目次 |
「傾向」 |
1、概要 |
(1)入試結果 |
(2)出題分野 |
(3)難易度 |
2、各論(大問1~4) |
「対策」 |
(1)入試結果
2019年の開成算数は、予想通り難化しました。
もっとも、これは2018年と比較して、という意味です。
2018年は、実験的な出題だったわけで、2019年が本来の開成算数です。
受験者平均点、合格者平均点は以下の通りです。
受験者平均点 | 合格者平均点 | |
2019年 | 51.0 | 64.6 |
2018年 | 62.0 | 73.9 |
2017年 | 40.1 | 54.8 |
2016年 | 39.7 | 53.7 |
(開成中学ホームページより引用・算数85点満点)
(2)出題分野
「速さと比」「立体切断」「場合の数」「論理パズル」から出題されています。
「平面図形」は単独での出題はありませんが、「立体切断」(大問2)の小問で、実質的に出題されています。
(3)難易度
2018年より難化したとはいえ、数年間を通してみれば、開成としては標準的か、やや易し目の出題だったといえます。
ただし、大問4「論理パズル」の(2)は、かなりの難問です。
また、大問1「速さと比」は、理論的には易しいとはいえ、計算がラクではありません。
中途半端な分数に煩わされ、ミスしやすくなっています。
大問3「場合の数」も、理論的には易しいのですが、特に立体の方は、目がチラチラして、ミスしやすくなっています。
ミスとの戦いも、ある種の難しさと言えます。
「出題分野&難易度マップ」を掲載します。(難易度はレッツ算数教室の分析によります)
Aが最も易しく、BCDEの順に難しくなっていきます。
出題分野&難易度マップ | ||
大問1 | ||
(1) | 速さと比 | C |
(2) | 速さと比 | C |
(3) | 速さと比 | C |
大問2 | ||
(1) | 立体切断 | C |
(2) | 立体切断 | D |
(3) | 立体切断 | E |
大問3 | ||
(1) | 場合の数 | C |
(2) | 場合の数 | D |
大問4 | ||
(1) | 論理パズル | B |
(2)(a) | 論理パズル | D |
(2)(b) | 論理パズル | E |
(3)(c) | 論理パズル | F |
レベルEF(ピンク色の部分)以外が満点ならば、ほぼ合格者平均点です。
それでは、順に見ていきましょう。
大問1「速さと比」
開成受験生にとっては、易しい問題です。これを落とすと、合格は難しいでしょう。
途中、計算が煩雑になり、ハラハラする場面もありますが、きれいに約分されます。
大問2「立体切断」
開成でこれが出題されないと、開成の問題を解いている気がしないほど、典型的な開成の立体切断です。
切り口を投影図に書き直すのが、ポイントです。
このアイデアは、開成平成15年(2003年)大問1と同じであり、検討していた受験生にとっては、小問1は、易しかったでしょう。
(2)は、これだけでは、解けないかもしれません。差がついた問題です。
「過去問は2年分やれば十分」というアドバイスをしている大手塾もあるようですが、やはり、古い過去問も重要です。
大問3「場合の数」
(1)は、開成受験生にとっては、易しい問題です。
問題は、(2)。やり方はすぐ思いつくでしょう。ただし、場合分けが多く、手間がかかります。
「時間をかければ、確実に得点できるが、時間がかかる」という問題です。
これを解きにかかるかどうか?判断に迷うところでしょう。他の問題の状況と照らし合わせながら、現場で決めることになります。
これも、差のつく問題。合否を分けた問題です。
大問4「論理パズル」
(1)は、指定されたルールを確認するための、練習問題であるとともに、(2)(b)の重要なヒントが隠されています。いかにも開成です。
(2)の枠で囲った部分。「(ケ)に3がないと仮定する。」「話が合わない」「(ケ)に3がないと仮定したのは誤りで、実際は、(ケ)には3がある。」という流れは、「背理法」といい、中学の数学で勉強しますが、小学生も当然のこととして、わかっている人は使っています。
算数の発想法として、とても重要なので、開成受験生以外も、身につけるべきです。勉強になります。
さて、この背理法を知っていたとしても、本問は難問です。
(1)は練習なので、(2)を解くにあたっての核心部分について、ご説明します。
「ハートは奇数」「スペードは偶数」になっています。
「2枚ともハート」「2枚ともスペード」になった人は、席を立ちます。
要するに、奇数がそろうか、偶数がそろうと負け、というルールです。
ここで、「1回目でだれも負けていない」ということが、何を意味しているか、考えてみましょう。
仮に、だれかが偶数をわたしたとします。
すると、偶数を受け取った人が負けていないということは、この人も偶数をわたしていた、ということになります。
その次の人も、偶数を受け取ったのに負けていないということは、自分も偶数をわたしていた、ということになります。
以下同様。
全員が偶数をわたし、偶数を受け取ったことになります。
では、仮にだれかが奇数をわたしたとします。
すると、奇数を受け取った人が負けていないということは、この人も奇数をわたしていた、ということになります。
以下同様。
全員が奇数をわたし、奇数を受け取っていたことになります。
つまり、
どちらかになります。
ここで、T(10)は、必ず動くことを考えると、奇数が止まったまま、偶数だけが動いたということが、わかります。
さて、次は「9」について考えてみましょう。
9は止まっていなければなりませんが、9を止められるのは10だけです。
ここから、9と10は同じ人が持っていたということが、わかりました。
そこで、今度は9と10以外の数、すなわち、1~8について考えてみます。
今度は8が最大なので、必ず動きます。
7を止められるのは8だけです。
ということは、7と8は同じ人が持っていたということが、わかりました。
以下同様。
結局、(10、9)(8、7)(6、5)(4、3)(2、1)がペアであり、(エ)が(34)であることが、わかりました。
他にも
など、色々わかってきます。
ここまでわかれば、この難問も、普通の論理問題になります。
例外的に易しかった2018年はともかく、従来の開成算数に戻った2019年は、算数で7割ちょっと取れれば、何とか勝負できます。学校公表の合格者平均点でさえ、76%程度です。
では、どの問題で取るか?どの問題は落としても大丈夫か?
おそらく、多くの合格者は大問4の小問(2)abc以外は、ほぼ満点に近かったのではないかと、推測します。
制限時間が迫る中、大問3の(2)を確実にコツコツ解くか?大問4の(2)を討ち死に覚悟で必死に考えるか?
究極の選択を迫られたことでしょう。
でも、本番の緊張している中、大問4を考えても、頭が空回りして、あっという間に時間が過ぎてしまう人が多いはずです。
手間はかかっても、大問3をコツコツ解く方が、確実に得点でき、合格したと推測します。
ただし、これは本番での対策、合格戦略です。
これから開成を受験する人は、大問4をじっくり解き、思考力をつけておきましょう。
大問4がすごいのは、頭さえ良ければ、小学校1年生でも解ける点です。
たし算、引き算さえ使いません。
知識としては、数字の大小関係しか、必要ありません。(2は1より大きい、など)
それでいて、これだけの難問を出題しているわけです。
塾のテキストで、定番問題を解く勉強は、このような問題を解くにあたって、ほぼ無力です。
初見のルールのもとで、どのような規則性が生じるのかを見抜く勉強が、有効です。
そのためには、時間に余裕のあるうちから、開成の過去問などで、ルール指定のパズル問題を「自分の頭で」考えるトレーニングを積みましょう。質問して、解法を教わっても、この手の問題に強くなれません。
ただし、これはあくまで、事前の心がけであり、解けるようになればベストという意味です。
現実問題として、このレベルの問題は、本番で解けなくても、おそらく合格はできます。
気楽に楽しみながら、取り組みましょう。
さて、一般的には解けなくても合格できる大問4「論理パズル」ですが、
「どうしても解けるようになりたい!算数が命。」
「国語や社会はどうにも苦手だから、算数で大量点を取る必要がある」
という方もいらっしゃるでしょう。
そのような方のために、一言アドバイスがあります。
大問4で、「1回目でだれも負けていない」ということが、何を意味しているかについて、考えました。
その際、「10が必ず動く」という点に注目しました。
なぜ10に注目したかというと、「極端な場合を考える」という算数の発想法を使ったのです。
定番問題から大きくかけ離れている問題でも、算数の問題に違いはありません。
そうであるならば、算数の発想法が、解法のカギになるはずです。
レッツ算数教室では、当ホームページ内
の中で、算数の発想法について、さらにくわしくご説明しています。
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