

 

の、いわば「原材料表示」として把握しています。

 

(3、1、0)

 

などです。

 

横軸・算数の発想法については、

 

(場合分け能力、規則性発見能力、その他の発想法)

 

の、いわば「栄養成分表示」として把握しています。

 

(3、0、1)

 

 などです。

 

 

縦軸について、なぜ、この3要素に分類するかというと、それぞれに個人的な適性が異なるからです。

  • 図形は得意だけれど、代数は苦手
  • 代数は得意だけれど、図形は苦手
  • 図形も代数も苦手だけれど、論理学は得意

といったことが、現実に起こります。

 

人それぞれ、適性が異なるのです。

 

この違いが、6年生夏期講習あたりから、だんだん鮮明になってきます。

 

それまでは、全分野を根性でカバーしてきた子が、根性だけでは越えられない壁につき当たり始めます。

 

問題のレベルが上がると、向き不向きが鮮明になってくるのです。

 

こうなると、一般的な「難易度」とは別の、

 

「その子にとっての難易度」

 

が、最も重要になってきます。先生から、

 

「この図形問題は、合否を分けるレベルの問題だから、必ずマスターして下さい」

 

と言われても、図形が苦手な子にとって、その問題は捨て問にすべき難問かもしれません。

 

逆に、図形も代数も苦手な子でも、論理学が得意であれば、「論理・推理」の難易度Eの難問が、解けるかもしれません。

 

そこで、原材料表示(論理学、図形、代数)を見ながら、どの問題がその子にとっての「得点すべき問題」で、どの問題がその子にとっての「捨て問」かを、考えていく必要があるのです。

 

そして、その子にとっての「アレルギー食品」が含まれる問題に対しては、その混合の割合に応じて、微妙な対応が必要です。

 

開成と灘では、テイスト(味)が異なるというのも、この原材料の混合の割合が異なるからです。

 

偏差値とは別の「向き不向き」「相性」があるのです。

 

よって、6年生9月以降の難易度別対策は、分野別対策と複雑に交錯します。

 

「その子にとっての難問」が出題分野の3要素の混合比率に、大きく左右されるからです。

 

ここを考慮することなく、

 

「この問題は合否を分ける問題」

 

というのは、全員に向けての一般的、標準的な基準に過ぎず、個別の対策にはなっていません。

 

レッツ算数教室の「難易度別対策」と「分野別対策」は、このように融合し、1人1人個別に作成します。

 


2-5 長文問題対策

 

周知の通り、開成の算数も、問題文が長文化しています。

 

大学入試改革の影響から、難関校の多くが長文化の傾向を示していますが、それらの中には、

  • 文字数が増えると、その分、理論的な難易度が下がり、結局、見かけほど難しくない
  • 統計や図形がかさばっているだけで、文字数はそれほど多くないから、ページ数が多いわりに、サクサク解き終わる

といった問題も、多数出題されています。

 

でも、開成・算数の長文問題は、文字数が多い上に、理論的な難易度が上がるという、最強の長文問題です。(2021年大問3、2019年大問4など)

 

この「速読力」の要素が、算数の能力の一部分なのかというと、違うと言わざるを得ません。

 

たとえば、歴史上、数学者が数百年もかかって解いた「フェルマーの最終定理」などは、こんなに長文の言葉で表される問題だったかというと、全然違います。

 

超簡潔な式と超簡潔な言葉で表現できます。

 

数学では、問題文の長さと、難しさは、全く関係なく、速読力と数学力も全く関係ありません。

 

それでも、「精読しながらの速読力」を試す開成・算数の長文問題は、一体何者なのか?

 

ズバリ、科目の枠を越えた、総合的な能力です。

 

開成ショックと言われた2018年に、国語で事実上、算数の問題が出題されたのと同じように、この長文問題は、算数に国語の要素を融合した問題です。

 

これで、純粋な算数の能力が試せるかというと、無理です。(制限時間を長くすれば、試せます)

 

算数の才能が豊かでも、文章を読むのが苦手、あるいは遅く、国語の成績がもう一つの受験生にとって、この算数長文問題は、問題です。

 

でも、文部科学省に、深い部分で理系と文系を統合しようという意図があるため、このような問題も、出題されるのかもしれません。(プログラミングの必修化など)

 

これまで算数が苦手で、開成に合格できなかったタイプの受験生にも、逆転合格の道が開かれた、とも言えます。

 

また、長文問題が、サクサク解ける定型的な問題と、同一年度にセットで出題されれば、それは、算数の得意な子にとって、長文問題の制限時間延長の効果をもたらしますから、算数の得意な子にも、道が開かれています。

 

 

さて、この長文対策ですが、これは、国語のテキストですべて達成できるかというと、それは難しいでしょう。

 

国語の受験勉強は、受験生が日本語のネイティブとして、ある程度のレベルに達していることを前提とし、筆者の主張や、登場人物の気持ちの読み取りに重点がおかれています。

 

ところが算数では、算数的な事実関係、条件の読み取りが大切で、A君、B君の意見や気持ちは関係ありません。

 

彼らは、ロボットのように正確に、家と学校の間を行ったり来たりするだけです。

 

それに、国語では、基本的に「良い文章」が出題されます。読み手に「伝わる」文章が出題されます。

 

でも、算数の問題文は、条件を厳密にに表現することが最優先されます。

 

その結果、国語的な視点からすれば、

  • 「ぎこちない文章」
  • 「主語と述語が離れすぎていて、修飾語や挿入句がやたらと長い文章」
  • 「記述式答案に書いてはいけない文章」
  • 「早い話が、典型的な悪文」

が出題されます。

 

よって、算数の長文対策には、これら「悪文」を素速く読み取る練習が必要です。

 

日本語のネイティブになるトレーニングを積んだ上で、最終的には、算数の問題文で練習するべきでしょう。

 


エピローグ

先日、お問い合わせの電話で、ある保護者様から、ご相談を受けました。

 

「うちの子は、暗記勉強しているとは思っていない。でも、成績が伸びない。」

 

とのことです。

 

レッツ算数教室のホームページで、「算数の成績を上げるには」の記事を熱心にお読みいただいているようで、当教室が解法暗記に批判的であることをよくご存知でした。

 

なるべく理解に努め、ある程度は理解しているつもりなのだけれども……というご相談です。

 

 

受験情報や勉強法の記事で、「暗記」と「理解」は2択のように語られることが多いと思います。

 

レッツ算数教室でも、話をわかりやすくするために、2択でご説明することが、よくあります。

 

でも、厳密に言うと、両者の境目は連続的で、ほとんどが「グレーゾーン」に属します。

 

算数の解法を、本当に全く意味もわからず「丸暗記」できる記憶力の持ち主など、おそらくいないでしょう。

 

覚えている以上、何かしらわかっているはずです。

 

逆に、完全に理解できている人も、まずいないでしょう。

 

たとえば、「2本の平行線は、決して交わらない」というのは、社会常識的には当然のことで、ユークリッドは、ややためらいをみせながらも、これを「公準(公理)」としました。

 

「公理」とは、平たく言えば、当たり前すぎて、それ以上説明できないこと。

 

ところが、これは数学的に誤りだったのです。

 

現代では、「2本の平行線は無限のかなたで交わる」という「非ユークリッド幾何学」が存在し、相対性理論の数学モデルとなり、身近なところでは、スマホの位置情報システムなどに実用化されています。

 

では、一般的な開成受験生と、開成合格者は、丸暗記と完全理解の間の、どのレベルにいるのでしょう。

 

レッツ算数教室が、「開成の算数」の記事でお伝えしたい核心部分の一つが、このテーマです。

 

結論から言うと、たとえ不合格になった受験生でも、理解のレベルは、小学生として驚異的です。

 

論理的な流れに関しては、完全に理解しています。

 

「AだからB。BだからC。CだからD。よって、答えはD。」

 

という流れです。

 

ところが、東大の先生も、開成の先生も、これだけでは不十分とお考えです。

 

開成や、灘や、洛南の過去問について、その解法の論理的流れを完全に理解していても、自分で解法を思いつけない限り、創造性があるとは、認めていただけません。

 

算数の発想法についてまで、理解が及んでいなければ、本当に理解しているとは認めていただけません。

 

このことを

  • 「解法暗記ではダメ」
  • 「パターン暗記ではダメ」
  • 「理解しなさい」

と、表現することができます。

 

その一方で、

 

「小学生に求められる「算数の発想法」などは、大したレベルではない。」

 

「所詮、入学試験などで、創造性まで試せるものではなく、見たことのない問題が解けるぐらいで創造性があるなどというのは、おこがましい。」

 

という考え方もあるでしょう。

 

そのような人は、

 

「受験算数?そんなもの、パターン暗記だよ。暗記暗記!」

 

とおっしゃるかもしれません。

 

この言葉を、第1級の数学者がおっしゃるならば、その通りです。

 

でも、「暗記で良い」という甘いささやきで、算数の苦手な人を取り込もうとして、受験業者が使うのであれば、大きな誤解を招きます。

 

 

 

開成では、「見たことのない問題」が出題されます。

 

これに対処できない限り、一般的な開成受験生の群れから頭一つ抜け出して、合格することはできません。

 

「工夫程度の創造性」でよいから、この対処能力、すなわち「算数の発想法」を、ぜひ、身につけていただきたいと思います。

 

開成受験クラスのテキストに掲載されている問題のみならず、3年生、4年生以来手がける、全ての問題の中に、「算数の発想法」が含まれています。

 

そして、開成受験が可能なほどの人であれば、それらの問題から、「工夫程度の創造性」を吸収することが、できるはずです。

 

自信を持って、勉強に励んでいただきたいと思います。




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